みかんに殺された獣

6.

“僕はもう狼くんと一緒にいられない”そう告げられた。
初めはなんの冗談だと思って言葉が出なかった。
すると“時間が無い”そう言った。

あーなんだそういうことか。
その事なら俺はもう知っている。

“知ってる”とだけ伝えた為理解できなかったのだろう。俺はちゃんと伝えた。

するともうカラカラになっている筈の皮からたくさんの果汁を…涙を溢れさせた。

何を間違えた？知らないふりをした方が良かったか？
……確かに俺もコイツに不調を知られていたら嫌だ。
どうすればいい……どうすればもうこいつを泣かせなくて済む？このままではすぐに死んでしまいそうだ。

あーそうか、俺も伝えればいいんだ。コイツは勇気をだして話してくれたんだ。
俺ももうすぐ死ぬんだし、プライドなんて気にしなくていいじゃないか。それより、友達を泣かせたままの方が問題だ。

俺は伝える決意をした。