26 / 27
26
しおりを挟むユーリはそのまま何も言わず黙ってしまった。
(やっぱり、困るわよね)
形だけから始まった私たちの関係。お互い、恋愛や溺愛なんて言葉から離れたくて利害が一致した関係だったのに、それを裏切るようなことを言ってしまった。
彼からすると、言い寄ってくる他の女性たちと何も変わらないだろう。
「あの、だからね、護衛とかこのお屋敷のこととか、最初に言っていた約束を守れていないのに私のことで負担をかけているでしょう? それは違うなって思って……、あ、あの、ねえ、ユーリ?」
黙ったまま固まっていたユーリが、大きく息を吐き出して私の肩に額を乗せた。そのままぎゅうっと抱きしめられる。
「ユーリ、あの」
「なんで」
くぐもった声が耳元で響き、それはなんだか泣いているように感じた。そっとその背中に手を回すと、さらに強く抱きしめられる。ぐりぐりと肩口に額を押し付ける彼は、なんだか甘えた子犬のようだ。
「ユーリ?」
「先に言わないで」
「え? ぁっ」
ユーリはそのまま私の首筋に唇を寄せた。唇は優しく首筋を這い、そのままするすると上ってくる。こつん、と額を合わせ鼻先が触れる。
目の前の青い瞳が日の光に照らされてキラキラ輝き、私が映っている。うっすらと目許を赤くしたユーリは少しだけ困ったように眉尻を下げて、私の後頭部へ手を差し込んだ。
「好きだよ」
熱い吐息が唇にかかり、もう片方の掌が私の頬を包み込んだ。
「……え」
「好きだよアリサ」
ふわり、と唇が優しく触れてすぐに離れる。
「――すき?」
「うん、好き」
「え、でも」
「うん?」
「形だけって約束は?」
「すぐに終わった」
「え?」
「だってもう、すぐ君が欲しくなったから」
かあっと顔が熱くなった。
「だ、だって、でも」
「うん、ごめんね」
ちゅ、ちゅっと顔中に口付けをしたユーリがはあっと息を吐き出し私をぎゅうっと抱きしめ髪に顔を埋めた。
「よかった……」
「な、なにが?」
「もう終わらせようって言われて俺、何をするかわからなかった」
「どういう意味……?」
「ザックのもとに戻るのかと」
「え? どうして?」
何がどうなってそうなるのだろう。
首を傾げると耳元でふふっとユーリが小さく笑った。吐息がくすぐったくて肩を竦めると、ちゅ、と耳に口付けを落とされる。
「俺が好きになったら、君は嫌がるかと思ってすごく迷った」
「それは私も……だけど」
「俺たちの間に恋愛感情がないからいいんだって」
言いました。言ったのは私です。
「君との関係を終わらせたくなかったんだ」
「わ、わたしも……」
だから言えなかった。今さらこの関係が恋愛になるなんて思わなかったから。
「ユーリに迷惑になると思って……」
「迷惑じゃない。嬉しい。好き。好きだよアリサ」
顔や耳、頭、首に、たくさん口付けが降ってくる。
「あ、あのユーリ、ん、んむ」
「好き。ずっと言いたかった。好きだよアリサ、好き」
はむ、と唇が食まれちゅうっと吸われると、背筋がぞくりと痺れた。はふ、と息を吐き出すとユーリの舌がぬるりと入り込む。
「ん、あっ、んんっ」
そのまま押し倒されユーリが上から圧し掛かり、身動きが取れないほど抱き締められて深く口付けを繰り返す。大きく口を開けて彼を受け入れ舌を激しく擦り合わせると、身体の中心に火が灯るように熱くなった。
口端から唾液が流れ落ち、ぱたっとソファに雫を落とす。
「アリサ、どこまでならいい?」
唇が離れ、熱い息を吐き出しながらユーリが問う。ぼんやりとした頭で彼を見上げると、目許を赤く染め荒い呼吸を繰り返すユーリが、私の上に跨りながら纏っていた外套を脱ぎ捨てた。
「ど、どこ?」
「溺愛って、どんなこと?」
「え、わかんな……、あっ」
「アリサの嫌がることはしたくないから、言って?」
「い、嫌だったら言うけど、でも」
「でも?」
「あなたにされて嫌なことはなかったわ」
「~~っ」
ユーリは私の脚を掴むとグイっと大きく開いた。スカートが捲れ上がり、その間に身体を割り込ませて自身の昂ぶりを押し付ける。
「アリサ、そんなこと言って、ごめん俺、すごい余裕ないから困る」
「いいわ」
「アリサ」
「いいの。余裕なくてもいいから」
彼は私の言葉を聞くとぐうっと喉を鳴らし、私のドレスの上衣をグイっと下着ごと肩から乱暴にずり下ろした。大きく開いた襟ぐりからいとも簡単に脱げたドレスは、私の胸を無防備に晒す。それを見てごくりと喉を鳴らすと、ぬらりと首筋を舐め上げ、そのまま鎖骨へ、胸元へと移動した。私の胸を両手で持ち上げ指を沈めて捏ねながら、頂をすぐに口に含み舌で激しく嬲る。
「あっ、あんっ、ゆーり、あっ」
もう一方の胸を指で捻りながら、口内に含んだ頂を唇で扱き、吸い上げる。その間もグイグイと彼の昂ぶりを押し付けられ、じれったさに無意識に腰が揺れた。ちゅっと音を立てて頂から口を離した彼は顔を上げ、胸元から私を上目遣いに見た。
「かわいい、腰が揺れてる。気持ちいい?」
「ん、ダメ……」
「だめ? やめる?」
「やだ、もっと……」
「もっとしていい?」
「ああっ!」
掌が太腿を撫で、脚の間に潜り込んだ。下着をずらし差し込まれた指がぐぷりとあわいに沈められ、私のいいところを探り指の腹で引っ掻く。指を激しく出し入れしかき回して、親指がぐりぐりと芽を捏ね、その強い刺激にびりびりと全身に刺激が走った。
「あっ、あっ! ゆーり、あっ」
「明るいところで初めて見た……、すごい、真っ白な肌がピンクに染まってく。きれいだよアリサ」
息を荒くしたユーリが、私を見下ろしながらその動きをどんどん激しくしていく。部屋に響き渡る水音と、彼に見られている、そのことに身体が痺れ身を捩った。
「凄い、ぐちゃぐちゃに濡れてる。ねえアリサ、気持ちいい?」
「もっとっ、あっ、ゆーり、ユーリ好き……っ!」
「俺も、俺も好きだよアリサ」
彼の肩に片脚を担がれ大きく脚を開きながら、あわいをかき混ぜられて深い口付けを受ける。明るい日の光が差し込む部屋で、自分の声と水音が響き渡る。彼に与えられる快感に頭が真っ白になり、何も考えられない。
「イって、アリサ」
そう囁く彼の声に私の全身に力が入り、担がれた脚がピンと伸びた。視界が真っ白に飛び、ふわりと身体から力が抜ける。
「ああくそ、すごい……ごめんアリサ、俺もう」
彼は素早く私の下着を脱がせると、朦朧とする私の脚を大きく開き、取り出した自身の昂ぶりをあわいに当て、一気に貫いた。
「……っ!」
まだ高みにいた私の身体は、彼の昂ぶりを飲み込みまた大きく痙攣する。
「……っ! く……あ、すご……っ」
まだ高みから降りていない私の身体はびくびくと震えながらユーリを締め付けた。ぎゅうっと締め付ける自らの動きにすら身体が過剰に反応し、また痙攣する。
「アリサ、入れただけでイッた? すごい、吸い付いて絡む……っ」
ユーリは深く息を吐き出すと、ずるりと腰を引き、また奥を強く穿った。声にならない嬌声が押し出され喉をのけ反らせると、私の腰を両手でがっしりと掴み、ふーっとまた長く息を吐き出す。
「アリサ、ずっと俺といて。絶対俺から離れないで」
そう言って激しく何度も何度も腰を打ち付け、うわ言のように私の名前を繰り返し呼ぶ。
ああ、これって小説の台詞みたいだ、なんて思ったのを最後に、私の意識はそこで途切れた。
69
あなたにおすすめの小説
初恋をこじらせた騎士軍師は、愛妻を偏愛する ~有能な頭脳が愛妻には働きません!~
如月あこ
恋愛
宮廷使用人のメリアは男好きのする体型のせいで、日頃から貴族男性に絡まれることが多く、自分の身体を嫌っていた。
ある夜、悪辣で有名な貴族の男に王城の庭園へ追い込まれて、絶体絶命のピンチに陥る。
懸命に守ってきた純潔がついに散らされてしまう! と、恐怖に駆られるメリアを助けたのは『騎士軍師』という特別な階級を与えられている、策士として有名な男ゲオルグだった。
メリアはゲオルグの提案で、大切な人たちを守るために、彼と契約結婚をすることになるが――。
騎士軍師(40歳)×宮廷使用人(22歳)
ひたすら不器用で素直な二人の、両片想いむずむずストーリー。
※ヒロインは、むちっとした体型(太っているわけではないが、本人は太っていると思い込んでいる)
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
コワモテ軍人な旦那様は彼女にゾッコンなのです~新婚若奥様はいきなり大ピンチ~
二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
政治家の令嬢イリーナは社交界の《白薔薇》と称される程の美貌を持ち、不自由無く華やかな生活を送っていた。
彼女は王立陸軍大尉ディートハルトに一目惚れするものの、国内で政治家と軍人は長年対立していた。加えて軍人は質実剛健を良しとしており、彼女の趣味嗜好とはまるで正反対であった。
そのためイリーナは華やかな生活を手放すことを決め、ディートハルトと無事に夫婦として結ばれる。
幸せな結婚生活を謳歌していたものの、ある日彼女は兄と弟から夜会に参加して欲しいと頼まれる。
そして夜会終了後、ディートハルトに華美な装いをしているところを見られてしまって……?
勘違い妻は騎士隊長に愛される。
更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。
ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ――
あれ?何か怒ってる?
私が一体何をした…っ!?なお話。
有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。
※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
【完結】男装令嬢、深い事情により夜だけ王弟殿下の恋人を演じさせられる
千堂みくま
恋愛
ある事情のため男として生きる伯爵令嬢ルルシェ。彼女の望みはただ一つ、父親の跡を継いで領主となること――だが何故か王弟であるイグニス王子に気に入られ、彼の側近として長いあいだ仕えてきた。
女嫌いの王子はなかなか結婚してくれず、彼の結婚を機に領地へ帰りたいルルシェはやきもきしている。しかし、ある日とうとう些細なことが切っ掛けとなり、イグニスに女だとバレてしまった。
王子は性別の秘密を守る代わりに「俺の女嫌いが治るように協力しろ」と持ちかけてきて、夜だけ彼の恋人を演じる事になったのだが……。
○ニブい男装令嬢と不器用な王子が恋をする物語。○Rシーンには※印あり。
[男装令嬢は伯爵家を継ぎたい!]の改稿版です。
ムーンライトでも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる