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第188話 上級者向けダンジョン ラスボス戦
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10層を攻略してから3日が経った。
俺達の目的はダンジョンに慣れることから満足するまで身体を動かすことに変わり、毎日10層攻略してボスを倒してはボス部屋で模擬戦をするのが日課となっていた。
そして今日、気が付けばこのダンジョンの最下層である47層ボス部屋前に辿りついていた。
「ちゃっちゃと倒して模擬戦始めよーぜ!!」
「今まで出てきた魔物から察するに、ボスはAランク魔物程度の強さですしね。」
「順番的にスーが戦う番だけど、今回はラスボスだから一応気を抜かずに全員でかかろう。」
「了解~じゃあ行こっか~」
軽いノリでラスボス部屋の扉を開けると、そこには巨大蜘蛛とその巣が天井いっぱいに広がっていた。
赤い8つの目がギラギラとこちらを睨みつけ、顎をぶつけ合ってカチカチと気味の悪い音を立てている。
その正体は口から酸性液を吐き、尻から毒糸を射出し、さらに死ぬ間際にBランク魔物ヒュージスパイダーを大量に産卵する性質を持つSランク魔物、クイーンスパイダーだった。
人里離れた遺跡の奥に存在しているため本来なら滅多に遭遇しない魔物で、毒抜きした糸は最高級の衣服に使われるという。
「気持ち悪っ!…オレこういうの無理だ…」
「確かに文献よりおぞましい見た目ですね。」
「ふむ…俺は見てるから4人だけで戦ってみるか?」
「いいの~?」
「ああ。俺が新遺跡で得た武器を使ったら瞬殺しそうだからな。」
「りょ、了解なのです!!」
俺は40層のボス戦で新遺跡から持ち帰った武器を試してみたのだが、流石SSSランク武器といった性能だった。
まるで豆腐を切っているかのような感触で岩を真っ二つに斬り裂き、貫くのだ。
ちなみに”鬼人剣”には毎日自傷して俺の血を吸わせているが、まだグレートバスタードソードと同程度の切れ味しかない。
吸血鬼になってTP消費で造血することができるが、延々と血を吸わせ続けている感覚が気持ち悪いので毎晩30分程度しか行っていない。
『…うわっ、危ねぇ。手出してないのになんでこっちに酸性液吐いてくるんだよ…』
戦闘の様子に視線を戻してみると、既にこちらは無傷のまま8本ある足の内3本を斬り落としていた。
俺に続くパーティーの第2司令塔であるスーが的確な指示を出しているようだ。
アイリスが俊敏性を生かして攻撃を引き付けているうちにクレアとイザベルが強撃を与え、ヘイトが2人に向いたら今度はアイリスが攻撃を与えているようだ。
『…なるほどなるほど。酸性液を吐くときには頭を引いて顎を開く予備動作があるのか。毒糸を射出するときは尻の部分が急激に膨らむ予備動作か。』
クレア達の戦闘を他所に、俺はクイーンスパイダーに関する情報を次々メモに書き記していった。
俺の目的はギルドに情報を売却して利益を得ることではなく、この情報を提供することで多くの冒険者の命を助けることだ。
俺としてはこういった偽善者的行動に興味はないのだが、師範からギルドマスターとして依頼されたことなので引き受けたのだ。
『…俺にとっても魔物の戦闘情報は役立つしな。』
「キシャァァー----!!!!」
そんなことを考えているうちに、4人は息を乱すことなくクイーンスパイダーを瀕死まで追い込んでいた。
クイーンスパイダーは威嚇の声を上げ、クレアのラストアタックで絶命すると同時にヒュージスパイダーを大量に産卵してすぐに孵化した。
『うわっ…前世の教科書でトラウマになったカマキリの孵化以上に気持ち悪いな…』
その数は約200匹、この広いラスボス部屋が体長2mほどの子蜘蛛で埋め尽くされた。
遠くで鳥肌を立てながら駆除しているクレア達の悲鳴が聞こえる。
「こっち来たし…これは手出していいか。」
何となく”鬼人剣”に蜘蛛の血は吸わせたくないと感じ、グレートバスタードソードに持ち替えて両手剣Lv.10”アトミックスターダスト”を仲間に当たらない程度に手加減して行使した。
1撃で周囲にいた70匹近くが粉々に斬り裂かれ、靄になって消えてゆく。
『フィールドじゃなくて良かった…間違いなく緑色の血や肉を浴びることになってただろうな…』
俺の攻撃を皮切りに、クレア達も広範囲ソードスキルを行使してヒュージスパイダーを殲滅した。
ラスボス部屋の床には煌めく大量の魔石が散らばっている。
いちいち拾うのは面倒くさいので、”アイテムボックス”の特性を生かして立ったまま範囲選択して収納した。
「お疲れ様。状態異常に罹った人は…いないみたいだな。」
「うん!昼食取って早く模擬戦しようよ~!!」
「スーは元気だな…オレはちょっと休む…」
「ボ、ボクも…」
おそらくクレアとイザベルは大量の蜘蛛という最悪な場面を見てSAN値が削られたのだろう。
俺も虫は苦手だったが、”アトミックスターダスト”もあるし実力的に絶対に身体に触れられないことを信じているので何とか心を保っているのだ。
それから昼食をとりつつ休憩し、模擬戦をしてパーティーハウスに帰った。
模擬戦を始める頃にはクレアとイザベルもSAN値が回復し、いつも通り全力で戦った。
俺達の目的はダンジョンに慣れることから満足するまで身体を動かすことに変わり、毎日10層攻略してボスを倒してはボス部屋で模擬戦をするのが日課となっていた。
そして今日、気が付けばこのダンジョンの最下層である47層ボス部屋前に辿りついていた。
「ちゃっちゃと倒して模擬戦始めよーぜ!!」
「今まで出てきた魔物から察するに、ボスはAランク魔物程度の強さですしね。」
「順番的にスーが戦う番だけど、今回はラスボスだから一応気を抜かずに全員でかかろう。」
「了解~じゃあ行こっか~」
軽いノリでラスボス部屋の扉を開けると、そこには巨大蜘蛛とその巣が天井いっぱいに広がっていた。
赤い8つの目がギラギラとこちらを睨みつけ、顎をぶつけ合ってカチカチと気味の悪い音を立てている。
その正体は口から酸性液を吐き、尻から毒糸を射出し、さらに死ぬ間際にBランク魔物ヒュージスパイダーを大量に産卵する性質を持つSランク魔物、クイーンスパイダーだった。
人里離れた遺跡の奥に存在しているため本来なら滅多に遭遇しない魔物で、毒抜きした糸は最高級の衣服に使われるという。
「気持ち悪っ!…オレこういうの無理だ…」
「確かに文献よりおぞましい見た目ですね。」
「ふむ…俺は見てるから4人だけで戦ってみるか?」
「いいの~?」
「ああ。俺が新遺跡で得た武器を使ったら瞬殺しそうだからな。」
「りょ、了解なのです!!」
俺は40層のボス戦で新遺跡から持ち帰った武器を試してみたのだが、流石SSSランク武器といった性能だった。
まるで豆腐を切っているかのような感触で岩を真っ二つに斬り裂き、貫くのだ。
ちなみに”鬼人剣”には毎日自傷して俺の血を吸わせているが、まだグレートバスタードソードと同程度の切れ味しかない。
吸血鬼になってTP消費で造血することができるが、延々と血を吸わせ続けている感覚が気持ち悪いので毎晩30分程度しか行っていない。
『…うわっ、危ねぇ。手出してないのになんでこっちに酸性液吐いてくるんだよ…』
戦闘の様子に視線を戻してみると、既にこちらは無傷のまま8本ある足の内3本を斬り落としていた。
俺に続くパーティーの第2司令塔であるスーが的確な指示を出しているようだ。
アイリスが俊敏性を生かして攻撃を引き付けているうちにクレアとイザベルが強撃を与え、ヘイトが2人に向いたら今度はアイリスが攻撃を与えているようだ。
『…なるほどなるほど。酸性液を吐くときには頭を引いて顎を開く予備動作があるのか。毒糸を射出するときは尻の部分が急激に膨らむ予備動作か。』
クレア達の戦闘を他所に、俺はクイーンスパイダーに関する情報を次々メモに書き記していった。
俺の目的はギルドに情報を売却して利益を得ることではなく、この情報を提供することで多くの冒険者の命を助けることだ。
俺としてはこういった偽善者的行動に興味はないのだが、師範からギルドマスターとして依頼されたことなので引き受けたのだ。
『…俺にとっても魔物の戦闘情報は役立つしな。』
「キシャァァー----!!!!」
そんなことを考えているうちに、4人は息を乱すことなくクイーンスパイダーを瀕死まで追い込んでいた。
クイーンスパイダーは威嚇の声を上げ、クレアのラストアタックで絶命すると同時にヒュージスパイダーを大量に産卵してすぐに孵化した。
『うわっ…前世の教科書でトラウマになったカマキリの孵化以上に気持ち悪いな…』
その数は約200匹、この広いラスボス部屋が体長2mほどの子蜘蛛で埋め尽くされた。
遠くで鳥肌を立てながら駆除しているクレア達の悲鳴が聞こえる。
「こっち来たし…これは手出していいか。」
何となく”鬼人剣”に蜘蛛の血は吸わせたくないと感じ、グレートバスタードソードに持ち替えて両手剣Lv.10”アトミックスターダスト”を仲間に当たらない程度に手加減して行使した。
1撃で周囲にいた70匹近くが粉々に斬り裂かれ、靄になって消えてゆく。
『フィールドじゃなくて良かった…間違いなく緑色の血や肉を浴びることになってただろうな…』
俺の攻撃を皮切りに、クレア達も広範囲ソードスキルを行使してヒュージスパイダーを殲滅した。
ラスボス部屋の床には煌めく大量の魔石が散らばっている。
いちいち拾うのは面倒くさいので、”アイテムボックス”の特性を生かして立ったまま範囲選択して収納した。
「お疲れ様。状態異常に罹った人は…いないみたいだな。」
「うん!昼食取って早く模擬戦しようよ~!!」
「スーは元気だな…オレはちょっと休む…」
「ボ、ボクも…」
おそらくクレアとイザベルは大量の蜘蛛という最悪な場面を見てSAN値が削られたのだろう。
俺も虫は苦手だったが、”アトミックスターダスト”もあるし実力的に絶対に身体に触れられないことを信じているので何とか心を保っているのだ。
それから昼食をとりつつ休憩し、模擬戦をしてパーティーハウスに帰った。
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