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エリクサー①

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「申し訳ありません。査定に数日頂いてもよろしいですか? 特に転移門は国が買い上げる可能性が高く、こちらはお時間を更に頂く可能性があります」
 対応してくれたキーナさんが申し訳なさそうに言ってきた。
「特に問題はありませんので、お願いします」
 転移門以外の買い取りは5日後、晃太の地図の情報は明日となる。
 とにかく宿。
 同じ一軒家タイプにチェックイン。5日間だ。
 ルージュに魔法のカーテンを広げてもらう。
 さ、サブ・ドア、サブ・ドア。
 ちょっと早いけど、少し開けてみる。数秒後。
「クゥン、クゥン」
 花がわがままボディをくねらせて、入ってくる。
 あははははん、かわいかあ。ぽちゃぽちゃあ。花はお腹を出して、牛蒡の様な尻尾をブンブン振ってる。あははははん、かわいかあ。たまらん、たまらん。
 父も帰って来ていた様で、両親が入ってくる。
「大丈夫やったね?」
 母がわらわらと集まってきた仔達をもふもふしながら聞いてくる。
「特に問題はなかったよ、あ、お父さん、鑑定ばしてもらいたいのが一杯あってね」
「よかよ」
 父に魔法の品々を鑑定してもらう間に、夕御飯の準備だ。
 まず、装甲竜(アーマードラゴン)のお肉の鑑定。お肉は半分引き取った。父の鑑定で表面に加熱処理をしたら、私達でも大丈夫と。ダンジョンから出てきたので、既にお肉は解体された状態だ。
 なら早速実食となる。覆っていた笹を捲ると、深い赤身の肉が。鰹の刺身のように透明感がある。
 母がお肉を切り分け、私はノワールの野菜の準備。晃太は元気達の補助食の準備だ。父は鑑定している。
「どう?」
 キャベツの葉をもぎながら聞く。
「終わった。まずマジックバッグ。これはサイズBで、時間停止。で、こっちがSサイズ、時間停止なしやな」
 おお、いいのが出た。
 なら、私がBサイズを持とう。
 Sはビアンカかルージュだね。
「で、指輪は」
 36階で出たのは、魔力消費軽減する指輪。軽減率は2割。検討後、晃太が装着することに。
 37階で出た指輪は全部で10。2つは解毒、1つは火魔法補助、1つは水魔法補助、3つは風魔法補助、2つは土魔法補助、最後の1つは回復だ。
「全部ある程度したら、壊れる仕組みや」
 こちらは検討後、晃太が解毒の指輪。回復の指輪は元気のバンダナに。元気は危なっかしいからね。もう1つの解毒の指輪はヒスイに。やはり、体が一番小さいのは変わらないし、おそらく毒への耐性は一番弱いと。ないとは思うが、念のために。
 魔法補助の指輪は、ビアンカとルージュにって考えたが、2人のレベルが高すぎて、仮令(たとえ)装着しても効果は全くないと。残り全て買い取りに出す事に。
「優衣、お肉焼いてー」
「はーい」
 ノワールの野菜の準備を終えて、私はホットプレートで焼き始める。
 うわあ、食欲を刺激する香りがあ。
「赤身の肉のようやね」
 のたうち回る花を抱っこした晃太が覗き込む。
「みたいやね、マーファのドラゴンはフィレに近かったけど、これはももみたいやって」
「へえ」
 まず、功労者のビアンカとルージュの為に厚めに切ったステーキを焼き、並べる。
「まず、そのまま、運んで」
「ん」
 父と晃太が、そわそわしているビアンカとルージュの前に並べる。
『ガブガブッ、ドラゴンやっぱり美味しいのですッ』
『そうねッ、いくらでも入るわッ』
 ぺろり、となくなる。
 次は胡椒、次は塩、ガリガリして出すとよく食べる。気持ちいいくらい食べる。最後はドラゴンステーキどんぶりだ。大盛りのステーキどんぶりがなくなる。
『『げふう』』
 満足して頂いたようだ。
 それから、私達も頂きます。
 まず、1口、あ、脂がさらっとしている。マーファのドラゴンより弾力があるが、噛むと肉の旨味が溢れてくる。うわあ、美味しい。次は塩、うん、甘味が増す。美味しい。
「これは薄切りにして、すき焼きとかでもいいかもね」
 母が今後の検討。
「出来るん?」
 確か、お肉はブロックで売っているのしか見たことない。そうなれば手作業だ。
「なら、設計するたい。スライサーみたいのやろ?」
 父が事も無げにいう。
「お願いねお父さん」
「ん」
 それからしっかり装甲竜(アーマードラゴン)を味わい、〆はドラゴンステーキどんぶり。私と父と母はミニ。晃太は普通サイズを食べた。げふう。
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