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一緒に暮らす
《3》
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一生に暮らすという事はその先に結婚して夫婦になるって事にもつながってくるんだ。拓海さんが私の両親に会ったのはそういう意味もあったんだと改めて気づかされた。
拓海さんに深く愛されていると思ったら、嬉しくて目の奥が熱くなる。
「拓海さん、大好き!」
思わず拓海さんに抱き着くと、お父さんもお母さんも目を丸くした。
大好きな映画の仕事一筋で一生独身でいると言っていた私は本来、こんな風に拓海さんに抱き着くキャラではないのだ。
両親の前だったけど、拓海さんがあまりにも愛しくて、我慢できなかった。
私を見て、お父さんが突然笑い出した。
「奈々子の気持ちも、雨宮さんの気持ちもわかりました。雨宮さん、不束な娘ですが、よろしくお願いいたします」
お父さんが拓海さんに頭を下げた。
どうやら拓海さんと一緒に暮らす事を許してくれたみたい。良かった。
※
12月の最初の土曜日、代官山の拓海さんのマンションに引っ越した。会社は遠くなるけど、拓海さんが私の所に来るよりも、広い拓海さんの部屋に私が引っ越した方がいいと押し切った。
8帖の空き部屋をもらい、そこに私の荷物を全部詰め込んだ。大きな家具や、冷蔵庫などの家電は処分していたので、荷物はそんなにない。
午前中で引っ越しが終わってお昼に拓海さんがお蕎麦を茹でてくれた。
「引っ越し蕎麦ですね」
私の言葉に拓海さんが嬉しそうに微笑む。
「奈々ちゃんと生活が始まる記念すべき最初のご飯だね」
最初のご飯って言われて、引っ越しそばが特別なメニューのような気がしてくる。
「じゃあ、今日は私たちの引っ越しそば記念日になるの? 毎年、お蕎麦を食べます?」
拓海さんがクスクス笑う。
「そこまで意味を持たせなくてもいいよ。奈々ちゃんは何でも素直に受け取るからいつも面白い」
私、拓海さんに面白がられていたんだ。
そういえばよく笑われている気もする。
拓海さんを笑顔に出来ていると思ったら嬉しい。
ダイニングテーブルに並んで座って、拓海さんとお蕎麦をすする。
ズルズルと響くお蕎麦の音も何だか甘い。
拓海さんと目が合うと、微笑んでくれた。
そんな拓海さんを見て、幸せを感じる。
同棲っていいな。拓海さんとずっと一緒だ。
それからご飯が終わって、拓海さんに大事な話があると言われて、ドキッとした。
最近の私たちの関係を考えれば、もしかしてプロポーズ?
でも、ちょっと展開早くない?
一緒に暮らし始めた初日だし。
拓海さんに深く愛されていると思ったら、嬉しくて目の奥が熱くなる。
「拓海さん、大好き!」
思わず拓海さんに抱き着くと、お父さんもお母さんも目を丸くした。
大好きな映画の仕事一筋で一生独身でいると言っていた私は本来、こんな風に拓海さんに抱き着くキャラではないのだ。
両親の前だったけど、拓海さんがあまりにも愛しくて、我慢できなかった。
私を見て、お父さんが突然笑い出した。
「奈々子の気持ちも、雨宮さんの気持ちもわかりました。雨宮さん、不束な娘ですが、よろしくお願いいたします」
お父さんが拓海さんに頭を下げた。
どうやら拓海さんと一緒に暮らす事を許してくれたみたい。良かった。
※
12月の最初の土曜日、代官山の拓海さんのマンションに引っ越した。会社は遠くなるけど、拓海さんが私の所に来るよりも、広い拓海さんの部屋に私が引っ越した方がいいと押し切った。
8帖の空き部屋をもらい、そこに私の荷物を全部詰め込んだ。大きな家具や、冷蔵庫などの家電は処分していたので、荷物はそんなにない。
午前中で引っ越しが終わってお昼に拓海さんがお蕎麦を茹でてくれた。
「引っ越し蕎麦ですね」
私の言葉に拓海さんが嬉しそうに微笑む。
「奈々ちゃんと生活が始まる記念すべき最初のご飯だね」
最初のご飯って言われて、引っ越しそばが特別なメニューのような気がしてくる。
「じゃあ、今日は私たちの引っ越しそば記念日になるの? 毎年、お蕎麦を食べます?」
拓海さんがクスクス笑う。
「そこまで意味を持たせなくてもいいよ。奈々ちゃんは何でも素直に受け取るからいつも面白い」
私、拓海さんに面白がられていたんだ。
そういえばよく笑われている気もする。
拓海さんを笑顔に出来ていると思ったら嬉しい。
ダイニングテーブルに並んで座って、拓海さんとお蕎麦をすする。
ズルズルと響くお蕎麦の音も何だか甘い。
拓海さんと目が合うと、微笑んでくれた。
そんな拓海さんを見て、幸せを感じる。
同棲っていいな。拓海さんとずっと一緒だ。
それからご飯が終わって、拓海さんに大事な話があると言われて、ドキッとした。
最近の私たちの関係を考えれば、もしかしてプロポーズ?
でも、ちょっと展開早くない?
一緒に暮らし始めた初日だし。
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