8 / 50
初戦闘
しおりを挟む
炎天の日差しが眩しく暑い。
影ひとつない訓練所に二人の男が向かい合っている。
片や怒りを顕にした鎧を身につけたオッサン。彼の後ろには革鎧を身にまとった何人かの兵士と、豪華なドレスを身にまとった王女が居る。
片や華奢な体格の、目を隠す髪型から如何にも根暗が伝わってくる少年。
彼はヘラヘラと笑いながら相手を小馬鹿にする様に見下げている。
今にも剣を抜かんとしない男に、ソウは顎を引いてどんなものも見落とすまいと注意深く観察していた。
「貴様ら……巫山戯るな! 国王の命令だ、訓練を行なえ! 」
「断る」
何時の間にか''貴様ら''となっているのは何故だろうか。
簡単だ。優勢と感じたクラスメイトの皆がソウの後ろで騎士団長の事を敵視する目でているからだろう。
「それで、もう一度聞くが俺に訓練する義務はあるのか? 」
「ある、あるに決まっている! 陛下の御命令だ。従うのが当たり前だ! 」
「馬鹿馬鹿しい。俺は部屋に戻らせてもらう」
ポケットに手を突っ込み、王宮へ向かう俺に騎士団長が怒声を上げているのが聞こえる。
クラスメイト達は、どうするか迷っている様であたふたしていた。
「貴様……巫山戯るな! 戻ってこい! 」
俺はその声も無視して歩みを停めない。
その事に激怒したのか、騎士団長が剣を鞘から引き出す音がかすかに聞こえた。
「舐めるなぁ! 」
一瞬で距離を詰めた騎士団長は、勢いよく両刃の剣で俺に斬り掛かる。
「キャァァ! 」
恐らく陽向のものであろう悲鳴が聞こえる。
俺はその振り下ろされた剣を右に少しズレて完全に交わす。
怒りのあまり威力が付きすぎた剣は、地面に深く突き刺さった。
ここで、怒らせた成果が出たようだ。
振り返ると、俺は武術家の祖父に習った喉への攻撃を行う。
第二関節で曲げた拳を、喉仏の辺りに素早く一突きする。
「ぐがぁ」
声にならない声を出し、剣から手を離し喉を抑え蹲る。
何度も咳き込む騎士団長を横目に、手を離した剣を抜き、踞る騎士団長の目の近くに突き出して言う。
「この国は、救世主として勝手に呼び出した存在でさへ、容易に殺すのか? 」
ソウは訊ねるが返事が返ってくることは無い。
まだ、喉の調子が悪いようだ。
「まぁいい……そこで王女様も見ている事だ。国王には伝わるだろうな」
俺は軽く脅し、剣を遠くへ投げてまた歩き進める。
動揺の声がクラスメイト達からも聞こえるが、彼等も俺の後に続いて戻ろうとする。
(やれやれ、これはそう急にここを出た方が良さげだな)
これ以上面倒事に巻き込まれたくないと、そんなことを考えながら訓練所を後にした。
影ひとつない訓練所に二人の男が向かい合っている。
片や怒りを顕にした鎧を身につけたオッサン。彼の後ろには革鎧を身にまとった何人かの兵士と、豪華なドレスを身にまとった王女が居る。
片や華奢な体格の、目を隠す髪型から如何にも根暗が伝わってくる少年。
彼はヘラヘラと笑いながら相手を小馬鹿にする様に見下げている。
今にも剣を抜かんとしない男に、ソウは顎を引いてどんなものも見落とすまいと注意深く観察していた。
「貴様ら……巫山戯るな! 国王の命令だ、訓練を行なえ! 」
「断る」
何時の間にか''貴様ら''となっているのは何故だろうか。
簡単だ。優勢と感じたクラスメイトの皆がソウの後ろで騎士団長の事を敵視する目でているからだろう。
「それで、もう一度聞くが俺に訓練する義務はあるのか? 」
「ある、あるに決まっている! 陛下の御命令だ。従うのが当たり前だ! 」
「馬鹿馬鹿しい。俺は部屋に戻らせてもらう」
ポケットに手を突っ込み、王宮へ向かう俺に騎士団長が怒声を上げているのが聞こえる。
クラスメイト達は、どうするか迷っている様であたふたしていた。
「貴様……巫山戯るな! 戻ってこい! 」
俺はその声も無視して歩みを停めない。
その事に激怒したのか、騎士団長が剣を鞘から引き出す音がかすかに聞こえた。
「舐めるなぁ! 」
一瞬で距離を詰めた騎士団長は、勢いよく両刃の剣で俺に斬り掛かる。
「キャァァ! 」
恐らく陽向のものであろう悲鳴が聞こえる。
俺はその振り下ろされた剣を右に少しズレて完全に交わす。
怒りのあまり威力が付きすぎた剣は、地面に深く突き刺さった。
ここで、怒らせた成果が出たようだ。
振り返ると、俺は武術家の祖父に習った喉への攻撃を行う。
第二関節で曲げた拳を、喉仏の辺りに素早く一突きする。
「ぐがぁ」
声にならない声を出し、剣から手を離し喉を抑え蹲る。
何度も咳き込む騎士団長を横目に、手を離した剣を抜き、踞る騎士団長の目の近くに突き出して言う。
「この国は、救世主として勝手に呼び出した存在でさへ、容易に殺すのか? 」
ソウは訊ねるが返事が返ってくることは無い。
まだ、喉の調子が悪いようだ。
「まぁいい……そこで王女様も見ている事だ。国王には伝わるだろうな」
俺は軽く脅し、剣を遠くへ投げてまた歩き進める。
動揺の声がクラスメイト達からも聞こえるが、彼等も俺の後に続いて戻ろうとする。
(やれやれ、これはそう急にここを出た方が良さげだな)
これ以上面倒事に巻き込まれたくないと、そんなことを考えながら訓練所を後にした。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
リメイク先:「視線が合っただけで美少女が俺に溺れる。異世界で最強のハーレムを作って楽に暮らす」
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる