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第三章 事件発生
18.ところで狗神の正体って何なんだろう
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何だか不思議な一日だったが、とりあえず亮太は眠かった。
普段ならもうとっくに寝ている時間である。家に帰ると部屋の中は暗く、アキラの呑気なスピー、スピーという寝息が聞こえてきた。
亮太は布団に倒れ込む様に寝転がった。亮太が用意した濡れ雑巾で器用に足裏を拭いた狗神が、亮太の後に続き亮太の腕の上に顎を乗せる。もうここが定位置の様だった。毛がふわふわで気持ちいいので、亮太に異論はない。
「とりあえず寝ましょう、私も少々疲れました」
「だな。おやすみイヌガミ」
「おやすみなさいませ」
大欠伸をしながら布団を掛けると、即座に睡魔が襲ってきた。脳裏に、先程泣いていた様に見えた黒いうねうねする影が空に昇天していく光景が、繰り返し繰り返し流れた。
バーのカウンターで酔い潰れるしかなかった彼女の想いも、きちんと浄化されただろうか。それならいいが、と頭の片隅で思った。
◇
バチン! と額を叩かれた。
亮太はイラっとした。誰だこんなことをするのは。睡眠と覚醒の間に浮上した亮太はそんなことを思い、覚醒に近付くにつれてそんなことを亮太にするのは一人しかいないことに思い当たった。
「アキラ、お前なあああ……」
眉間に思い切り皺を寄せた亮太が目を開けると、やはり亮太を覗き込んでいるのはアキラだった。とっくに起きていたのか、きちんと服も着ている。こいつも服をもう少し買ってやらないとな、そんなことを思ったが、その前にクレームはつけておかねばなるまい。
「人をペチペチペチペチ毎回叩くんじゃねえよ」
「声をかけても起きないから」
遮光カーテンはすでに開けられ、気持ちのいい太陽の光が部屋に差し込んでいた。ちらりと壁掛けの時計を見ると十一時。そこそこいい時間だった。
亮太は、横にお座りをして同じ様に亮太を覗き込んでいる狗神に尋ねた。
「アキラが言ってることは本当か?」
狗神が頷いた。
「そこそこ起こしましたが、ピクリとも」
「そっか」
なら仕方ないか。亮太が納得すると、アキラが不満げに顔を歪ませた。
「亮太、私より狗神の方を信用してない?」
アキラはその事実にようやく気付いたらしい。半身を起こしつつ、亮太は大きく頷いた。
「そりゃそーだ」
アキラが頬を膨らませた。こんな年相応の顔も出来るのが意外だった。しかし狗神よりも自分の方が信頼度が高いなど、よく今までの態度でそんな大それたことを考えられたものだ。
亮太は大きく伸びをし、首をこき、こき、と鳴らした。頭が痒かった。風呂に入りたい。
すると狗神が言った。
「お風呂を沸かしましたので、入られて下さい」
なんて出来た犬だ。感動しかけて、いや、さすがに犬は風呂釜も洗えないしお湯の調節など出来ないことに気が付いた。亮太は驚愕の表情でマットレスの横に狗神と並んで座っているアキラを見た。
「え……まさかアキラが」
「何、その顔」
不快げにアキラが言うと、狗神が横から口を挟んできた。
「亮太、アキラ様がそのようなことをする訳が……」
ガチーン! といい音を立てて、狗神の口が閉じられた。横からアキラが思い切り狗神の口を両手で閉じたのだ。狗神の顎をしっかりと押さえているアキラの表情は、感情が読めない。狗神が不服そうにモゴモゴと口を動かそうとしているが、アキラの力が強いのか叶わなかった。
「い、狗神、舌噛んでないか?」
狗神がアキラをちらっと見た後、無言で頷いた。抵抗するのを諦めたらしい。
「アキラ、離してやれよ、可哀想だろ」
亮太がアキラを注意した。いくら何でもこれは酷すぎる。アキラは狗神をしばし睨みつけた後、ちっと舌打ちをして手を離した。なんて奴だ。
狗神が気を取り直す様に身体をプルプルと震わせた。差し込む光に毛が舞ってキラキラとした。今日もまた掃除機をかけよう。そう思った。
「それでですね、亮太」
「うん?」
「今後の生活についてなのですが、亮太の仕事の出勤時間と帰宅時間を鑑みて、ご飯の時間をアキラ様と検討しました」
鑑みる犬。狗神の異質さには大分慣れたつもりだったが、それでも違和感は拭い切れなかった。何をどうやったら鑑みる犬が出来上がるんだろうか。
そんな亮太の疑問などお構いなしに、狗神が淡々と続けた。
「アキラ様のお腹がギリギリ耐えられる時間を計算しまして、午前中は十一時頃にブランチ。午後は昨日位の四時に夕餉でいきたいのですが、亮太は如何でしょう」
ブランチ。洒落た言い方だ。このクソ真面目な狗神の口から飛び出すとは思わなかった。
「お、おお、それでいいよ」
狗神がすっくと立ち上がった。
「では、昨日は色々とありましたので今日は遅めに起こさせていただきましたが、明日より十時には起床願います。お風呂は帰宅後に入った方がいいと思いますが、帰宅時間はお決まりですか?」
「遅くても四時までには帰れると思うけど」
亮太が頭をボリボリと掻くと、狗神の視線が亮太のその手に注がれた。汚いと言いたいのか。
「では、四時にお風呂が湧いている様に致します。帰宅後速やかに身を清めていただき、タバコと酒の匂いを落として下さい」
「お、おお」
段々スケジュールが組み立てられていく。犬にスケジュール管理されるおっさん。果たしてこれでいいのだろうか。しかし何となくそうかなと思っていたが、狗神はかなりきちっとした性格の様だった。
「では今日は今から作ると遅いので、何か出前を取りましょう。亮太は何がいいですか?」
「ピザ以外なら何でもいい」
「私、この釜飯食べたい!」
アキラが釜飯の宅配メニューをいつの間にか握りしめながら主張してきた。ピザのメニューと一緒に置いておいたやつだ。決して安くはないが、これなら皿が分かれているのでアキラに奪われる心配もない。亮太は頷いた。
「じゃあアキラが頼んどいてくれ。俺は一番普通のヤツを普通盛りでいい。あ、住所は……」
「分かる。大丈夫」
「携帯はロックかかってないからな」
「分かった」
いつの間に調べたのか? 少々謎だったが、アキラがメニューを食い入る様に見始めたので聞くタイミングを見失ってしまった。
「亮太、お風呂が冷めますよ」
狗神が亮太を風呂に入るよう促してきた。まあ、ここは大人しく入っておこう。それにきっと目が覚めるに違いない。
ゆっくりと立ち上がると、亮太はまた身体が軽くなっていることに気が付いた。いつもの様に、足に血がどっと降りていく様な感覚がない。亮太は、亮太を見上げている狗神を見る。
こいつが来てから、身体の調子がやたらといい。いや、タバコを吸う気がなくなったのはアキラが来てからだ。一体どうなってんだ。
「亮太」
「あ、ああ分かった分かった」
着替えを押入れに取りに行き、亮太は狗神に急かされるまま風呂場へと急行したのだった。
◇
風呂の湯加減は丁度よかった。
あの感じだと恐らく狗神に言われてアキラが風呂の用意をしたのだろうが、それでも人にやってもらうなどいつぶりだろうか。じんわりと温まるのは身体だけではないようだった。
立ち昇る湯気をぼんやりと見つめながら、そういえばそろそろちゃんとアキラの生い立ちについて聞かないといけないな、と思った。当たり前の様に一緒に飯を食ったりして過ごしているが、考えてみれば亮太はアキラの苗字すら知らなかった。これでいい訳がないだろう。いくら何でも適当過ぎる。
アキラはあまり自分のことを話したくはない様だが、この先しばらく一緒に暮らすのであればもう少しアキラのことも知っておくべきだった。何かあった時にどこの誰かも分からないんじゃどうしようもない。
そろそろ上がろうかな、と亮太が思ったその時、ピンポーン、というチャイムの音が鳴り響いた。釜飯が来たらしい。丁度いいタイミングだ、亮太は風呂から上がることにした。
前は風呂場から出た所にある脱衣場で身体を拭いていたが、今は子供とはいえ女性が同じ家にいる。素っ裸を見られるのはこっ恥ずかしいので、洗い場で拭くことにした。風呂のドアを薄く開けて脱衣場に突っ張り棒を張って掛けてあるバスタオルを取ろうとしたその時。
「お会計○○○○円になりまーす!」
元気な配達員の声が聞こえてきた。早く上がらないとな、そう思ってバスタオルを引き抜くと、とんでもない声が亮太の耳に飛び込んできた。
「ありがとうございました」
「イヌガミ!?」
慌てて外に出ようとして、このままじゃ出れないことに気が付き急いで腰にバスタオルを巻きつけた。狗神が今、配達員にありがとうって言ってなかったか。犬が。
バタン、と玄関のドアが閉じるのと、亮太が風呂場から半裸で飛び出したのとがほぼ同時だった。
「おま、お前っ今配達員に喋って……!」
玄関にいた狗神が静かな声で言った。
「はて? 今お金を払って礼を言ったのはアキラ様ですが」
「え?」
よく見ると、狗神の後ろにアキラが膝をついて肩で息をしながら座っていた。そんなアキラは亮太をちらっと見るとすぐに目を逸した。あ、半裸だった。
「亮太、女性の前ですよ」
「わ、悪い」
亮太は慌てて風呂場の中へと戻った。床は水浸しになっていた。後でしっかりと雑巾で拭かねば。
しかし、さっきの声はどう考えても狗神の声だった様にしか思えないが、一体どういうことだろうか。
亮太は一人、首を傾げた。
普段ならもうとっくに寝ている時間である。家に帰ると部屋の中は暗く、アキラの呑気なスピー、スピーという寝息が聞こえてきた。
亮太は布団に倒れ込む様に寝転がった。亮太が用意した濡れ雑巾で器用に足裏を拭いた狗神が、亮太の後に続き亮太の腕の上に顎を乗せる。もうここが定位置の様だった。毛がふわふわで気持ちいいので、亮太に異論はない。
「とりあえず寝ましょう、私も少々疲れました」
「だな。おやすみイヌガミ」
「おやすみなさいませ」
大欠伸をしながら布団を掛けると、即座に睡魔が襲ってきた。脳裏に、先程泣いていた様に見えた黒いうねうねする影が空に昇天していく光景が、繰り返し繰り返し流れた。
バーのカウンターで酔い潰れるしかなかった彼女の想いも、きちんと浄化されただろうか。それならいいが、と頭の片隅で思った。
◇
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亮太はイラっとした。誰だこんなことをするのは。睡眠と覚醒の間に浮上した亮太はそんなことを思い、覚醒に近付くにつれてそんなことを亮太にするのは一人しかいないことに思い当たった。
「アキラ、お前なあああ……」
眉間に思い切り皺を寄せた亮太が目を開けると、やはり亮太を覗き込んでいるのはアキラだった。とっくに起きていたのか、きちんと服も着ている。こいつも服をもう少し買ってやらないとな、そんなことを思ったが、その前にクレームはつけておかねばなるまい。
「人をペチペチペチペチ毎回叩くんじゃねえよ」
「声をかけても起きないから」
遮光カーテンはすでに開けられ、気持ちのいい太陽の光が部屋に差し込んでいた。ちらりと壁掛けの時計を見ると十一時。そこそこいい時間だった。
亮太は、横にお座りをして同じ様に亮太を覗き込んでいる狗神に尋ねた。
「アキラが言ってることは本当か?」
狗神が頷いた。
「そこそこ起こしましたが、ピクリとも」
「そっか」
なら仕方ないか。亮太が納得すると、アキラが不満げに顔を歪ませた。
「亮太、私より狗神の方を信用してない?」
アキラはその事実にようやく気付いたらしい。半身を起こしつつ、亮太は大きく頷いた。
「そりゃそーだ」
アキラが頬を膨らませた。こんな年相応の顔も出来るのが意外だった。しかし狗神よりも自分の方が信頼度が高いなど、よく今までの態度でそんな大それたことを考えられたものだ。
亮太は大きく伸びをし、首をこき、こき、と鳴らした。頭が痒かった。風呂に入りたい。
すると狗神が言った。
「お風呂を沸かしましたので、入られて下さい」
なんて出来た犬だ。感動しかけて、いや、さすがに犬は風呂釜も洗えないしお湯の調節など出来ないことに気が付いた。亮太は驚愕の表情でマットレスの横に狗神と並んで座っているアキラを見た。
「え……まさかアキラが」
「何、その顔」
不快げにアキラが言うと、狗神が横から口を挟んできた。
「亮太、アキラ様がそのようなことをする訳が……」
ガチーン! といい音を立てて、狗神の口が閉じられた。横からアキラが思い切り狗神の口を両手で閉じたのだ。狗神の顎をしっかりと押さえているアキラの表情は、感情が読めない。狗神が不服そうにモゴモゴと口を動かそうとしているが、アキラの力が強いのか叶わなかった。
「い、狗神、舌噛んでないか?」
狗神がアキラをちらっと見た後、無言で頷いた。抵抗するのを諦めたらしい。
「アキラ、離してやれよ、可哀想だろ」
亮太がアキラを注意した。いくら何でもこれは酷すぎる。アキラは狗神をしばし睨みつけた後、ちっと舌打ちをして手を離した。なんて奴だ。
狗神が気を取り直す様に身体をプルプルと震わせた。差し込む光に毛が舞ってキラキラとした。今日もまた掃除機をかけよう。そう思った。
「それでですね、亮太」
「うん?」
「今後の生活についてなのですが、亮太の仕事の出勤時間と帰宅時間を鑑みて、ご飯の時間をアキラ様と検討しました」
鑑みる犬。狗神の異質さには大分慣れたつもりだったが、それでも違和感は拭い切れなかった。何をどうやったら鑑みる犬が出来上がるんだろうか。
そんな亮太の疑問などお構いなしに、狗神が淡々と続けた。
「アキラ様のお腹がギリギリ耐えられる時間を計算しまして、午前中は十一時頃にブランチ。午後は昨日位の四時に夕餉でいきたいのですが、亮太は如何でしょう」
ブランチ。洒落た言い方だ。このクソ真面目な狗神の口から飛び出すとは思わなかった。
「お、おお、それでいいよ」
狗神がすっくと立ち上がった。
「では、昨日は色々とありましたので今日は遅めに起こさせていただきましたが、明日より十時には起床願います。お風呂は帰宅後に入った方がいいと思いますが、帰宅時間はお決まりですか?」
「遅くても四時までには帰れると思うけど」
亮太が頭をボリボリと掻くと、狗神の視線が亮太のその手に注がれた。汚いと言いたいのか。
「では、四時にお風呂が湧いている様に致します。帰宅後速やかに身を清めていただき、タバコと酒の匂いを落として下さい」
「お、おお」
段々スケジュールが組み立てられていく。犬にスケジュール管理されるおっさん。果たしてこれでいいのだろうか。しかし何となくそうかなと思っていたが、狗神はかなりきちっとした性格の様だった。
「では今日は今から作ると遅いので、何か出前を取りましょう。亮太は何がいいですか?」
「ピザ以外なら何でもいい」
「私、この釜飯食べたい!」
アキラが釜飯の宅配メニューをいつの間にか握りしめながら主張してきた。ピザのメニューと一緒に置いておいたやつだ。決して安くはないが、これなら皿が分かれているのでアキラに奪われる心配もない。亮太は頷いた。
「じゃあアキラが頼んどいてくれ。俺は一番普通のヤツを普通盛りでいい。あ、住所は……」
「分かる。大丈夫」
「携帯はロックかかってないからな」
「分かった」
いつの間に調べたのか? 少々謎だったが、アキラがメニューを食い入る様に見始めたので聞くタイミングを見失ってしまった。
「亮太、お風呂が冷めますよ」
狗神が亮太を風呂に入るよう促してきた。まあ、ここは大人しく入っておこう。それにきっと目が覚めるに違いない。
ゆっくりと立ち上がると、亮太はまた身体が軽くなっていることに気が付いた。いつもの様に、足に血がどっと降りていく様な感覚がない。亮太は、亮太を見上げている狗神を見る。
こいつが来てから、身体の調子がやたらといい。いや、タバコを吸う気がなくなったのはアキラが来てからだ。一体どうなってんだ。
「亮太」
「あ、ああ分かった分かった」
着替えを押入れに取りに行き、亮太は狗神に急かされるまま風呂場へと急行したのだった。
◇
風呂の湯加減は丁度よかった。
あの感じだと恐らく狗神に言われてアキラが風呂の用意をしたのだろうが、それでも人にやってもらうなどいつぶりだろうか。じんわりと温まるのは身体だけではないようだった。
立ち昇る湯気をぼんやりと見つめながら、そういえばそろそろちゃんとアキラの生い立ちについて聞かないといけないな、と思った。当たり前の様に一緒に飯を食ったりして過ごしているが、考えてみれば亮太はアキラの苗字すら知らなかった。これでいい訳がないだろう。いくら何でも適当過ぎる。
アキラはあまり自分のことを話したくはない様だが、この先しばらく一緒に暮らすのであればもう少しアキラのことも知っておくべきだった。何かあった時にどこの誰かも分からないんじゃどうしようもない。
そろそろ上がろうかな、と亮太が思ったその時、ピンポーン、というチャイムの音が鳴り響いた。釜飯が来たらしい。丁度いいタイミングだ、亮太は風呂から上がることにした。
前は風呂場から出た所にある脱衣場で身体を拭いていたが、今は子供とはいえ女性が同じ家にいる。素っ裸を見られるのはこっ恥ずかしいので、洗い場で拭くことにした。風呂のドアを薄く開けて脱衣場に突っ張り棒を張って掛けてあるバスタオルを取ろうとしたその時。
「お会計○○○○円になりまーす!」
元気な配達員の声が聞こえてきた。早く上がらないとな、そう思ってバスタオルを引き抜くと、とんでもない声が亮太の耳に飛び込んできた。
「ありがとうございました」
「イヌガミ!?」
慌てて外に出ようとして、このままじゃ出れないことに気が付き急いで腰にバスタオルを巻きつけた。狗神が今、配達員にありがとうって言ってなかったか。犬が。
バタン、と玄関のドアが閉じるのと、亮太が風呂場から半裸で飛び出したのとがほぼ同時だった。
「おま、お前っ今配達員に喋って……!」
玄関にいた狗神が静かな声で言った。
「はて? 今お金を払って礼を言ったのはアキラ様ですが」
「え?」
よく見ると、狗神の後ろにアキラが膝をついて肩で息をしながら座っていた。そんなアキラは亮太をちらっと見るとすぐに目を逸した。あ、半裸だった。
「亮太、女性の前ですよ」
「わ、悪い」
亮太は慌てて風呂場の中へと戻った。床は水浸しになっていた。後でしっかりと雑巾で拭かねば。
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