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高校三年生(今までの応用です。暗号・トリック・事件・サイコパス……)
猫は暗号を運ぶ5
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「この犯人のことで、今分かっている情報を整理してみようよ」
赤野の言葉に、俺達は、頭をひねる。
「まず、猫の行動範囲にいる」
と松尾。
「それに、直接は、寺井さんにメッセージを送らないで、こんな不確かな方法を取ったんだから……直接家には行けない人?」
と今井。
「あ、そうだ。寺井さんにとっての『小学校』が、この小学校だって知っているのだから、本人もこの小学校に関連する人かも。先生とか、卒業生とか」
と、俺も意見を述べる。
赤野と知り合ってから、こういうことを推察することは、俺達もずいぶん慣れてきたように思う。
「皆の言う通りだと、僕も思う。そして、寺井さんとノノを知っている。猫の行動範囲にいる、小学校の関係者。不確かな方法を取ったのは、直接会いに行けない人……暗号を使っているということは、誰かに見つかることを恐れているのかもしれない。直接会いに行けなくて、監視されている……ということは、監禁されている可能性が高いよね?」
赤野が、俺達の考えをまとめてくれる。
「え、やばくない? だって、小さな子の指を埋めているのよ? 殺されるとか?」
元子さんが青ざめる。
「だ、誰か誘拐された同級生とかがいるってこと? 嘘。どうしよう。でも、そんな行方不明になったっていう話は聞かないし……」
寺井さんが青ざめる。
そりゃ、知り合いが恐ろしい目に合っているかもしれないとしたら、不安や心配でそうなるだろう。
「ふふ。監禁される原因は、第三者に誘拐されたとは限らないよ」
赤野が笑う。
「……どういうことだよ?」
「それは、ノノに頼らないと」
赤野が、そう言ってノノを撫でた。
赤野が寺井さんに案内させたのは、ノノを見つけた場所。
ここで何をしようというのだろう?
「ごめんね。一度ここでノノを放してもいいかな?」
赤野が寺井さんに声をかける。
なるほど、ノノを見つけた場所にノノを放せば、またその監禁場所にノノが向かうかと思ったんだ。
「だって、ノノはきっと何度もその場所を訪れているんだ。そうでなければ、ノノの首輪に暗号を書こうという発想にはならないよ」
だから、見つけた場所でもう一度ノノを離せば、ノノはその場所へ自然と向かうということなのだろう。
「監禁されている人を助けるためなのよね? でも、ノノが無事に帰ってくるか心配」
寺井さんが戸惑う。
「もちろん、ノノが行方不明にならないように最善は尽くす。もちろん、僕ら全員で全力でノノの後を追いかけるし……元子、鍵に付けた『スマートタグ』を貸して」
赤野が、元子さんに手を差し出す。
「スマートタグ」「忘れ物防止タグ」。無くしやすい物に取りつけることで、それがどこにあるかを確認できるようにするグッズだ。
それを鍵に付けているということは、元子さんは、鍵を何度か忘れたことがあるということかな? ずいぶんうっかりした警官だな。大丈なのか? この人。証拠品とか無くしそうだ。
「やりたい事は流石に分かるけれども……ちゃんと返してよね」
元子さんが、ブツブツ言いながら、赤野にスマートタグを渡す。
赤野は、それをノノの首輪に付ける。
「ねえ、この首輪の裏に、何か書いてもいい?」
赤野は、寺井さんに許可を求める。
「もちろんいいわよ」
寺井さんは、快く許可してくれる。
赤野のが書いたのは、あの暗号。何て書いたのだろう?
「さ、ノノ。頼んだよ」
首輪をしっかり付け直して、赤野はノノを放した。
赤野の言葉に、俺達は、頭をひねる。
「まず、猫の行動範囲にいる」
と松尾。
「それに、直接は、寺井さんにメッセージを送らないで、こんな不確かな方法を取ったんだから……直接家には行けない人?」
と今井。
「あ、そうだ。寺井さんにとっての『小学校』が、この小学校だって知っているのだから、本人もこの小学校に関連する人かも。先生とか、卒業生とか」
と、俺も意見を述べる。
赤野と知り合ってから、こういうことを推察することは、俺達もずいぶん慣れてきたように思う。
「皆の言う通りだと、僕も思う。そして、寺井さんとノノを知っている。猫の行動範囲にいる、小学校の関係者。不確かな方法を取ったのは、直接会いに行けない人……暗号を使っているということは、誰かに見つかることを恐れているのかもしれない。直接会いに行けなくて、監視されている……ということは、監禁されている可能性が高いよね?」
赤野が、俺達の考えをまとめてくれる。
「え、やばくない? だって、小さな子の指を埋めているのよ? 殺されるとか?」
元子さんが青ざめる。
「だ、誰か誘拐された同級生とかがいるってこと? 嘘。どうしよう。でも、そんな行方不明になったっていう話は聞かないし……」
寺井さんが青ざめる。
そりゃ、知り合いが恐ろしい目に合っているかもしれないとしたら、不安や心配でそうなるだろう。
「ふふ。監禁される原因は、第三者に誘拐されたとは限らないよ」
赤野が笑う。
「……どういうことだよ?」
「それは、ノノに頼らないと」
赤野が、そう言ってノノを撫でた。
赤野が寺井さんに案内させたのは、ノノを見つけた場所。
ここで何をしようというのだろう?
「ごめんね。一度ここでノノを放してもいいかな?」
赤野が寺井さんに声をかける。
なるほど、ノノを見つけた場所にノノを放せば、またその監禁場所にノノが向かうかと思ったんだ。
「だって、ノノはきっと何度もその場所を訪れているんだ。そうでなければ、ノノの首輪に暗号を書こうという発想にはならないよ」
だから、見つけた場所でもう一度ノノを離せば、ノノはその場所へ自然と向かうということなのだろう。
「監禁されている人を助けるためなのよね? でも、ノノが無事に帰ってくるか心配」
寺井さんが戸惑う。
「もちろん、ノノが行方不明にならないように最善は尽くす。もちろん、僕ら全員で全力でノノの後を追いかけるし……元子、鍵に付けた『スマートタグ』を貸して」
赤野が、元子さんに手を差し出す。
「スマートタグ」「忘れ物防止タグ」。無くしやすい物に取りつけることで、それがどこにあるかを確認できるようにするグッズだ。
それを鍵に付けているということは、元子さんは、鍵を何度か忘れたことがあるということかな? ずいぶんうっかりした警官だな。大丈なのか? この人。証拠品とか無くしそうだ。
「やりたい事は流石に分かるけれども……ちゃんと返してよね」
元子さんが、ブツブツ言いながら、赤野にスマートタグを渡す。
赤野は、それをノノの首輪に付ける。
「ねえ、この首輪の裏に、何か書いてもいい?」
赤野は、寺井さんに許可を求める。
「もちろんいいわよ」
寺井さんは、快く許可してくれる。
赤野のが書いたのは、あの暗号。何て書いたのだろう?
「さ、ノノ。頼んだよ」
首輪をしっかり付け直して、赤野はノノを放した。
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