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31)伝わらぬ想い*(由岐視点)
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「もし次に翔李さんと会えたら、ここでしようって決めていたんですよ」
僕はそう言って、翔李さんの首にキクと同じ色の赤い革製の首輪をつけた。
「ッ…………あー、あっ」
翔李さんは先程嵌められたリング型の口枷が邪魔をして、言葉を紡ぐことができない。
僕は翔李さんの首輪に繋げられた鎖を風呂場の手すりに繋いだ。そして恥ずかしそうにしつつも期待を孕んだ目をして、僕にされるがままになっている翔李さんの顎を掴む。
「ずっとこうしてここに閉じ込めておけたらいいのに。僕だけのものに出来たらいいのに」
「…………ふ、……? はっ、ぁーっ?」
僕の言葉の理由が分からないらしい翔李さんは、僕に向かって首を傾げる。
何か言いたいことがあるのか、翔李さんは不自由な口で何かを訴えているようだった。
「すみませんが、もう少しだけ、黙っていて下さい」
「…………ふ、あ……っ!」
「拘束するのは、今日で最後にしますから」
ーーーーーーそして、この関係も。
翔李さんは今日、僕に話があると言っていた。
彼は優しいから、あの日僕が熱を出したのを見て、咄嗟に看病をしてくれたのだろう。
けれど、その後は全然と言っていいほど連絡もなく、会社に会いに行っても明らかに避けられていた。電話にだって、長らく出てくれなかった。
その事から考えても、話は僕とのセフレ関係を解消したい、もう会社には来ないでほしいといった内容であることは安易に想像がついた。
口枷で離別の言葉を封じても、もう彼は戻ってこないのに。
僕は無理矢理こじ開けた口の中に指を入れ、指の先で歯茎や舌に触れる。
ペニスは快楽を与えれば簡単に勃起する。けれどこの唇や舌は、どんなに快楽を与えたところで僕を好きとは言ってくれない……。
そんな当たり前のことを考えるなんて、馬鹿みたいだ。
僕は自嘲気味に笑って、翔李さんの舌を指先でそっと掴む。
この唇が、この舌が。僕を、好きだと言ってくれたら……。
僕は舌を掴まれて苦しそうに顔をしかめている翔李さんの額や頬、鼻にそっと口付ける。キスの気配を感じた翔李さんは、リングの中から舌を伸ばしてキスに必死に応えようとしてくれている。その仕草が嬉しくて、僕は頬が緩んだ。
「すみません。せっかくわざわざ来てくれたんですから、ちゃんとキスしましょうか」
口枷のせいでよだれで濡れてしまった翔李さんの顎をぺろりと舐めてから、僕は翔李さんの唇を奪う。リングギャグを付けられている翔李さんは僕の舌に自らのそれを伸ばして絡めると、だらしなく唾液が唇からダラダラと溢れた。
翔李さんは珍しく既に興奮しているらしく、切ない表情で僕の唇を受け入れた。
「ん、ひっ、はぁ……っ、ん、ひっ」
「…………? 翔李、さん……?」
何かが起きない限り、彼がそこまで性急に行為を求めることは稀だ。僕は少し考えた末、ある事に気がついた。
「ああ……。遠距離恋愛って辛いですもんね。耳元で愛する人の声が聞こえるのに、体を繋げることはできない。良いですよ、ユウキさんの代わりに慰めてあげても」
「はっ、ぁ……!? あ、がっ……!」
「ただし」
僕は翔李さんの唇を指でなぞると、自分の唇にも人差し指を当てて言った。
「僕としている時は、僕を見て。僕の名前を呼んで下さい」
ふるふると首を横に振る翔李さんの柔らかい黒髪を、僕は指で梳いた。
「うーん。駄目ですか……それは残念です」
それすらももう、叶わないのか……。
翔李さんの拒絶がとてつもなく悲しくて、いつものように顔に貼り付けた笑顔の下で、僕の心は沈んでしまった。
ああ。潮時、というのは、こういうことを言うのだな……。
そんな事を思いながら、僕は翔李さんの乳首に薄いシャツ越しに口付けた。
最後なのだから、楽しまなければ。そう自分に言い聞かせて、布の表面にツンと現れた小さなその粒に舌を這わせる。けれど翔李さんは、口から漏れる官能の吐息とは裏腹に、小さく首を横に振り続けていた。
「は……ぁっ、は……」
「ふふ。珍しい。嫌がってるんですか? 嫌がるあなたを抱くのも、たまには楽しいかもしれませんね」
今更拒絶なんてされても、僕は翔李さんとのセックスをやめる気なんてない。最後かもしれないならば、めいっぱい楽しまなければ。
シャツのボタンをゆっくりと外しながら、翔李さんの両足の間に膝を割り入れる。太ももを使ってぐりぐりと擦るように雄の証を刺激してやると、それは本人の意志とは関係なくズボン越しに熱を孕んで勃ち上がる。
「嫌がっている割に、体は正直ですね? こんなエッチな体で、初恋の彼を抱けるんですか? それとも、翔李さんが抱かれる側? あ、それはないか。僕とこんな事をしながら、裏ではテツさんとも遊んでいるようでしたもんね?」
「……!? んあーー、あーーっ! あぁぅっ、……!!?」
クスクス笑いながらそう問うと、翔李さんは驚いたような表情で何かを訴えている。
「この間、仕事の帰りに偶然見かけてしまったんですよね。テツさん、この界隈じゃ有名なビッチですもんね。彼とあなたが一緒にいるのを見た時は、正直驚きましたけど」
僕は話しながら、翔李さんのズボンのボタンに手をかける。ファスナーを下ろして下着ごとズボンを抜き取ると、ゆるく頭をもたげる興奮の証が僕の前に現れる。
そのペニスが、他の男の中に……?
そう思ったら、笑顔の裏側でどす黒い感覚がじわりと生まれた。
「初恋の彼と再び両思いになって、遠距離恋愛中にテツさんともヤッて……タチにでも目覚めちゃいました? 本当はこんなに敏感な身体なのに」
そのどす黒い感覚の正体も分からぬまま、僕は翔李さんの尻の狭間に指を伸ばした。固く締まったままのそこに無理矢理指を突き立てると、翔李さんの顔がくしゃりと歪む。
「…………ッッッ!」
「ああ。どうしよう。何だか僕、今日は翔李さんに、とてつもない意地悪をしてしまう気がします」
どす黒いそれを内面に秘めたまま、僕は笑顔でそう言った。
僕はそう言って、翔李さんの首にキクと同じ色の赤い革製の首輪をつけた。
「ッ…………あー、あっ」
翔李さんは先程嵌められたリング型の口枷が邪魔をして、言葉を紡ぐことができない。
僕は翔李さんの首輪に繋げられた鎖を風呂場の手すりに繋いだ。そして恥ずかしそうにしつつも期待を孕んだ目をして、僕にされるがままになっている翔李さんの顎を掴む。
「ずっとこうしてここに閉じ込めておけたらいいのに。僕だけのものに出来たらいいのに」
「…………ふ、……? はっ、ぁーっ?」
僕の言葉の理由が分からないらしい翔李さんは、僕に向かって首を傾げる。
何か言いたいことがあるのか、翔李さんは不自由な口で何かを訴えているようだった。
「すみませんが、もう少しだけ、黙っていて下さい」
「…………ふ、あ……っ!」
「拘束するのは、今日で最後にしますから」
ーーーーーーそして、この関係も。
翔李さんは今日、僕に話があると言っていた。
彼は優しいから、あの日僕が熱を出したのを見て、咄嗟に看病をしてくれたのだろう。
けれど、その後は全然と言っていいほど連絡もなく、会社に会いに行っても明らかに避けられていた。電話にだって、長らく出てくれなかった。
その事から考えても、話は僕とのセフレ関係を解消したい、もう会社には来ないでほしいといった内容であることは安易に想像がついた。
口枷で離別の言葉を封じても、もう彼は戻ってこないのに。
僕は無理矢理こじ開けた口の中に指を入れ、指の先で歯茎や舌に触れる。
ペニスは快楽を与えれば簡単に勃起する。けれどこの唇や舌は、どんなに快楽を与えたところで僕を好きとは言ってくれない……。
そんな当たり前のことを考えるなんて、馬鹿みたいだ。
僕は自嘲気味に笑って、翔李さんの舌を指先でそっと掴む。
この唇が、この舌が。僕を、好きだと言ってくれたら……。
僕は舌を掴まれて苦しそうに顔をしかめている翔李さんの額や頬、鼻にそっと口付ける。キスの気配を感じた翔李さんは、リングの中から舌を伸ばしてキスに必死に応えようとしてくれている。その仕草が嬉しくて、僕は頬が緩んだ。
「すみません。せっかくわざわざ来てくれたんですから、ちゃんとキスしましょうか」
口枷のせいでよだれで濡れてしまった翔李さんの顎をぺろりと舐めてから、僕は翔李さんの唇を奪う。リングギャグを付けられている翔李さんは僕の舌に自らのそれを伸ばして絡めると、だらしなく唾液が唇からダラダラと溢れた。
翔李さんは珍しく既に興奮しているらしく、切ない表情で僕の唇を受け入れた。
「ん、ひっ、はぁ……っ、ん、ひっ」
「…………? 翔李、さん……?」
何かが起きない限り、彼がそこまで性急に行為を求めることは稀だ。僕は少し考えた末、ある事に気がついた。
「ああ……。遠距離恋愛って辛いですもんね。耳元で愛する人の声が聞こえるのに、体を繋げることはできない。良いですよ、ユウキさんの代わりに慰めてあげても」
「はっ、ぁ……!? あ、がっ……!」
「ただし」
僕は翔李さんの唇を指でなぞると、自分の唇にも人差し指を当てて言った。
「僕としている時は、僕を見て。僕の名前を呼んで下さい」
ふるふると首を横に振る翔李さんの柔らかい黒髪を、僕は指で梳いた。
「うーん。駄目ですか……それは残念です」
それすらももう、叶わないのか……。
翔李さんの拒絶がとてつもなく悲しくて、いつものように顔に貼り付けた笑顔の下で、僕の心は沈んでしまった。
ああ。潮時、というのは、こういうことを言うのだな……。
そんな事を思いながら、僕は翔李さんの乳首に薄いシャツ越しに口付けた。
最後なのだから、楽しまなければ。そう自分に言い聞かせて、布の表面にツンと現れた小さなその粒に舌を這わせる。けれど翔李さんは、口から漏れる官能の吐息とは裏腹に、小さく首を横に振り続けていた。
「は……ぁっ、は……」
「ふふ。珍しい。嫌がってるんですか? 嫌がるあなたを抱くのも、たまには楽しいかもしれませんね」
今更拒絶なんてされても、僕は翔李さんとのセックスをやめる気なんてない。最後かもしれないならば、めいっぱい楽しまなければ。
シャツのボタンをゆっくりと外しながら、翔李さんの両足の間に膝を割り入れる。太ももを使ってぐりぐりと擦るように雄の証を刺激してやると、それは本人の意志とは関係なくズボン越しに熱を孕んで勃ち上がる。
「嫌がっている割に、体は正直ですね? こんなエッチな体で、初恋の彼を抱けるんですか? それとも、翔李さんが抱かれる側? あ、それはないか。僕とこんな事をしながら、裏ではテツさんとも遊んでいるようでしたもんね?」
「……!? んあーー、あーーっ! あぁぅっ、……!!?」
クスクス笑いながらそう問うと、翔李さんは驚いたような表情で何かを訴えている。
「この間、仕事の帰りに偶然見かけてしまったんですよね。テツさん、この界隈じゃ有名なビッチですもんね。彼とあなたが一緒にいるのを見た時は、正直驚きましたけど」
僕は話しながら、翔李さんのズボンのボタンに手をかける。ファスナーを下ろして下着ごとズボンを抜き取ると、ゆるく頭をもたげる興奮の証が僕の前に現れる。
そのペニスが、他の男の中に……?
そう思ったら、笑顔の裏側でどす黒い感覚がじわりと生まれた。
「初恋の彼と再び両思いになって、遠距離恋愛中にテツさんともヤッて……タチにでも目覚めちゃいました? 本当はこんなに敏感な身体なのに」
そのどす黒い感覚の正体も分からぬまま、僕は翔李さんの尻の狭間に指を伸ばした。固く締まったままのそこに無理矢理指を突き立てると、翔李さんの顔がくしゃりと歪む。
「…………ッッッ!」
「ああ。どうしよう。何だか僕、今日は翔李さんに、とてつもない意地悪をしてしまう気がします」
どす黒いそれを内面に秘めたまま、僕は笑顔でそう言った。
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