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事例 壱 『コウシュ村』
弍拾陸
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あれから見て回れそうな部屋を探しながら一階を目指したが特に収穫はなく、最終的な目的地である一階すらも探索を終えようとしていた。
さっきはあんなに追いかけられたというのに、なんか拍子抜けたな。だなんて余裕をブッこいてしまうほど何もなくて。
(あとは、村の中でできたら探索。無理そうなら逃げる。この方針で……)
出口は目と鼻の先。これからどこを探索しようかと楽観視、そして安堵してしまった。この村に来てからずっと、安堵こそが恐怖の引き金だと体験していたにも関わらず。
シャリーン……シャリーン……シャリーン……
建物の出入り口でピタッと立ち止まり、突如聞こえてきた馴染みのない鈴の音に耳を澄ます。
何だ何だとより一層耳を澄ませてみれば、鈴の音だけでなく笛、太鼓の拍子も耳に届く。
そしてソレらはだんだんと大きく聞こえてくるようになった。近づいてきている、ということだろうか。
立ち止まっていた足を動かし、祭囃子が聞こえる方へ歩いてみる。
「なんだろう、祭囃子みたいにも聞こえるけど、なんか、どこか……調子ハズレなんだよなぁ……」
それを聞いていての感想としてはそれが第一で。さっきからずっと笛の音が外れてばかりいるように思うのだ。
複数人分聞こえる笛隊の中ですらずっと不協和音を奏でていて……だからこう……太鼓や鈴との調和も取れるはずもなく、聞いていて不快に思うと言いますか……
ドン! シャンシャン! ピヨヨ~?
と、脳内で言い訳を考えているとボゥッと明かりがまず目について、さらに祭囃子隊の姿が目視できるようになった。
僕は咄嗟に近くの木の後ろに隠れ、ソレを覗き見ることにした。余所者がいたら目立つからね。
パチパチ……ドンドン! シャン! ピヨヨ~??
松明に照らされた囃子隊は皆冬に似合わない薄着……白装束を見に纏い、首から上だけを不自然なくらいに垂れ俯き、前なんて見えていないはずなのにまっすぐと俺が出てきた建物に入って行った。
「なんだったんだ……?」
よく分からないが不協和音といい、奇妙な格好といい、異様な姿勢といい、あまり良い印象は抱けなかった。
「やっぱりあの建物になんかあったのか?」
あの建物こそが重要な鍵だったろうか? 戻るべきだろうか?
でもサラッと調べたがこれと言ってナニカがあったわけではないし……。どうしたものかと頭を悩ませる。
「うぅーん……」
するとそんな悩みなんて吹き飛ぶ音が、ブツッと放送が入った音が、聞こえてきた。
『いケニ、二エ工エ、逃、タタタ……』
呪詛と見紛う程おどろおどろしい声が、村の至る所に響き渡ったのだ。
さっきはあんなに追いかけられたというのに、なんか拍子抜けたな。だなんて余裕をブッこいてしまうほど何もなくて。
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出口は目と鼻の先。これからどこを探索しようかと楽観視、そして安堵してしまった。この村に来てからずっと、安堵こそが恐怖の引き金だと体験していたにも関わらず。
シャリーン……シャリーン……シャリーン……
建物の出入り口でピタッと立ち止まり、突如聞こえてきた馴染みのない鈴の音に耳を澄ます。
何だ何だとより一層耳を澄ませてみれば、鈴の音だけでなく笛、太鼓の拍子も耳に届く。
そしてソレらはだんだんと大きく聞こえてくるようになった。近づいてきている、ということだろうか。
立ち止まっていた足を動かし、祭囃子が聞こえる方へ歩いてみる。
「なんだろう、祭囃子みたいにも聞こえるけど、なんか、どこか……調子ハズレなんだよなぁ……」
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複数人分聞こえる笛隊の中ですらずっと不協和音を奏でていて……だからこう……太鼓や鈴との調和も取れるはずもなく、聞いていて不快に思うと言いますか……
ドン! シャンシャン! ピヨヨ~?
と、脳内で言い訳を考えているとボゥッと明かりがまず目について、さらに祭囃子隊の姿が目視できるようになった。
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