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4−②
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「それでは、出発しまスカ!」
可愛らしい声でそう言ったルナは、背中に大きなリュックを背負っていた。
カヴァは相変わらず布袋を一つ肩に背負っている。
俺はといえば、カヴァに念願のパンツとズボンをようやく買ってもらえて、風の強い日も一安心だ。
これで下半身のスカスカやひらひらストールとも、ようやくおさらば!
安心してくださいっ。穿いてますよ!!
「鷹夜、誰と話してるの? 街道はこっちよ」
カヴァに促されて、俺達は街道を西に進む。
「なぁ、そういえば、ゲイ族の魔力ってなんだ? こないだ幸田……ハッピー・ジンゴに聞いた所によると、男の快楽を無理矢理引き出す魔法が使えるとか、なんとか……」
3つの太陽がサンサンと照りつける真っ昼間、ルナ特製のハンバーガー風の昼食を摂りながら俺が取り上げたのは、こんな話題だった。
「魔法のこと、聞いたのね。……と言うことは、ジンゴ様に魔法を使われたの?」
「え? あ、ああ……まぁな」
俺は昨日の強烈な乳首の快感を思い出して、恥ずかしさにどもりながらそう答えた。だがカヴァはまるで気にしていないのか、ふむふむと言うように頷きながら、指についたソースを舌先で舐めとった。
「初めて魔法を使われてご無事だっただなンテ! 流石は鷹夜様デス!」
一方のルナはぴょこんと跳ねながら、俺の手を握ってキラキラした目で俺を見つめた。2人の反応が対照的過ぎて、ちょっと笑える。
「ま、まぁあのぐらいなら……な。ジンゴの話だと、俺はかなり魔力が高いらしい」
「まぁ……それは素晴らしいことよ鷹夜。こちらへ飛ばされてくる魔王候補者でも、寝所で使い物になるレベルの魔力を持っているのは3割程度と言われているわ。ジンゴ様はチー・ママだからそこそこの魔力がおありだけれど、私達みたいなこちらの世界のゲイ族には、魔力なんて殆ど無いのが普通なの」
カヴァはそう言って、布袋の中から不思議な色をした細長い石を取り出す。石はアイスキャンディーほどの太さと長さがあり、石の割にはとても軽いようだ。
カヴァの手の中で握りこまれて光る石は、一瞬モヤがかかったかと思うと、スッと光が消えて無色透明になってしまった。
「これが魔力無しの状態よ」
カヴァはそう説明しながら、その石をルナに渡す。ルナが握ると、石はほんの僅かに黄色く光って、淡いべっ甲飴のような色になった。
「ルナは伝統的なチン・ギン料理の料理人だから、作り出す料理に僅かに魔力を乗せられるみたいね。けれど、この程度では寝所では使い物にはならないでしょう。まぁ、こちらの世界の出身なら、魔力があるだけ凄いことだけどね」
褒められたルナはカヴァと俺に向かって照れたようにはにかんでから、手の中の石をカヴァに返して言った。
「いつか鷹夜様が魔王様になった暁には、お抱えシェフにしてもらえるように精進しマス!」
「気持ちはありがたいんだが、俺は魔王になりたい訳じゃないんだ。俺はただ、向こうの世界に戻りたいだけで……」
ルナのように純粋に俺を慕って応援してくれる奴に、その気がないことを何度も伝えるのは少し気まずい。空気を察したカヴァが手の中の石を俺に手渡し、明るい声音で言った。
「さぁ、次は鷹夜の番よ。頭の中で男のイチモツを握りこむようなイメージで石を握ってみて」
「ああ、分かった。男のイチモツだな! イチモツ、イチモ……ちょっと待て。イチモツって、あのイ」
「いいから、集中して!」
「……はい」
いや、集中出来ないような事を言い出したの、そっちだけどね!? それで俺が怒られるの、おかしくない!?
俺は盛大なるツッコミをゴクリとつばで飲み下して、カヴァに言われた通りに集中する。
アイスキャンディーほどの大きさのその石は、俺が握りこむと仄かに温かくなって、本物のそれを握っているかのように俺を錯覚させた。
「えッ……?」
石はぼんやりと内側から光と温もりを放ち始め、七色に光った後、ピンク色の強烈な光を放って俺たちを照らした。
ルナが小さく声を上げて驚いたようだったが、楽しくなって来た俺は構わずにふっと目を閉じて、手のひらに更に神経を集中させる。
「自分のイチモツでもいいけれど、もしあちらの世界に恋人が居るのなら、その人のモノを思い浮かべると良いわよ」
「だからぁ」
「集中よ」
「ぐっ……集中」
カヴァにそう言われると、あの日抱かれたイケメンの恋人、涼の姿が瞼の裏に浮かぶ。
続いて思い出すのは、愛しい恋人の握り慣れた性器。
涼はどんな力で、どう扱かれるのが好きだっただろうか……。
会いたい。涼……。
その瞬間、石はカッと熱くなって、まるで本物の猛るペニスように俺の手の中で脈打った。
ーーーードクン、ドクン、ドク…………ビシッ、ーーーーパリーン!!!
不意に手の中のぬくもりが、乾いた音を立てて弾けた。
ハッと我に返って目を開けた俺は、2人が眩しさのあまり両腕を顔の前に翳していたことを知る。
石を握っていた手を開いて見てみれば、手の中の石はヒビが入ってすっかり割れてしまっていた。
「……ええっ!!??」
「ひャァ!」
「うわあッ……!? って、ええっ!? ……わ、悪い……これ……!」
ヤバい。なんか知らんが、カヴァの持ち物を壊してしまった。
俺は焦ってカヴァに謝ったが、カヴァは驚いたような一瞬の間をおいて、何故か爆笑していた。
「あははははは! 測定不能だって! あんなに立派なサイズのアダルト結晶が一瞬で粉々よ! こんな魔王候補者、初めて見たわ。鷹夜、貴方本当に凄いわ! ルナ、アタシ達凄い人にお近づきになれたかもしれないわよ!!」
カヴァはルナの手を取って、なにやら大喜びしている。
「これは本気で鷹夜様が現魔王様を倒して、魔王様が代替わりする日も遠くないかもでスネ!!」
「そうね! こんな魔力で全力セックスなんてされたら、普通の人なら腹上死させられかねないもの!」
「いや、待って!? 俺、セックスで人とか殺したくないんですけど!?」
なんだか良く分からないが、喜んでくれたみたいで良かった。なぁんて呑気なことを考えて2人を見ていた俺だったが、俺はふと、ある可能性に思い当たってしまう。
ーーーーもしかしてなんだけど、これっていわゆる異世界チート俺ツエー系の能力なんじゃないのか??
今流行り(?)の、あの……。
異世界に飛ばされたと知ったとき、最初にチート能力を望んだのは確かに俺だ。でも。でもっ……!
なんか、俺が思ってたのと違う…………ッッ!!
可愛らしい声でそう言ったルナは、背中に大きなリュックを背負っていた。
カヴァは相変わらず布袋を一つ肩に背負っている。
俺はといえば、カヴァに念願のパンツとズボンをようやく買ってもらえて、風の強い日も一安心だ。
これで下半身のスカスカやひらひらストールとも、ようやくおさらば!
安心してくださいっ。穿いてますよ!!
「鷹夜、誰と話してるの? 街道はこっちよ」
カヴァに促されて、俺達は街道を西に進む。
「なぁ、そういえば、ゲイ族の魔力ってなんだ? こないだ幸田……ハッピー・ジンゴに聞いた所によると、男の快楽を無理矢理引き出す魔法が使えるとか、なんとか……」
3つの太陽がサンサンと照りつける真っ昼間、ルナ特製のハンバーガー風の昼食を摂りながら俺が取り上げたのは、こんな話題だった。
「魔法のこと、聞いたのね。……と言うことは、ジンゴ様に魔法を使われたの?」
「え? あ、ああ……まぁな」
俺は昨日の強烈な乳首の快感を思い出して、恥ずかしさにどもりながらそう答えた。だがカヴァはまるで気にしていないのか、ふむふむと言うように頷きながら、指についたソースを舌先で舐めとった。
「初めて魔法を使われてご無事だっただなンテ! 流石は鷹夜様デス!」
一方のルナはぴょこんと跳ねながら、俺の手を握ってキラキラした目で俺を見つめた。2人の反応が対照的過ぎて、ちょっと笑える。
「ま、まぁあのぐらいなら……な。ジンゴの話だと、俺はかなり魔力が高いらしい」
「まぁ……それは素晴らしいことよ鷹夜。こちらへ飛ばされてくる魔王候補者でも、寝所で使い物になるレベルの魔力を持っているのは3割程度と言われているわ。ジンゴ様はチー・ママだからそこそこの魔力がおありだけれど、私達みたいなこちらの世界のゲイ族には、魔力なんて殆ど無いのが普通なの」
カヴァはそう言って、布袋の中から不思議な色をした細長い石を取り出す。石はアイスキャンディーほどの太さと長さがあり、石の割にはとても軽いようだ。
カヴァの手の中で握りこまれて光る石は、一瞬モヤがかかったかと思うと、スッと光が消えて無色透明になってしまった。
「これが魔力無しの状態よ」
カヴァはそう説明しながら、その石をルナに渡す。ルナが握ると、石はほんの僅かに黄色く光って、淡いべっ甲飴のような色になった。
「ルナは伝統的なチン・ギン料理の料理人だから、作り出す料理に僅かに魔力を乗せられるみたいね。けれど、この程度では寝所では使い物にはならないでしょう。まぁ、こちらの世界の出身なら、魔力があるだけ凄いことだけどね」
褒められたルナはカヴァと俺に向かって照れたようにはにかんでから、手の中の石をカヴァに返して言った。
「いつか鷹夜様が魔王様になった暁には、お抱えシェフにしてもらえるように精進しマス!」
「気持ちはありがたいんだが、俺は魔王になりたい訳じゃないんだ。俺はただ、向こうの世界に戻りたいだけで……」
ルナのように純粋に俺を慕って応援してくれる奴に、その気がないことを何度も伝えるのは少し気まずい。空気を察したカヴァが手の中の石を俺に手渡し、明るい声音で言った。
「さぁ、次は鷹夜の番よ。頭の中で男のイチモツを握りこむようなイメージで石を握ってみて」
「ああ、分かった。男のイチモツだな! イチモツ、イチモ……ちょっと待て。イチモツって、あのイ」
「いいから、集中して!」
「……はい」
いや、集中出来ないような事を言い出したの、そっちだけどね!? それで俺が怒られるの、おかしくない!?
俺は盛大なるツッコミをゴクリとつばで飲み下して、カヴァに言われた通りに集中する。
アイスキャンディーほどの大きさのその石は、俺が握りこむと仄かに温かくなって、本物のそれを握っているかのように俺を錯覚させた。
「えッ……?」
石はぼんやりと内側から光と温もりを放ち始め、七色に光った後、ピンク色の強烈な光を放って俺たちを照らした。
ルナが小さく声を上げて驚いたようだったが、楽しくなって来た俺は構わずにふっと目を閉じて、手のひらに更に神経を集中させる。
「自分のイチモツでもいいけれど、もしあちらの世界に恋人が居るのなら、その人のモノを思い浮かべると良いわよ」
「だからぁ」
「集中よ」
「ぐっ……集中」
カヴァにそう言われると、あの日抱かれたイケメンの恋人、涼の姿が瞼の裏に浮かぶ。
続いて思い出すのは、愛しい恋人の握り慣れた性器。
涼はどんな力で、どう扱かれるのが好きだっただろうか……。
会いたい。涼……。
その瞬間、石はカッと熱くなって、まるで本物の猛るペニスように俺の手の中で脈打った。
ーーーードクン、ドクン、ドク…………ビシッ、ーーーーパリーン!!!
不意に手の中のぬくもりが、乾いた音を立てて弾けた。
ハッと我に返って目を開けた俺は、2人が眩しさのあまり両腕を顔の前に翳していたことを知る。
石を握っていた手を開いて見てみれば、手の中の石はヒビが入ってすっかり割れてしまっていた。
「……ええっ!!??」
「ひャァ!」
「うわあッ……!? って、ええっ!? ……わ、悪い……これ……!」
ヤバい。なんか知らんが、カヴァの持ち物を壊してしまった。
俺は焦ってカヴァに謝ったが、カヴァは驚いたような一瞬の間をおいて、何故か爆笑していた。
「あははははは! 測定不能だって! あんなに立派なサイズのアダルト結晶が一瞬で粉々よ! こんな魔王候補者、初めて見たわ。鷹夜、貴方本当に凄いわ! ルナ、アタシ達凄い人にお近づきになれたかもしれないわよ!!」
カヴァはルナの手を取って、なにやら大喜びしている。
「これは本気で鷹夜様が現魔王様を倒して、魔王様が代替わりする日も遠くないかもでスネ!!」
「そうね! こんな魔力で全力セックスなんてされたら、普通の人なら腹上死させられかねないもの!」
「いや、待って!? 俺、セックスで人とか殺したくないんですけど!?」
なんだか良く分からないが、喜んでくれたみたいで良かった。なぁんて呑気なことを考えて2人を見ていた俺だったが、俺はふと、ある可能性に思い当たってしまう。
ーーーーもしかしてなんだけど、これっていわゆる異世界チート俺ツエー系の能力なんじゃないのか??
今流行り(?)の、あの……。
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なんか、俺が思ってたのと違う…………ッッ!!
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2023/04/06 後日談追加
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