夢喰い

えりー

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淳の想い

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淳は必ず昔の記憶に苦しめられて夜中目を覚ましていた。
それから眠るのが怖くなった。
そうこうしているうちに不眠症になっていった。
物心ついた頃から父はおらず、母と二人暮らしだった。
母は淳の事を邪魔者扱いしていた。
”お前がいるから自由がない””産まなければよかった”これが口癖だった。
毎日殴られながら育った。
抵抗すると余計にDVが酷くなるのでじっと耐えるしかなかった。
そんな母は今はもういない。
淳が18歳の時交通事故で死んだ。
母が死んだのに何の感情もわかなかった。
むしろ心の中で喜んでいた。

そんなある日いつものように寝ながら苦しんでいると1人の少女が現れた。
その少女は夢を囲い飴玉にし口に入れ食べた。
それはとても美しい光景だった。
暗かった空間に光が差し込み少女は淳に手を差し伸べた。
淳は躊躇うことなく彼女の手を取った。
彼女に名前を聞いてみた。
「由愛といいます」
すると澄んだ声でそう答えた。
変った目の色をしていた少女の名は由愛・・・。
少女の容姿をその目に焼き付けた。
名前も忘れないよう繰り返し頭の中で何度も唱えた。
そして彼女に手を引かれ光の方へ連れて行かれた。
とても神秘的な夢だと思った。
彼女は実在するという直感めいたものがあった。
するっと由愛の手が離れた。
「もう暗闇に捕まってはいけませんよ?今のは悪い夢だったんです」
そう言い残し由愛の手が離れ、去ろうとした時淳は由愛に言った。
「必ず君を探し出すから、その時は傍にいてくれ」
由愛は大きな瞳を開き、その後は微笑むだけで答えてはくれなかった。
ふわりと消えてしまった。
そこで夢は途絶えてしまった。
彼女に連れて来られた光の降り注ぐ中はとても暖かく心地よかった。
淳は横になり宙に手を伸ばした。
「必ず由愛を見つけ出す」
一目惚れに近い感情が一気に湧き上がってきた。
由愛の事を想うと心臓が高鳴った。

翌日は会社の有休消化の為に仕事は休みだったので近所の公園まで車でやって来た。
すると昨夜の少女・・・由愛が公園のベンチに座っていた。
凄く運命を感じ、由愛に声をかけた。
すると瞳の色は違えどやはり昨夜の少女だった。
由愛が欲しくて堪らなくなった。
担ぎ上げ、車の助手席に乗せ家へと連れ帰り由愛の話を聞いた。
予想通り由愛は人ではなく夢魔だった。
普通の人間なら信じないだろうが俺は信じた。
由愛に膝枕をしてもらい眠った。
すると由愛が母のDVから護ってくれた。
今まで誰も助けてくれなかった・・・。
過去の記憶に支配された楔を断ち切ってくれた。
由愛は自分にとって天使のような存在だと思えた。
出来れば由愛を手に入れて・・・付き合いたいと、想いを伝えたいと考えるようになっていた。
由愛の膝枕が心地よくて久しぶりに熟睡できた。
家へ送っていくというのに頑なに拒否されてしまった。
由愛の様子から何か理由があるようだった。
なので家の近くまで送り由愛を降ろした。
明日会う約束もした。
明日は仕事があるのでなるべく早く帰宅しようと思った淳だった。
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