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「非はこちらにあるわけですし、話は聞きます」

ギルドマスターの頼み事に、恐らくとんでもない厄介後だろうと腹を括る。

「そうかい、それは良かった」
「で、頼み事とは? 」
「そうそう、それでね。とある依頼を受けて欲しいんだよ」
「依頼? 」
「うん、本当に厄介な依頼でね。ある程度の実力者で、尚且つ信用が置ける人でないとダメなんだぁ」

信用ならば、何故俺達のようなぽっとでなのだろうか。確かに、表で冒険者を倒した''実力''はあるにせよ、信用の面では納得がいかない。

「信用が、俺達にあるんですか? 」
「無いねぇ。え、あると思ってるの? 」

――クフッ、あははは~

そう言って笑い出すギルドマスターに、つい殺意が湧いてでる。
が、俺は隣のシャルロットを咎めるので精一杯だ。
突っかかる余裕などない。

「ごめんごめん、面白くてね」

本当に、この人はデリカシーというものか著しく欠如している。

「じゃ、なんで俺たちなんですか? 」
「それはねぇ、取引だからだよ」
「取引? 」
「今回の騒動を、水に流す。だから、こちらの条件通りに依頼を受けて欲しいんだぁ」

そういう事かと、俺は納得する。
このギルドマスターは、中々のゲスのようだ。

要は、俺達を脅している。
こちらに従わなければ、今回の騒動を大きな問題に発展させると。
そうすることで、信用とは言えない信用を作り上げるつもりらしい。

だが、分かってて尚敢えて聞く。

「断ったら? 」
「分かってるくせにぃ~」

ヘラヘラと、満面の笑みで返すギルドマスター。

「もちろん、報酬金は弾むよ。君、お金ないでしょ? 」
「いくらほどだ? 」
「金貨にして15枚。破格だと思うけど」
「ほう……」

一応、金銭の価値は把握している。
城にいた頃に、確認しておいた。

「分かった。うけ、よう……」

ここで、俺は少し引っかかる。
何故、俺が金を持ち合わせていないことがこの男に透けている?
ラルスさんに案内はされていたが、どの場面でも''金銭が無いこと''は明らかにしていない。

昨日の酒場にいれば話は別だが……。
あの時、こんな男はいなかった。
ギルドマスターは、目立つ派手髪だ。元日本人の俺が見れば、嫌でも印象に残るだろう。

いや、待てよ。あのシャルロットにやられた冒険者。確かにテンプレではあろうが、周りの目が異様なまでに普通過ぎなかったか?

ここで、俺は1つの答えに辿り着いた。




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