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第二章 生存者たち
第九話 穏やかな一日
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朝陽がスーパーの割れた窓から差し込む。昨夜の遠くの唸り声は消え、変異種の気配はない。俺たちはこの貴重な静けさを活かし、スーパーの補強作業と休息に充てる。美奈子が朝早くから動き出し、短髪を軽く整えながら俺たちに呼びかける。
「今日は穏やかだね。補強を進めよう。みんな、手伝って。」彼女の声は柔らかく、でも猟師の娘らしい力強さが宿る。40代に近づく美奈子は、かつて北海道でヒグマを狩り、アメリカでグリズリーを仕留め、アフリカで闇ハンターと戦った請負ハンターだ。親が猟師で、幼い頃から銃と自然に親しんだ彼女は、20代で北海道を離れ、もっと多様な動物を求めた。アメリカへ渡ったのは、グリズリーやピューマといった大型獣に挑むため。だが、アフリカでは象やサイを狙う密輸ハンターと対峙し、銃撃戦も経験した。過酷な日々を経て、落ち着こうとこのスーパーを開業。地元のハンターが肉を卸し、新鮮な食材で評判だった。
「美奈子さん、ハンターだったんだね。どんな感じだったの?」詩織が目を輝かせて聞く。彼女が子供たちに毛布を配り終え、美奈子の横に立つ。
「親が猟師でね、自然と銃を手に持つようになった。北海道のヒグマは怖かったよ。でも、もっと色んな獲物を狩りたくて、アメリカに行ったの。グリズリーは力強くて、ピューマは素早くてさ、毎回命がけだった。」美奈子が笑い、短髪を指で払う。「アフリカでは密輸ハンターとも戦ったよ。象を守るために闇の連中と撃ち合ったこともある。落ち着きたくてここに戻ったけどね。」
「すごい…!私、おじさんとゾンビと戦ってるけど、動物や悪い人と戦うなんて想像できない。」詩織が驚く。
「お前も立派だよ。片腕で子供たちを守ってるんだから、私なんかより強いかもね。」美奈子が詩織の肩を軽く叩く。短髪が揺れ、女性らしい優しさとハンターの誇りが混じる。
俺は駐車場で佐藤と田中と補強作業を進める。放置された車を動かし、入り口に積み上げる。佐藤は30代半ば、元警備員。無口だが、落ち着いた動きで車を押す。
「佐藤、昔の話、聞かせてくれ。」俺が聞くと、彼が小さく笑う。
「警備員だよ。夜のビルを巡回してた。ゾンビが出る前は単調だったけど、家族がいた。妻と娘…最初の混乱で離れ離れだ。生きてるか分からないよ。」彼の声に寂しさが滲む。
「見つかるといいな。」俺が言う。特殊作戦群時代、仲間を失った痛みを知る。佐藤の静けさに共感する。
田中が鉄パイプを手に近づく。20代後半、元建設作業員。がっしりした体で車を軽々押す。「俺は現場で働いてた。親父が職人で、叩き上げられたよ。ゾンビが出た時、親父は俺を庇って死んだ。意地でも生き抜くって決めた。」彼が笑う。
「その力、頼りになる。親父さんも喜んでるだろ。」俺が返すと、田中が照れる。
由美がカートを押して資材を運ぶ。30代前半、元看護師。病院での高橋の死が彼女を強くした。「看護師やってた時、命を救うのが仕事だった。ゾンビが出てからは自分が生きるのに必死。病院で高橋さんを助けられなかったのが悔しいです。」彼女が呟く。
「あいつは自分で選んだ。お前はよくやってる。」俺が言うと、由美が小さく頷く。
スーパーの奥で、詩織が子供たちと過ごす。健太と彩花を含む10人が彼女を中心に集まる。詩織が片腕で古いトランプを見つけ、「みんなで遊ぼう!」と提案。子供たちが歓声を上げ、健太が「ババ抜きだ!」と叫ぶ。詩織が片腕でカードを配り、笑顔でゲームを始める。彩花が勝って「やった!」と跳ね、他の子が「次は僕が勝つ!」と笑う。
「おじさん、見てて。子供たち、楽しそうでしょ。」詩織が俺を呼ぶ。
「ああ。お前がいるからだ。幸せそうだな。」俺が言い、彼女の頭を軽く叩く。彼女が笑う。
美奈子が子供たちを見ながら言う。「子供って逞しいね。アフリカで密輸ハンターと戦った時、動物の命を守るのに必死だった。でも、こんな笑顔を見ると、人間も負けてないって思うよ。」短髪が陽に光り、彼女が優しく目を細める。
昼過ぎ、補強作業が進む。入り口に車を積み上げ、窓に板を打ち付ける。美奈子がショットガンを手に指示を出し、短髪が風に揺れる。「もっと高くしてね。グリズリーが登れないくらいじゃないと。」彼女が冗談めかすと、田中が笑う。
物資庫から缶詰と乾パンを見つけ、藤田が昼食を作る。50代の元料理人だ。「昔、小料理屋やってた。ゾンビが出てからは料理もサバイバルだよ。でも、みんなが喜んでくれるなら悪くない。」彼がスープに乾パンを加える。
「藤田、うまいな。」佐藤がスープを味わう。
「ありがと。料理は人を繋ぐよ。」藤田が笑う。
子供たちは詩織とスープを囲み、健太が「おじちゃん、お代わり!」とねだる。藤田が笑ってよそう。彩花が詩織に寄り添い、「お姉ちゃん、ずっと一緒にいてね」と呟く。詩織が抱きしめる。「うん、そばにいるよ。」
美奈子が俺にスープを渡す。「食べて。お前、ハンターの娘として言うけど、体力がないと戦えないよ。」短髪が揺れ、彼女が笑う。
「ありがと。アメリカ、どうだった?」俺が聞くと、彼女が目を細める。「色んな動物に会いたくてさ。グリズリーもピューマも強かった。アフリカでは密輸ハンターと戦って、命の重さを知ったよ。今はこれが大事だね。」
「そうだな。この平穏は貴重だ。」俺が頷く。
夕方、補強作業が終わる。入り口は車の壁で固まり、窓は板で塞がれる。美奈子がショットガンを手に確認し、「これなら少し安心だね」と言う。短髪を軽く払い、肩を緩める。
子供たちは詩織と古い絵本を囲み、彼女が片腕で読む。「むかしむかし…」健太と彩花が目を輝かせ、他の子が身を寄せる。
佐藤が言う。「こんな日が続けばいいな。」
「そうだな。だが、油断はできねえ。」俺が返す。田中が笑う。「親父に鍛えられた俺には、こんな日がご褒美だよ。」
由美が呟く。「看護師の時、こんな穏やかさは患者さんに与えたかった。今は自分が癒されるね。」
夜が訪れ、スーパーが静まる。俺は見張りに立ち、詩織が子供たちと眠る姿を見る。美奈子が近づき、「お前、いい仲間だね。ハンター時代は孤独だったけど、今は違うよ」と言う。
「お前もな。この場所はお前がいるからだ。」俺が返す。彼女が笑う。「ありがと。みんなを守れるなら、私も嬉しいよ。」
風が静かに吹き、何もない一日が終わる。俺たちは生きていることを実感していた。
「今日は穏やかだね。補強を進めよう。みんな、手伝って。」彼女の声は柔らかく、でも猟師の娘らしい力強さが宿る。40代に近づく美奈子は、かつて北海道でヒグマを狩り、アメリカでグリズリーを仕留め、アフリカで闇ハンターと戦った請負ハンターだ。親が猟師で、幼い頃から銃と自然に親しんだ彼女は、20代で北海道を離れ、もっと多様な動物を求めた。アメリカへ渡ったのは、グリズリーやピューマといった大型獣に挑むため。だが、アフリカでは象やサイを狙う密輸ハンターと対峙し、銃撃戦も経験した。過酷な日々を経て、落ち着こうとこのスーパーを開業。地元のハンターが肉を卸し、新鮮な食材で評判だった。
「美奈子さん、ハンターだったんだね。どんな感じだったの?」詩織が目を輝かせて聞く。彼女が子供たちに毛布を配り終え、美奈子の横に立つ。
「親が猟師でね、自然と銃を手に持つようになった。北海道のヒグマは怖かったよ。でも、もっと色んな獲物を狩りたくて、アメリカに行ったの。グリズリーは力強くて、ピューマは素早くてさ、毎回命がけだった。」美奈子が笑い、短髪を指で払う。「アフリカでは密輸ハンターとも戦ったよ。象を守るために闇の連中と撃ち合ったこともある。落ち着きたくてここに戻ったけどね。」
「すごい…!私、おじさんとゾンビと戦ってるけど、動物や悪い人と戦うなんて想像できない。」詩織が驚く。
「お前も立派だよ。片腕で子供たちを守ってるんだから、私なんかより強いかもね。」美奈子が詩織の肩を軽く叩く。短髪が揺れ、女性らしい優しさとハンターの誇りが混じる。
俺は駐車場で佐藤と田中と補強作業を進める。放置された車を動かし、入り口に積み上げる。佐藤は30代半ば、元警備員。無口だが、落ち着いた動きで車を押す。
「佐藤、昔の話、聞かせてくれ。」俺が聞くと、彼が小さく笑う。
「警備員だよ。夜のビルを巡回してた。ゾンビが出る前は単調だったけど、家族がいた。妻と娘…最初の混乱で離れ離れだ。生きてるか分からないよ。」彼の声に寂しさが滲む。
「見つかるといいな。」俺が言う。特殊作戦群時代、仲間を失った痛みを知る。佐藤の静けさに共感する。
田中が鉄パイプを手に近づく。20代後半、元建設作業員。がっしりした体で車を軽々押す。「俺は現場で働いてた。親父が職人で、叩き上げられたよ。ゾンビが出た時、親父は俺を庇って死んだ。意地でも生き抜くって決めた。」彼が笑う。
「その力、頼りになる。親父さんも喜んでるだろ。」俺が返すと、田中が照れる。
由美がカートを押して資材を運ぶ。30代前半、元看護師。病院での高橋の死が彼女を強くした。「看護師やってた時、命を救うのが仕事だった。ゾンビが出てからは自分が生きるのに必死。病院で高橋さんを助けられなかったのが悔しいです。」彼女が呟く。
「あいつは自分で選んだ。お前はよくやってる。」俺が言うと、由美が小さく頷く。
スーパーの奥で、詩織が子供たちと過ごす。健太と彩花を含む10人が彼女を中心に集まる。詩織が片腕で古いトランプを見つけ、「みんなで遊ぼう!」と提案。子供たちが歓声を上げ、健太が「ババ抜きだ!」と叫ぶ。詩織が片腕でカードを配り、笑顔でゲームを始める。彩花が勝って「やった!」と跳ね、他の子が「次は僕が勝つ!」と笑う。
「おじさん、見てて。子供たち、楽しそうでしょ。」詩織が俺を呼ぶ。
「ああ。お前がいるからだ。幸せそうだな。」俺が言い、彼女の頭を軽く叩く。彼女が笑う。
美奈子が子供たちを見ながら言う。「子供って逞しいね。アフリカで密輸ハンターと戦った時、動物の命を守るのに必死だった。でも、こんな笑顔を見ると、人間も負けてないって思うよ。」短髪が陽に光り、彼女が優しく目を細める。
昼過ぎ、補強作業が進む。入り口に車を積み上げ、窓に板を打ち付ける。美奈子がショットガンを手に指示を出し、短髪が風に揺れる。「もっと高くしてね。グリズリーが登れないくらいじゃないと。」彼女が冗談めかすと、田中が笑う。
物資庫から缶詰と乾パンを見つけ、藤田が昼食を作る。50代の元料理人だ。「昔、小料理屋やってた。ゾンビが出てからは料理もサバイバルだよ。でも、みんなが喜んでくれるなら悪くない。」彼がスープに乾パンを加える。
「藤田、うまいな。」佐藤がスープを味わう。
「ありがと。料理は人を繋ぐよ。」藤田が笑う。
子供たちは詩織とスープを囲み、健太が「おじちゃん、お代わり!」とねだる。藤田が笑ってよそう。彩花が詩織に寄り添い、「お姉ちゃん、ずっと一緒にいてね」と呟く。詩織が抱きしめる。「うん、そばにいるよ。」
美奈子が俺にスープを渡す。「食べて。お前、ハンターの娘として言うけど、体力がないと戦えないよ。」短髪が揺れ、彼女が笑う。
「ありがと。アメリカ、どうだった?」俺が聞くと、彼女が目を細める。「色んな動物に会いたくてさ。グリズリーもピューマも強かった。アフリカでは密輸ハンターと戦って、命の重さを知ったよ。今はこれが大事だね。」
「そうだな。この平穏は貴重だ。」俺が頷く。
夕方、補強作業が終わる。入り口は車の壁で固まり、窓は板で塞がれる。美奈子がショットガンを手に確認し、「これなら少し安心だね」と言う。短髪を軽く払い、肩を緩める。
子供たちは詩織と古い絵本を囲み、彼女が片腕で読む。「むかしむかし…」健太と彩花が目を輝かせ、他の子が身を寄せる。
佐藤が言う。「こんな日が続けばいいな。」
「そうだな。だが、油断はできねえ。」俺が返す。田中が笑う。「親父に鍛えられた俺には、こんな日がご褒美だよ。」
由美が呟く。「看護師の時、こんな穏やかさは患者さんに与えたかった。今は自分が癒されるね。」
夜が訪れ、スーパーが静まる。俺は見張りに立ち、詩織が子供たちと眠る姿を見る。美奈子が近づき、「お前、いい仲間だね。ハンター時代は孤独だったけど、今は違うよ」と言う。
「お前もな。この場所はお前がいるからだ。」俺が返す。彼女が笑う。「ありがと。みんなを守れるなら、私も嬉しいよ。」
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