剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高

文字の大きさ
227 / 246

第227話 第4ダンジョン 初ボス戦

しおりを挟む
それからクレアと相互に同様のやり方で2層~9層をちゃちゃっと攻略し、10層ボス部屋前に到着した。

最初は想定外な攻略法に動揺を隠しきれないソフィアだったが、3層辺りからはもう驚くことが無くなった。



「…クレア、怒らないから今のTP残量を言ってください。」



「うっ…ま、まだ何発か撃てるぜ!!」



「こ、これからはアルフレッドに任せた方が良いと思うのです。」



「おう…」



そう、この攻略法にはTPの大量消費という欠点があるのだ。

常に”闘気操術”や斬撃強化でTPを消費しつつ両手剣Lv.9”ノヴァディザスター”を行使するからだ。

特にクレアは1層分の壁をくり抜くのに何発か行使していたため、より消費が早い。



「さて…今回のボスはソフィア1人に任せようと思う。」



「理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?」



「まず最近ソフィアの訓練を見れてないからな。この目で今の実力を把握しておきたい。」



「他の理由は~?」



「さっきパウロからもらった”共栄の短双剣”に慣れるためだな。今後俺達と共にダンジョンに潜る上であの武器を使いこなすのは必須条件だ。」



「なるほど…かしこまりました。」



「危なくなったら私達が助けますから安心してください。」



「ありがとうございます。」



念のためソフィアを”鑑定”してみると、いつの間にかLv.56まで成長していた。

暗殺や短剣スキルはLv.7に到達しており、アップデートで実装された新スキルを何個も習得している。

その上本業の家事系スキルはほとんどが最大のLv.10まで到達している。



「…よし、それじゃあ行くぞ。」



ボスのヘイトを買わないようソフィア以外に”偽装”系スキルを施し、ゴゴゴと石製のシンプルな扉を開けて中に入った。

そこは全方位の壁に松明が掛けられており、それにより眩く照らされた少し広めの空間だった。

そして空間の奥に物陰が1つ見える。



「Cランク魔物のコボルドナイト1体ですね。排除を開始いたします。」



そう言うと、全身黒色装備のソフィアが松明の陰に消えるようにその場から姿を消した。

これはおそらく”潜伏”スキルによる効果だろう。

さらに装備についていた”隠密”という特殊効果との相乗効果もあっただろう。



なかなかに見事なハイドだが、俺達の目は欺けない。

戦闘経験に基づく慣れやTPによる目の強化もあるが、1番はソフィアが”闘気操術”を行使しているため若干とはいえTPが漏れ出しているからだ。



だが、今回は問題なさそうだ。

コボルドナイトは標的の姿が消えて慌てふためき、周囲をきょろきょろと見回している。

その隙にソフィアは音をたてずに背後を取り、首を斬り落とした。

首筋を斬ろうとしていたのか、ソフィアは”共栄の短双剣”の予想以上の切れ味に驚いていた。



「排除を完了いたしました。」



流石に声を出すと”潜伏”効果が強制解除されるようだ。

色々と試してみなければ分からないが、”偽装”の下位互換である可能性が高い。

ちなみに俺もいつの間にか”潜伏”を習得していたので、今度実験してみよう。



「お疲れ様。攻略しながら今回の戦闘を振り返るぞ。」



「かしこまりました。」



記録の扉に登録して11層へ上がり、再び壁をぶち抜いて進み始めた。

ダンジョンに入ってから10層まで僅か数十分、なかなか良いペースだ。



「さて…ソフィア、何か反省点はあるか?」



「”共栄の短双剣”の切れ味を見誤ったことです。攻撃直後に転倒しそうになり、若干のタイムロスが生まれてしまいました。」



「初めての武器は全員そうなるからそれは仕方ない。他には?」



「申し訳ございません。特に思いつきません。」



「攻めてるわけじゃないから謝る必要はない。4人は何かあるか?」



「私達ではソフィアの動きをとらえきれないのですが…そうですね。いつもより仕留めるまで時間がかかった気がします。」



「あたしもそれ思った~!」



「ボ、ボクは特に思いつかないのです。」



「オレもだ。」



どうやら戦闘中の姿と位置を完全に把握していたのは俺だけだったようだ。

これはソフィアの実力が一枚上手だったと言うべきか、4人の実力不足というべきか…

いや、結局はどちらも実力不足だろう。



「…確実に敵を仕留めるために敢えて時間をかけたんだろ?」



「仰る通りです。」



「というわけだ。4人はもう少し観察眼を鍛えた方が良いな。」



「はい…」



「俺が見つけた改善点だが…”潜伏”で気配を殺してるときは最悪”闘気操術”を切り、仕留める瞬間だけ行使する方が良いな。」



「理由をお伺いしても?」



「僅かとはいえ身体からTP、つまり闘気が漏れ出してるんだ。殺気や気配に鋭いウルフとかの野生系魔物には通用しないだろうな。」



「なるほど…ですが”闘気操術”なしでの立体機動や位置取りはかなり難しいのでは?」



「身のこなしを鍛えればいける。TPの循環効率100%にすれば漏れ出さないが…俺でも不可能だな。」



「かしこまりました。今後は身のこなしに精進いたします。」



「ああ。」



分析能力が非常に優れ、向上心も高い。

ソフィアは近いうちに手練れの暗殺者になること間違いなしだろう。

想像以上の素質に俺は笑みをこぼした。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と-

一星
ファンタジー
至って普通のサラリーマン、松平善は車に跳ねられ死んでしまう。気が付くとそこはダンジョンの中。しかも体は子供になっている!? スキル? ステータス? なんだそれ。ゲームの様な仕組みがある異世界で生き返ったは良いが、こんな状況むごいよ神様。 ダンジョン攻略をしたり、ゴブリンたちを支配したり、戦争に参加したり、鳩を愛でたりする物語です。 基本ゆったり進行で話が進みます。 四章後半ごろから主人公無双が多くなり、その後は人間では最強になります。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

寿明結未(ことぶき・あゆみ)
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

異世界で至った男は帰還したがファンタジーに巻き込まれていく

竹桜
ファンタジー
 神社のお参り帰りに異世界召喚に巻き込まれた主人公。  巻き込まれただけなのに、狂った姿を見たい為に何も無い真っ白な空間で閉じ込められる。  千年間も。  それなのに主人公は鍛錬をする。  1つのことだけを。  やがて、真っ白な空間から異世界に戻るが、その時に至っていたのだ。  これは異世界で至った男が帰還した現実世界でファンタジーに巻き込まれていく物語だ。  そして、主人公は至った力を存分に振るう。

最強剣士が転生した世界は魔法しかない異世界でした! ~基礎魔法しか使えませんが魔法剣で成り上がります~

渡琉兎
ファンタジー
政権争いに巻き込まれた騎士団長で天才剣士のアルベルト・マリノワーナ。 彼はどこにも属していなかったが、敵に回ると厄介だという理由だけで毒を盛られて殺されてしまった。 剣の道を極める──志半ばで死んでしまったアルベルトを不憫に思った女神は、アルベルトの望む能力をそのままに転生する権利を与えた。 アルベルトが望んだ能力はもちろん、剣術の能力。 転生した先で剣の道を極めることを心に誓ったアルベルトだったが──転生先は魔法が発展した、魔法師だらけの異世界だった! 剣術が廃れた世界で、剣術で最強を目指すアルベルト──改め、アル・ノワールの成り上がり物語。 ※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうにて同時掲載しています。

処理中です...