溺愛恋愛お断り〜秘密の騎士は生真面目事務官を落としたい〜

かほなみり

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 ユーリはそのまま何も言わず黙ってしまった。

(やっぱり、困るわよね)

 形だけから始まった私たちの関係。お互い、恋愛や溺愛なんて言葉から離れたくて利害が一致した関係だったのに、それを裏切るようなことを言ってしまった。
 彼からすると、言い寄ってくる他の女性たちと何も変わらないだろう。

「あの、だからね、護衛とかこのお屋敷のこととか、最初に言っていた約束を守れていないのに私のことで負担をかけているでしょう? それは違うなって思って……、あ、あの、ねえ、ユーリ?」

 黙ったまま固まっていたユーリが、大きく息を吐き出して私の肩に額を乗せた。そのままぎゅうっと抱きしめられる。

「ユーリ、あの」
「なんで」

 くぐもった声が耳元で響き、それはなんだか泣いているように感じた。そっとその背中に手を回すと、さらに強く抱きしめられる。ぐりぐりと肩口に額を押し付ける彼は、なんだか甘えた子犬のようだ。

「ユーリ?」
「先に言わないで」
「え? ぁっ」

 ユーリはそのまま私の首筋に唇を寄せた。唇は優しく首筋を這い、そのままするすると上ってくる。こつん、と額を合わせ鼻先が触れる。
 目の前の青い瞳が日の光に照らされてキラキラ輝き、私が映っている。うっすらと目許を赤くしたユーリは少しだけ困ったように眉尻を下げて、私の後頭部へ手を差し込んだ。

「好きだよ」

 熱い吐息が唇にかかり、もう片方の掌が私の頬を包み込んだ。

「……え」
「好きだよアリサ」

 ふわり、と唇が優しく触れてすぐに離れる。

「――すき?」
「うん、好き」
「え、でも」
「うん?」
「形だけって約束は?」
「すぐに終わった」
「え?」
「だってもう、すぐ君が欲しくなったから」

 かあっと顔が熱くなった。
 
「だ、だって、でも」
「うん、ごめんね」

 ちゅ、ちゅっと顔中に口付けをしたユーリがはあっと息を吐き出し私をぎゅうっと抱きしめ髪に顔を埋めた。

「よかった……」
「な、なにが?」
「もう終わらせようって言われて俺、何をするかわからなかった」
「どういう意味……?」
「ザックのもとに戻るのかと」
「え? どうして?」

 何がどうなってそうなるのだろう。
 首を傾げると耳元でふふっとユーリが小さく笑った。吐息がくすぐったくて肩を竦めると、ちゅ、と耳に口付けを落とされる。

「俺が好きになったら、君は嫌がるかと思ってすごく迷った」
「それは私も……だけど」
「俺たちの間に恋愛感情がないからいいんだって」

 言いました。言ったのは私です。

「君との関係を終わらせたくなかったんだ」
「わ、わたしも……」

 だから言えなかった。今さらこの関係が恋愛になるなんて思わなかったから。

「ユーリに迷惑になると思って……」
「迷惑じゃない。嬉しい。好き。好きだよアリサ」

 顔や耳、頭、首に、たくさん口付けが降ってくる。

「あ、あのユーリ、ん、んむ」
「好き。ずっと言いたかった。好きだよアリサ、好き」

 はむ、と唇が食まれちゅうっと吸われると、背筋がぞくりと痺れた。はふ、と息を吐き出すとユーリの舌がぬるりと入り込む。
 
 「ん、あっ、んんっ」
 
 そのまま押し倒されユーリが上から圧し掛かり、身動きが取れないほど抱き締められて深く口付けを繰り返す。大きく口を開けて彼を受け入れ舌を激しく擦り合わせると、身体の中心に火が灯るように熱くなった。
 口端から唾液が流れ落ち、ぱたっとソファに雫を落とす。

「アリサ、どこまでならいい?」

 唇が離れ、熱い息を吐き出しながらユーリが問う。ぼんやりとした頭で彼を見上げると、目許を赤く染め荒い呼吸を繰り返すユーリが、私の上に跨りながら纏っていた外套を脱ぎ捨てた。

「ど、どこ?」
「溺愛って、どんなこと?」
「え、わかんな……、あっ」
「アリサの嫌がることはしたくないから、言って?」
「い、嫌だったら言うけど、でも」
「でも?」
「あなたにされて嫌なことはなかったわ」
「~~っ」

 ユーリは私の脚を掴むとグイっと大きく開いた。スカートが捲れ上がり、その間に身体を割り込ませて自身の昂ぶりを押し付ける。

「アリサ、そんなこと言って、ごめん俺、すごい余裕ないから困る」
「いいわ」
「アリサ」
「いいの。余裕なくてもいいから」

 彼は私の言葉を聞くとぐうっと喉を鳴らし、私のドレスの上衣をグイっと下着ごと肩から乱暴にずり下ろした。大きく開いた襟ぐりからいとも簡単に脱げたドレスは、私の胸を無防備に晒す。それを見てごくりと喉を鳴らすと、ぬらりと首筋を舐め上げ、そのまま鎖骨へ、胸元へと移動した。私の胸を両手で持ち上げ指を沈めて捏ねながら、頂をすぐに口に含み舌で激しく嬲る。

「あっ、あんっ、ゆーり、あっ」

 もう一方の胸を指で捻りながら、口内に含んだ頂を唇で扱き、吸い上げる。その間もグイグイと彼の昂ぶりを押し付けられ、じれったさに無意識に腰が揺れた。ちゅっと音を立てて頂から口を離した彼は顔を上げ、胸元から私を上目遣いに見た。

「かわいい、腰が揺れてる。気持ちいい?」
「ん、ダメ……」
「だめ? やめる?」
「やだ、もっと……」
「もっとしていい?」
「ああっ!」

 掌が太腿を撫で、脚の間に潜り込んだ。下着をずらし差し込まれた指がぐぷりとあわいに沈められ、私のいいところを探り指の腹で引っ掻く。指を激しく出し入れしかき回して、親指がぐりぐりと芽を捏ね、その強い刺激にびりびりと全身に刺激が走った。

「あっ、あっ! ゆーり、あっ」
「明るいところで初めて見た……、すごい、真っ白な肌がピンクに染まってく。きれいだよアリサ」

 息を荒くしたユーリが、私を見下ろしながらその動きをどんどん激しくしていく。部屋に響き渡る水音と、彼に見られている、そのことに身体が痺れ身を捩った。
 
「凄い、ぐちゃぐちゃに濡れてる。ねえアリサ、気持ちいい?」
「もっとっ、あっ、ゆーり、ユーリ好き……っ!」
「俺も、俺も好きだよアリサ」

 彼の肩に片脚を担がれ大きく脚を開きながら、あわいをかき混ぜられて深い口付けを受ける。明るい日の光が差し込む部屋で、自分の声と水音が響き渡る。彼に与えられる快感に頭が真っ白になり、何も考えられない。

「イって、アリサ」

 そう囁く彼の声に私の全身に力が入り、担がれた脚がピンと伸びた。視界が真っ白に飛び、ふわりと身体から力が抜ける。
 
「ああくそ、すごい……ごめんアリサ、俺もう」

 彼は素早く私の下着を脱がせると、朦朧とする私の脚を大きく開き、取り出した自身の昂ぶりをあわいに当て、一気に貫いた。

「……っ!」

 まだ高みにいた私の身体は、彼の昂ぶりを飲み込みまた大きく痙攣する。
 
「……っ! く……あ、すご……っ」

 まだ高みから降りていない私の身体はびくびくと震えながらユーリを締め付けた。ぎゅうっと締め付ける自らの動きにすら身体が過剰に反応し、また痙攣する。

「アリサ、入れただけでイッた? すごい、吸い付いて絡む……っ」

 ユーリは深く息を吐き出すと、ずるりと腰を引き、また奥を強く穿った。声にならない嬌声が押し出され喉をのけ反らせると、私の腰を両手でがっしりと掴み、ふーっとまた長く息を吐き出す。

「アリサ、ずっと俺といて。絶対俺から離れないで」

 そう言って激しく何度も何度も腰を打ち付け、うわ言のように私の名前を繰り返し呼ぶ。
 ああ、これって小説の台詞みたいだ、なんて思ったのを最後に、私の意識はそこで途切れた。
 
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