雨宮課長に甘えたい

コハラ

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一緒に暮らす

《4》

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食後は私が拓海さんにコーヒーを淹れてあげた。

コーヒーを淹れるペアの水色とピンクのマグカップは私が衝動買いしたもので、拓海さんが家に来てくれた時に使っていた。今日から拓海さんの家で使えるのが嬉しい。

「お待たせしました」

リビングのソファにゆったりと座る、拓海さんの前に水色のマグカップを置く。私はピンクのマグカップを持ったまま拓海さんの隣に座る。

拓海さんの隣がすっかり定位置。

「奈々ちゃんが淹れるコーヒーはやっぱり美味しい」
「本当に?」
「うん」
「じゃあ、これからは毎日、淹れてあげる」
「時々でいいよ。奈々ちゃんも忙しいだろうし」

こうやって気遣ってくれる所が拓海さんっぽい。

「毎日淹れるもん」

甘えたように言うと拓海さんが頭を撫でてくれた。
嬉しくて心臓が飛び跳ねる。

今日からこんなに幸せな生活を送れるなんて夢のよう。
生きていて良かった。

「それで拓海さん、大事な話とは?」

「うん。その、奈々ちゃんのご両親の前で話したけど、将来的には奈々ちゃんと結婚したいと思っていると、きちんと言っておこうと思って。でも、今すぐって訳ではないから」

拓海さんが私の様子を見ながら慎重に話し始める。

「まあ、俺の気持ち的には今すぐにでも結婚したいが、俺は一度失敗しているしな」

拓海さんが苦笑を浮かべる。

「だから、まずは一緒に暮らしてみて、奈々ちゃんが俺と結婚したくなったらでいいと思っている」

いつも拓海さん、私の気持ちを優先してくれる。

「結婚するかどうかは、奈々ちゃんにちゃんと考えてもらって選択してもらいたい。付き合ったばかりの今は俺のいい所しか見えないと思うだろうし、一緒にいれば合わないと思う所が絶対に出てくるから」

やっぱり拓海さん大人だな。
こうやって言ってくれるのは私が我慢して苦しい想いをしない為なんだよね。

私も拓海さんに我慢させちゃいけない。

「それ、拓海さんの方にもありますよね。一緒に暮らしてみて私と合わないと思う事、きっと出てきますよね。そうなった時はどうしますか?」

「そういう時は話し合いをしよう。俺は前の結婚で奥さんときちんと向き合えなかった。今思うと、腹を割って話す事をあまりして来なかったんだ。奈々ちゃんとは気持ちをちゃんとぶつけて、理解し合える関係になりたい。だから、何でも言って欲しい。俺にムカついたら、ムカつくって言って欲しい。そういう所、直すから」

「それは拓海さんもですよ。遠慮しないで言って下さいね。私も直しますから」

「うん。ケンカしたらなるべくはその日の内に仲直りしよう」

「はい。ケンカしても同じベッドで寝ましょうね」

「そうだね。ケンカした時は手をつないで寝よう。気持ちの確認ができた所で、これは一緒に暮らし始めた記念のプレゼント」

拓海さんがカーディガンのポケットから小箱を取り出した。
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