オメガスレイヤーズ ~カウント5~ 【究極の破妖師、最後の闘い】

草宗

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55、紫水晶

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 空いていた呪露の左手が、フェニックスの下腹部へと向かう。深紅のショートパンツは中央が裂け、乙女の縦筋からお尻までを、チラチラと覗かせている。
 灰色の泥が、凛香の股間に張り付き包み込んだ。
 陰唇を割って、泥が侵入していく。過敏なピンクの襞を、もぞもぞと刺激する。快楽の波紋とともに、蘇る泥凌辱の記憶。しかし今回は、「コチラ」が本命ではなかった。
 アナルを押し分け、内部へ雪崩れ込んだ泥の腕は、凛香の肛門から直腸へと遡上していく。
 
「ンン”っ!? ンオオオ”オ”オ”っ~~~ッ!! おぼオ”っ!! おぶっ!!」

「お尻の穴も気持ちいいのかぁ~、フェニックスぅ? ・・・だけど・・・お前を犯すのはこんな程度じゃないぞォ~・・・」

 直腸を支配した程度では、呪露の左腕は満足していなかった。
 大腸へと、さらに遡っていく。泥の逆流は留まることを知らなかった。ゴブゴブと炎天使の下腹部が濁った音色をあげ、腸内を泥水が暴れ回っていることを教える。
 
 上からは〝オーヴ”石を持った右手が、胃から十二指腸へとさらに下降し。
 下からは逆流する左手が、小腸にまで流れ込んで上昇を続ける。
 
「ごびゅっ!! オボオ”オ”っ!! ぶじゅう”っ!!」

 一直線に吊り下げられた、158㎝、Eカップの瑞々しいボディがビクビクと痙攣した。
 半ば白目を剥いた瞳から、涙が次々と溢れた。貫かれている。体内を泥でいっぱいに埋められ、口からアナルまで貫かれているのを、凛香は自覚した。性器で姦通されるより、「奪われた屈辱」は大きいかもしれない。
 
 胸に描かれた『Ω』の火傷痕から、シュウシュウと黒い煙が立ち昇る。
 消滅していく。消されているのだ、オメガ粒子が。
 
(・・・ア”っ!! ・・・んぐあ”っ!! ・・・焼け・・・爛れ、て・・・あたし、の・・・カラダっ・・・中っ・・・!!)

 泥を飲み込んだ唇の端、そしてアナルから、ボタボタと鮮血の糸が垂れ落ちる。
 
「ゲヒヒヒヒィッ!! おい、どうしたぁ、オメガフェニックスぅ~!? ・・・反応が薄くなってきたぞォ? ・・・生意気なセリフを言ってみろよォ、おい! ・・・って、オレの腕で口を塞がれてたんだっけ。ギャハハハ!」

 上と下の穴から突っ込んだ腕を、泥の妖化屍は炎天使の内部でグジュグジュと掻き回した。
 そのたびにヒクついていたグラマラスな肢体が、やがて動きを止める。〝オーヴ”で体内からオメガ粒子を奪われる拷問は、18歳の格闘少女には過酷すぎた。
 
(・・・・・・も・・・う・・・ちか、らっ・・・でない・・・ヨ・・・)

 ジュボオオオッ・・・!!
 
 凛香の股間から、泥の左手が引き抜かれる。
 その手の中には、緑に発光する鉱石が握られていた。右手から左手に、オメガフェニックスの体内で持ち替えられたのだ。
 〝オーヴ”を含んだ石は、まるで生まれたての卵のように、仄かな湯気をあげていた。
 
「・・・ゲヒヒ・・・オメガフェニックスの体内のオメガ粒子は・・・全部消滅しちゃったねぇ~」

 小刻みに震えるだけとなった紅蓮の炎天使から、泥の右腕も引き抜かれる。
 ガクンと可憐な美貌が垂れ、ショートヘアが前方に流れた。
 瞳から涙、口から鮮血が溢れ出る。オメガフェニックスの全身から、力が抜け落ちていた。
 
 ボギボギィッ!! ブチブチッブチッ!! ゴキンッ!!
 
 100kgの荷重に耐えられなくなった肢体が、一気に引き伸ばされる。
 オメガフェニックスの両肩と股関節は外れ、脇腹とお腹の筋肉は断絶していた。
 
「ゴブウ”ウ”ゥッ!! ・・・ァ”っ・・・!! ぇア”・・・っ!!」

「グフヒヒヒッ!! 悪い悪い、オメガフェニックスぅ~・・・思わず壊しちゃったなぁ~・・・でもまだ生きてるねぇ? ・・・ゲヒヒ、よかったよかった・・・あと数回くらいは実験できそうだぁ・・・」

「・・・フン。バカが。これでは、あと数十分もすればコイツは死ぬぞ」

 呆れたような虎狼の呟きが、オメガフェニックスの現状を示していた。
 
(・・・これ・・・で・・・いい・・・・・・もう、すぐ・・・あたし・・・死ねるよ、ネ・・・)

 ぐったりと弛緩し、コンクリートブロックに徐々に引き伸ばされながら、甲斐凛香は満足だった。
 強気な性格が滲み出た凛とした美貌は、下を向いたまま涙と吐血をボトボトと落とす。垂れ流れたショートヘアの隙間から覗く表情は、少し微笑んでいるようにも見えた。格闘センスに恵まれた令嬢戦士は、死ぬことこそが己の最後の務めだと悟っている。
 
(・・・あと・・・二、三回の実験で・・・こんなに多くの鉱物から・・・探せるわけ、ない・・・あたしの勝ちヨ、六道妖・・・・・・殺されるケド・・・勝ったのは、このオメガフェニックスっ・・・)

 3体目の妖化屍の声が、割って入ったのはその時であった。
 
「虎狼さま。呪露どの。紫水晶をオメガフェニックスの肉体にお試しくださいませ」

 淡いすみれ色の和服を着た、ハーフアップの色白美女。
 〝輔星”の翠蓮は数ある鉱物のなかから、杭のように長く尖ったアメジストをその手に握っていた。
 
「あぁ~? ・・・おい、裏切り女ぁ・・・六道妖でもない下っ端のお前が、オレに命令するなんて・・・」

「私の意志ではありませぬ。骸頭さまからのご指示でございます」

「・・・紫水晶だと?」

 弁髪の武人が、太い眉の根を寄せている。
 怪訝な様子は泥で出来た怪物からも窺い知れた。虎狼も呪露も、いや、知識の高い妖化屍ならば誰もが知っている。紫水晶が、彼らリビングデッドにとっていかなる意味を持つかを。
 
「翠蓮よ。お前は紫水晶がどんなものか、わかって言っているのか?」

「むろん存じ上げております、虎狼さま。私も元『水辺の者』。紫水晶・・・通称・死水晶は、破妖師の一部が妖魔を討伐する際に使う聖具のひとつ。我ら妖化屍が、苦手とする鉱物でございます」

 古来よりこの国では、紫は高貴な色とされ重宝されてきた。一説には聖徳太子が制定したとされる冠位十二階の最高位も、紫が指定されていたと言われているほどだ。
 また「紫」を「シ」とも呼ぶことから、死後の世界とも密接に関わる色ともされている。紫は霊的なエネルギーが高い色であり、精神や肉体にも影響を与えるとされる神秘的な色調であった。
 
 事実、紫水晶=アメジスト製の武具は、妖化屍に効果があった。
 だがしかし、妖化屍に通用するものが、対照的な存在であるオメガスレイヤーに効くなどとは・・・
 
「バカバカしいねぇ~・・・コイツらも魔物だとでも言いたいのかい? ・・・ゲヒヒ、そりゃあバケモノみたいな力だが・・・骸頭のヤツも、もうろくしたもんだねぇ~」

「フン。しかし貴様のせいで、実験は何度も出来なくなった。試してみるしかあるまい」

 翠蓮からアメジストの杭を受け取った虎狼は、吊り下げられた虜囚の眼前に立った。
 ミチミチと、オメガフェニックスの全身で筋肉が伸ばされていく音がする。拷問を受け続け、骨も内臓もボロボロとなっている炎天使だが、目立った外傷は見当たらなかった。この硬い表皮を、たかが20㎝ほどの紫水晶の塊で破ることができるのだろうか?
 
(・・・っ? ・・・紫・・・水晶・・・死水晶・・・ですって・・・? ・・・そんなものが・・・オメガスレイヤーの弱点であるわけが・・・)

 あるわけが、ない。
 そんな自信に満ちた予想を、冷徹な現実は簡単に打ち破った。

 ドシュウウウッッ!!
 
「・・・ぇ”っ・・・!?」

 稲妻に打たれたような激痛に、死に体の凛香が思わずビクリと痙攣した。
 これまで浴び続けた数々の苦痛とは、鋭さがまるで別次元であった。
 オメガフェニックスの右の太ももに、紫水晶の杭が深々と埋まっていた。
 
「グアア”っ・・・!! うああああア”ア”ア”ア”っ―――ッ!!!」

 大量の鮮血が、貫かれた傷穴から噴き出した。
 俯いていた美少女の顏が仰け反り、ガクガクと震える。神経をそのまま削られているかのような鋭痛。それ以上に、ピチピチと張った瑞々しい肉体に、風穴を開けられたショックが乙女を襲っている。
 
「うあああ”っ~~っ!!! あたしっ、あたしのっ!! 太ももがぁっ~~っ!! 脚がぁっ――っ!!!」

「・・・どうやら・・・骸頭さまの見立ては正解だったご様子ですわね」

 壮絶な悲鳴のなかで、翠蓮の声だけが静かに流れた。虎狼も、呪露でさえも声を発しなかった。目の当りにする現実に、妖化屍たちですら圧倒されていた。
 
 紫水晶。
 妖魔を滅ぼす聖なる鉱石が・・・オメガスレイヤーにとっても弱点であったというのか。
 
 無言で、〝無双”の武人が紫水晶の杭を引き抜く。
 もう一度、確かめるように。
 尖った切っ先を、今度はオメガフェニックスの右の乳房に真横から当てる。
 
「あああ”ア”っ・・・!! やめてっ、やめてぇっ――っ!! お願いっ、やめてヨォッ―――ッ!!!」

 ブスッ・・・ズブブ・・・
 
 死水晶の杭が、オメガフェニックスの丸い乳房に突き刺さる。
 右から左へと串刺しにしていく。
 
「ぐあああ”ア”ア”ッ――ッ!! うぐう”っ!! ア”っ、アア”っ!!」

 形のいいオレンジのように膨らんだ柔肉に、紫の結晶が埋まっていく。
 バストを襲う激痛。胸の脂肪が、割り裂かれていくのを凛香は自覚した。杭は躊躇なく押し込まれ、柔らかなふたつの乳房を貫通していく。
 
 グググッ・・・ブシュッ・・・ブチブチブチッ!!
 
「ウギャアアア”ア”ア”ッ―――ッ!!! 胸っ!! 胸がァ”っ~~~っ!!! 串刺しにィ”ィ”っ~~っ!! ウアアアアア”ア”ア”ッ―――ッ!!!」

 暗い地下室に、絶叫と肉を抉る音色が響く。
 噴き出る鮮血とともに、凛香の左胸から紫色の先端が突き抜けた。
 オメガフェニックスの双房は、死水晶の杭に貫かれた。
 
「・・・これで、オメガヴィーナス処刑の準備は、全て整ったな」

 虚空をみつめ、涙と泡を流し続ける炎天使に、〝無双”の声は届いてはいなかった。
 
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