最強宇宙人ゼルネラ ~巨大変身ヒロインはボクの獲物です~

草宗

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17、敗北!! マイティ・フレア

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『ふぅ。結局お前は真正のバカだったんだね。頭が悪すぎて、ムカムカしてくるよ』
 端正な美貌をシアンは歪めた。今にもツバを吐き捨てそうに。
 ……ダブルパンチなんて、作り物の番組だから決まるんだ。当たり前だ。
 炎乃華。今、君が立っている場所は、リアルなんだ。
 本当の闘いは潰し合いだ。容赦なく、敵を大地にひれ伏させる行為だ。
 ましてシアンは、君を殺そうとしている相手だ。
『お前ごときをいまだにのさばらせているなんて……ゼルネラ星人の大きな汚点だよ』
 パカリとシアンの口が大きく裂けた。生え揃った鋭い牙が覗く。
 水の帯が勢いよく噴射された。極太の鉄砲水。一直線の弩流。
 両手を塞がれ無防備となっているマイティ・フレアの胸中央に、水流の放射はまともに直撃した。
 赤々と輝く丸い結晶体。炎のマナゲージに。
『はぐぅっ!? うああああ――っ……!』
 ビクンッ! と大きく痙攣したマイティ・フレアが、ゆっくりと大地に沈んでいく。
 ……終わった。
 炎乃華を巨大ヒロインたらしめている動力源に、深刻な一撃を喰らったのだ。事実上、勝負は決していた。
 胸を押さえて、白銀と深紅のヒロインは校庭を転がり回る。その輝くような肢体は、みるみる土に汚れていった。弱々しい、悶絶の呻きが美少女の口から流れ続ける。
『ああ、もう……! カスが喚くんじゃないよ。必死で頑張ってますアピールかい? こんなに苦しくても耐えていますって? 弱いお前が悪いんじゃないか!』
 のたうち回るマイティ・フレアのお腹を、シアンが蹴り上げた。浮き上がったところを、両手を組み合わせて後頭部に振り下ろす。
 地響きと打撃音が、繰り返しテレビの向こうから途絶えなく流れた。苦悶に歪んだマイティ・フレアの顔に、胸に、腹部に、シアンは拳と脚を何発も打ち込む。殴る。蹴る。
 もはやただの、リンチだった。
 ブチィッ! とオレの頭の中でなにかが切れた。血が首から上に集まってくるのが自覚できた。
 なにやってんだ、おい。
 なにやってんだあああッ、オレはァッ――ッ‼
「失うものにッ! ビビってる場合かあああッ――ッ‼」
 おじさん、ゴメンな。今すぐ眠らせるぜ。力加減間違えないよう気をつけるから、許してくれ。
 炎乃華の父親に、オレは手刀を振り下ろそうとした。首筋に当てて、失神させようと。
 直前で、止めた。……まったく、オレは間が抜けてやがる!
 おやじさんはとっくに気を失っていた。我が娘の痛々しい姿に、耐えられなかったんだろう。
『さあ、そろそろ決めてもらおうか。負けを認めてこの星を私に差し出すか、死ぬか。好きな方を選ぶんだね』
 ヒクヒクと震えるだけのマイティ・フレアを、シアンは冷たく見下ろしていた。その両腕に、細かなさざ波が発生する。
 比喩表現じゃあない。本物の、さざ波だ。
 水のマナゲージを持つシアンは、全身を液体化できるのだ。
 ドリュウン、ドリュウン、と両腕を揺らすたびに重々しいうねりの音がする。骨や関節があるとは思えない動きで、腕がグニャグニャと波打っている。さながらタコの触手、あるいはムチだ。
 バヂイイィッ!
 うつ伏せになっているマイティ・フレアの背中に、水腕のムチが炸裂した。
『きゃああっ! ああっ……!』
『強者の質問に、弱者は素直に答えるものさ。素早く、ね。選びな、私に詫びを入れるのか。それとも黙って殺されるのか?』
 シアンが腕を振る。しなった2本のムチは、横たわった美少女の肢体を容赦なく打ち据える。
 ほのかな胸の膨らみを叩き、くびれた腰をビシャリと打った。ミミズがそこに埋まっているのではないかという腫れが、背中にも太ももにも腹部にも、あらゆる箇所に浮かび上がっていく。
『あぐぅ――っ! ……あぁっ! ……んああっ! ああっ――っ! ……ァっ!』
『選べと言ってるじゃないか。それともその叫び声は、このまま死んでいくという意志表示なのかい?』
 フルフルと震える腕を、ゆっくりとマイティ・フレアはシアンに向けて差し伸ばす。
 まだ闘おうとするようにも、救いを求めるようにも見える、動きであった。
 芋虫のごとく這いずるマイティ・フレアの背中を、シアンは片脚をあげて踏みつけた。
『うぐぅっ……! ぅああっ……!』
『負けを認めないなら殺すだけさ。弱者に回答拒否なんて許されないことくらい、バカなお前でもわかるよねぇ』
 液体化した腕が、グイーンと伸びる。うつ伏せのマイティ・フレアの細首に、ぐるぐると巻き付いていく。
 巨大ヒロインを踏みつけたまま、青色のゼルネラ星人は引っ張り上げた。必然的に、巻き付いた腕は首を絞めつけ、上半身を急角度で反り曲げる。
 ググッ、ギュウウッ……メキメキッ、ミシィッ……!
『……ァぐっ! ……ア、アァっ……‼ ……ぅぶうっ‼』
 絞首刑プラス背骨折り。
 食い込むムチの腕を剥がさんと、首に指を伸ばすマイティ・フレア。無駄だった。液体化した腕は、ますます締め付けを強くするばかり。
 ツーサイドアップにした髪と赤いリボンが、ブルブルと激しく揺れ動いた。
 開きっぱなしになった口から、ダラダラと涎が溢れ出る。巨大な美少女の惨めな姿を、容赦なく生中継の映像が大写しにしてしまう。
 切れ長の瞳が涙で滲み、そして……ぐるんと裏返った。
 マイティ・フレアは落ちたのだ。
『フン。そうかい。殺されるのを選んだってことでいいね』
 気絶した巨大ヒロインを見て、シアンはつまらなさそうに吐き捨てた。
 涙も涎も垂れ流し、ぐったりと脱力したマイティ・フレアを、さらにエビぞりに曲げていく。
「なにしてやがんだアアッ、てめえッ――ッ‼」
 間に合った。
 いや、間に合ってなどいないのかもしれない。しかしとにかく、最悪の状況だけはなんとか救えた。
 本来の、ゼルネラ星人ノワルとしての姿に戻ったオレは、巨大化すると同時にシアンに襲い掛かった。顔面目掛けて飛び蹴りを放つ。
 素早くシアンは後方に飛びよけた。距離を空けて、突如現れたオレに鋭い視線を向けてくる。
「ノワルッ! あんた一体……」
「オレの獲物に手ぇ出すんじゃねええ――ッ、シアンッ! コイツはオレのものだッ!」
 オレとシアンと倒れ伏せたマイティ・フレア。黒と青と赤は、お互いが等距離となる位置にあった。
 ちょうど正三角形を描くような、オレたちの位置だった。
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