20 / 28
20] 不満 〜ナディア〜
しおりを挟む何故?
どうして私じゃ無いの?
リディアを追い出して半年以上が過ぎた。
葬儀も終わって、当然、次の妃に選ばれるのは私だと思っていたのに、次の妃に選ばれたのは、まだ16歳の公爵令嬢だった。
これから2年をかけて、王太子妃教育を施し、18歳の学園卒業を待って、結婚式を行うと発表された。
選ばれた令嬢は、家柄、容姿、知性、魔力量、性格まで、全て他より抜きん出ており、貴族会議で満場一致でその場で決定されたと言う。
どうして?
リディアがいなくなれば当然 次の妃に選ばれるのは私でしょう?!
どうしてぽっと出の知らない公爵令嬢の名前が出て来るの?
私は詳しい話を聞く為、急いでお父様の執務室に向かった。
先触れも出さずに突撃するなんてはしたないとは分かっているけれど、そんな事に構っていられない程、私は焦っていた。
大きな音を立てて、せわしなくノックをして、返事も待たずに扉を開けて中に入った。
「お父様!アラン様の妃が決まったと言うのは本当ですの?!」
「ナディア、大きな声ではしたないだろう。わきまえなさい。」
お父様が冷たい視線を私に向けるが、私はそんな事に構っていられない。
「そんな事より教えて下さいませ!アラン様の次の妃が決まったと言うのは本当ですの?!」
「はぁ…」
お父様はわざとらしくため息をついて、チラリと私を横目で見ると、ソファーに座るように私に言った。
「殿下に新しい妃が決まったのは本当だ。フォレスト公爵家のご令嬢だ。貴族会議で満場一致で次の妃に相応しいと判断された。」
「どうして?!」
「落ち着きなさい、ナディア。」
「だって!お姉様がいない今、次の妃に選ばれるのは当然妹である私でしょう?何故 聞いた事も無い公爵令嬢が選ばれたんですか?」
「新しく妃を選ぶように決めたのは皇帝陛下だ。今回は陛下自ら選定し、貴族会議で満場一致され、決定した事だ。覆る事は無い。お前が何を勘違いして 次の妃に自分が選ばれると考えていたのか知らないが、お前が次の妃に選ばれる事は無いよ。そもそも王妃になる者としては魔力量が足り無いし、聖魔法も使えないお前が選ばれるはずが無いだろう。一体どんな思い違いをしていたんだ?」
「思い違い?だって私はリディアの双子の妹だし…」
「リディアはイースデール公国で1番の魔力持ちだ。マルコシアス帝国にあっても片手に入る魔力量だ。しかも全属性だ。お前とは違う。」
「でも、でもアラン様だってきっと私を選ぶはず…私はイースデール公国の公女で、リディアの双子の妹で、歴代最高の魔術師の孫で…」
「ナディア、リディアが選ばれたのは立場ゆえでは無い。リディア自身の資質が素晴らしいから選ばれたのだ。今度 妃に選ばれた公爵令嬢も同じだ。本人の実力が他より抜きん出ているから選ばれたのだよ。王家には妃に選ばれるべき条件が明確に決まっている。お前は何もかも足り無いのだ。お前が殿下に思いを寄せているのは知っていたが、もう忘れなさい。それと殿下の事をアラン様と呼ぶのもやめなさい。もう、お前は義理の妹でも何でも無いのだから。これからは王太子殿下とお呼びするように。」
「足り無い?私が?…」
「話は終わりだ。もう遅い部屋に戻りなさい。」
お父様との話し合いの後、どうやって部屋に戻ったのか覚えていない…
私が足り無い…妃になれない…
どうして?
なんで?
じゃあ私がした事は一体何だったの?
アラン様…
アラン様はこの事を納得されているの?
アラン様はリディアを愛していたもの、同じ顔の私を愛さないはずが無いわ。
きっと周りが勝手に決めた相手を押し付けられているんだわ。
アラン様に会いたい。
会えばきっと私が良いと言って下さるはずよ。
私はリディアと同じ顔をしているんだもの…
王宮へ行かなくちゃ、行ってアラン様に会わなくては!
一刻も早くアラン様に会って話をしないと…
グズグズしてはいられないわ。
国民に発表するまで後10日、正式な発表の前に何とかしないと…
私はアラン様にお姉様の事で話があるから会いたいと、謁見の申込みをした。
でも、帰って来た返事は「今は時間が取れない。リディアの事はもう忘れる」といった内容の返事だった。
返事を持つ手が震える。
持っていた手紙が手の中でグチャグチャになっていく…
「どうしてなのよ!!」
腹が立ち、イライラして目の前のテーブルにある物を力一杯払い除けた。
カップもソーサーもお菓子も何もかもバラバラになって大きな音を立てて床に落ちて壊れていく。
床はもうメチャメチャだ。
メイド達が怯えて部屋の隅に固まっている。
どうすればいいの?
何をすればいいの?
婚約発表までもう時間が無い!
もう一度ネックレスを使う?
でも、どうやって?
学園を卒業している私が今更デビューもしていない16歳になったばかりの少女に会う方法なんて何も思い浮かばないわ。
イヤよ!イヤよ!イヤよ!
何の為にリディアを排除したと思っているの?
私は一体何の為に実の姉を…
もう、今更戻れないわ。
邪魔してやる!
何としても邪魔してやるわ!
私はもう後戻りなんて出来ないのだから…
14
あなたにおすすめの小説
ギルドの受付嬢はうごかない ~定時に帰りたいので、一歩も動かず事件を解きます~
ぱすた屋さん
ファンタジー
ギルドの受付嬢アイラは、冒険者たちから「鉄の女」と呼ばれ、畏怖されている。
絶世の美貌を持ちながら、常に無表情。そして何より、彼女は窓口から一歩も動かない。
彼女の前世は、某大手企業のコールセンター勤務。
営業成績トップを走り抜け、最後には「地獄のクレーム処理専門部署」で数多の暴言を鎮めてきた、対話術の怪物。
「次の方、どうぞ。……ご相談ですか?(クローズド・クエスチョン)」
転生した彼女に備わったのは、声の「真偽」が色で見える地味な能力。
だが、彼女の真の武器は能力ではなく、前世で培った「声のトーン操作」と「心理誘導」だった。
ある日、窓口に現れたのは「相棒が死んだ」と弔慰金をせしめようとする嘘つきな冒険者。
周囲が同情し、ギルドマスターさえ騙されかける中、アイラは座ったまま、静かにペンを走らせる。
「……五秒だけ、沈黙を差し上げます。その間に、嘘を塗り直すおつもりですか?」
戦略的沈黙、オウム返し、そして逃げ場を塞ぐイエス・セット。
現代のコールセンター術を叩きつけられた犯人は、自らその罪を吐き散らし、崩れ落ちる。
「あー、疲れた。一五分も残業しちゃった。……マスター、残業代三倍でお願いしますね」
これは、一歩も動きたくない受付嬢が、口先だけで悪を断罪し、定時退勤を目指す物語。
公爵閣下、社交界の常識を学び直しては?
碧井 汐桜香
ファンタジー
若い娘好きの公爵は、気弱な令嬢メリシアルゼに声をかけた。
助けを求めるメリシアルゼに、救いの手は差し出されない。
母ですら、上手くやりなさいと言わんばかりに視線をおくってくる。
そこに現れた貴婦人が声をかける。
メリシアルゼの救いの声なのか、非難の声なのか。
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
【完結】王宮内は安定したらしいので、第二王子と国内の視察に行ってきます!(呼ばれたみたいなので、異世界でも生きてみます。の続編です)
まりぃべる
恋愛
異世界に呼ばれた佐川マリア。マリア・サガワとしてこの世界で生きて行く事に決め、第二王子殿下のルークウェスト=ヴァン=ケルンベルトと一緒に、この国をより良くしていきます!って、実際は2人で旅行がしたかっただけ?
呼ばれたみたいなので、異世界でも生きてみます。の続編です。
長くなりましたので、前作の続きでは無く新しくしました。前作でしおりを挟んでくれた方ありがとうございました。
読んでなくても分かるようにしております。けれど、分かりにくかったらすみません。
前作も読んで下さると嬉しいです。
まだまだ未熟なので、稚拙ではありますが、読んでいただけると嬉しいです。
☆前作で読者様よりご指摘が有りましたのでこちらにも記載しておきます。
主人公の年齢は設定としてありますが、読者様が主人公になれたらな(もしくは好きな年齢に当てはめて読めたら)という思いを込めて敢えて年齢を記載していません。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。
秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。
「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました
あい
恋愛
両親を失ったあの日、
赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。
それが、アリア。
世間からは「若い母」と呼ばれながらも、
彼女は否定しなかった。
十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。
恋も未来も、すべて後回し。
けれど弟は成長し、ついに巣立つ。
「今度は、自分の人生を生きて」
その一言が、
止まっていた時間を動かした。
役目を終えた夜。
アリアは初めて、自分のために扉を開く。
向かった先は、婚姻仲介所。
愛を求めたわけではない。
ただ、このまま立ち止まりたくなかった。
――けれどその名前は、
結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。
これは、
十六年“母”だった女性が、
もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる