僕のフェロモンでアルファが和んでしまいます

さねうずる

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レオ様は今度こそ本当に反省

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「レオ、お前反省しろっ」
「そうです。ハルが可哀想すぎます。あと私たちも!」


「・・・・本当に悪いと思ってる。」

レオは今、床に正座をさせられゼノウとオリバーから延々と説教を受けていた。


レオとハルが客室に篭った後、真夜中になっても出てこないレオたちをオリバーが心配して様子を見に行ったのだ。

ハルは朝から籠っていたため、食事もまともにとっていない。

レオはそのうち出てくるかと思っていたのにその様子もない。

特殊オメガのヒートは人それぞれ症状の重さが違うと言うが、ハルのはよっぽど重いのかもしれない。


オリバーは最初、二人の邪魔をしないよう軽食を扉の前にでも置いておくつもりだった。


しかし、客室に近づくにつれ、強く匂ってくるのはレオの威圧フェロモンだ。
自分の番を他者に狙われた際などにアルファが発することがあるが、今部屋にいるのはハルとレオだけのはず。

もしや何かあったのか?
心配になり、扉の前で聞き耳を立てると、レオの低い唸り声が聞こえる。

オリバーは意を決して、扉を少し開け放った。


「ハル!?」

思わず声が出た。
ベッドの上のハルはぐったりと力なく横たわっていて、首が血で濡れている。
アンバーの瞳をギラギラ光らせ、こちらを睨みつけるレオの口元も同様に血がついていた。

オリバーは最初、レオがハルを食べたのでは!?と本気で思ってしまうほど動揺した。
なぜなら、番契約のため一咬みした程度の血の量ではなかったからだ。

レオは敵意の篭った目でオリバーを睨みつけながらも、ハルに腰を打ち付けている。

異常な光景だった。

ヤバい。ハルが死ぬ。

本気でそう思ったオリバーは急いでゼノウの元へと飛び、ゼノウを連れて戻った。
あと強烈なハルのフェロモンが残る部屋に戻るため、鼻栓も忘れない。
間抜けな姿だが仕方がない。
レオの威圧フェロモンの匂いのおかげで先程は難を逃れたが、扉を開けた瞬間グラっときたのだ。
眠気が・・・・。


レオ相手にオリバー一人では敵わない。
二人がかりで何とかハルからレオを引き剥がそうとするが、レオは暴れまわり、「ハルに触るなっ」とがなりたてる。

いつもは穏やかな気性のレオだが、獅子へ変身できる魔法の影響か実はかなりのバカ力だ。
オリバーもゼノウも無傷では済まなかった。
鼻栓のせいで息苦しく、体力バカのゼノウでさえゼーハーと息を荒げている。

何とかゼノウのシールドにレオを閉じ込めるとオリバーはハルを医者に見せるため、ゼノウの実家、ヘンリクソン家へと飛んだ。


シールドを激しく殴打してたレオも漸くすると落ち着きを取り戻し、今度は地中に潜りそうな勢いで落ち込みはじめた。

ハルの方は血が出てはいたものの、一つ一つの噛み跡は浅く、大した傷ではなかったため貼り薬のみの処方で済んだ。
しかし、番の証をここまで執拗につけられているオメガを見るのは初めてだと医者も驚きを隠せない。

診察の途中でハルの意識は戻っていたため、驚く医者を前に恥ずかしさのあまり顔を赤くした。





「お二人とも、僕は大丈夫ですから・・・・」

「ハル、甘やかすな。」
「そうです。実際にこの目で見るまで半信半疑でしたが今日やっと分かりました。あれはケモノです。早急に手を打つべきです。」

あまりにも落ち込んでいるレオが可哀想でハルは助け舟を出すが、二人にピシャリと跳ね除けられる。

レオは首をもたげ、もう顔も上げられない。


「だいたいお前、『ハルを幸せな気持ちにしてあげたい』って言ってなかったか!?あれのどこが幸せなセックスなんだよ!!」

「・・・・ゼノウのアドバイス通りにしたら、ハルがあまりに可愛くて、途中から覚えてないんだ。」

口の中でもごもごとレオが言い訳をする。

「俺のせいみたいに言うな!一ミリもそんなアドバイスしてないぞ!・・・・ってなんでハルは顔赤くしてるんだ!?お前も少しは怒れ!!」

なぜか顔を真っ赤に染めたハルが恥ずかしそうにモジモジしているのを見て、ゼノウは頭で火山でも噴火させようとしてるのかと心配になる程怒っていた。

「す、すみません。レオ様が僕のこと幸せにしようって思ってくれてたなんて嬉しくて・・・・あの、すみません。僕のために怒ってくださってるのに。」

ハルは顔を元に戻そうと頬に手を当てるが、どうしても口元がニヤけてしまう。

それを見て、二人は半目になる。

もう勝手にしてくれ、バカップルが。
と唾を吐きたくなった。


「・・・・でも、結局はハルを幸せに出来なかった。今後もこんなんじゃそのうちハルに愛想尽かされる。
ハル・・・・本当にごめん。怖かったよね?頸もそんなにしちゃって痛かっただろ?」

レオは泣きそうなほど顔を歪めてハルに謝る。
フルフルと震える子犬のようなその表情に、場違いにもハルの胸はキュンと高まった。

「僕・・・・頸噛まれる時、レオ様に『全部俺のもの。誰にも渡さない』って言ってもらえて、なんだかとっても幸せな気分でした。
僕のヒートで発情してくれるのもすごい嬉しいし、頸は・・・・ちょっとだけ痛かったけど、でも・・・・その、意識失ったのも、き、気持ち良すぎて・・・・なので、僕はその・・・・」

「ハル・・・・、ありがとう。こんな俺のこと庇ってくれて。
でも、もう金輪際、絶対ハルにあんなヒドいことしないって誓う。これからはハルとエッチする前に10回くらい自分で処理することにするよ。それなら多分、本能に負けることもないと思うから。」


レオはハルをぎゅぅぅうと抱きしめると、加護欲を煽る甘やかな声で
「・・・・だから、俺のこと見捨てないで?」
と囁く。

「僕、レオ様のこと、あ、あ、愛してますから、僕の、つ、番だし、これからもずっと一緒です。」

「ハルっ!!俺も、俺も愛してる!!」


「「・・・・・・・・。」」

完全に二人の世界に入ったハルとレオを尻目に、オリバーとゼノウは完全に白けた顔だ。
傷だらけになった分、損した気持ちである。

まぁ、二人が幸せそうに微笑むのを見るのも悪くないか。とオリバーとゼノウも顔を見合わせてふっと笑みを溢したのだった。





そして、部屋を出たオリバーとゼノウは・・・・


「それにしても、レオって絶倫すぎないか?」

「何故だか男として負けた気分になってしまうのは私だけでしょうか?」

「・・・・いや、俺も。なんかコツとかあんのかな?」

「いやー、どうでしょう。獅子っていうのも関係してるんじゃないですか。」
「・・・・やっぱそうか。」

「・・・・・・・・10回って言ってたな。」
「・・・・・・・・言ってましたね、10回。」

「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」

二人は何とも言えない悔しさを感じつつ、無言のままそれぞれ別れた。
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