異世界転生録～死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます！！～

第144話 王都再来

そのままメリルのところに行こうか悩んだが、一度ヴァルハラ帝国に帰還することにした。

もしメリル魔道具店や商会との交易を取り付けることができた時、何を輸入するかの相談もしたかったのだ。



「おかえりなさいませ、ダグラス様。」



「ああ。ただいま。グレイ、早速で悪いが幹部全員を招集してくれないか？」



「承知いたしました。」



数分後



「幹部全員が集まるのは久々な気がするの！！」



「確かにそうね…あたしも久々にルカの顔を見たわ。」



「全員集まってくれてありがとう。今回は交易についての相談をしたい。」



そういった瞬間、皆の表情が少し明るくなった気がする。

やはり今まで自給自足で無理を強いてしまっていたのだろう。



「…と言いますと？」



「交易を取り付けられる可能性がある。それで、民たちのことも考えて何を仕入れたらいいと思う？」



「そうですね…私めは物ではなく人を買うべきだと思います。」



「それは…奴隷を買うということか？」



「いえ。奴隷でも構いませんが、外との繋がりを得るのならヴァルハラ帝国に分店を建てて働いてもらうのがいいかと。」



「なるほどな…」



その発想はなかった。

確かにその方が将来的に見ても安定的でいいかもしれない。



「しかしグレイ、ヴァルハラは魔族の国じゃ。儂はそれでも働く人族は少ないと思うんじゃが…」



「確かにな…」



「あたしは人より先に物を充実させたいわ。移住してきた時に持って来たとはいえ、流石に女性陣は衣服を気にし始めているのよ。」



「なるほどな…じゃあ品物も大量購入してくることにしようか。」



「ルカも人がいいと思うの！人族さんとも仲良くなりたいの！！」



「そうだな！魔族と人族が共存できたらいいな。」



人族か魔族どちらと生きるか選べと言われても選べない。

俺は欲張りなので、両方と生きる選択をするだろう。



「じゃあ商品を購入しつつ、ヴァルハラで働いてもいい職人を探すってことでいいか？」



「はい。」



「ええ！」



「分かった。じゃあそれぞれ買ってきてほしい物を斡旋して紙に書いてくれ。」



「分かったわ。」



「これからまたヴァルハラを離れる。グリム、その間よろしく頼む。」



「了解じゃ！」



それから商談の準備をしている間に幹部から買い物リストをもらい、出発の準備が整った。

今から行ってもいいが、中途半端な時間なので翌朝にしようと思う。



翌朝



「じゃあ行ってくる。」



「行ってらっしゃいませ。お気をつけて。」



「ああ。」



買い物リストは種族ごとにもらったので合計四枚。

衣類や食料、香辛料、本などと書かれている。



少し量が多いが商会に行けばすべて揃いそうだ。



『メリルは…今は王都にいるのか。王都の商会は一番大きいしちょうどいいな。』



俺は王都の屋敷に”転移”した。

ここの奴隷が全体の中で一番仲が良かったので、少し会うのに緊張する。



「あっ！！マスターおかえり！！」



「おかえりなさいませダグラス様。」



「ただいまクレア、ソフィア。」



久しぶりに会ったので”鑑定”で成長具合を見てみた。



やはり人族なのでヴァルハラの魔族たちに比べたら弱い。

しかし、それでもSランク寄りのAランク冒険者くらいには強くなっていた。



「強くなったな。」



「はい！実はここにいるパーティ全員が王都の主力冒険者になったんです！！」



「それはすごいな！！」



奴隷商館でステータス値や成長度合いの高い人を選んで購入したが、成功だったようだ。

皆をヴァルハラに移住させようかとも思ったが、王都の損害が大きいのでこのままにしておこう。



「じゃあ商会に行ってくる。居たり居なかったりになると思うから俺のことは気にしないでくれ。」



「そうですか…分かりました。」



早速メリルがいる商会内部の魔道具店に向かった。



「いらっしゃいませー…ってダグラス！？」



「ああ。久しぶり。」



「本当に久しぶりだよーー！！今まで何してたのさーーー！！」



「そうだな…だいぶ重い話になるんだけど、実は…」



俺は魔王因子が目覚めてしまったこと、魔王簒奪戦に巻き込まれていること、穏健派を保護していくうち国王になったことなど、仔細に話した。



「…どんな生活送ってたらそんなことになるのよ？」



「俺にもよくわからん。」



「まあ私は儲かるなら人族も魔族も関係ないわ！！」



「商魂たくましいことで…けど本当に助かる。」



メリルと同じように儲かるならそれでいいという商人を当たれば職人が手に入るかもしれない。

後で商会に依頼を出しておこう。



「気にしないで！！それでダグラス、一つ聞きたいんだけどさ。」



「なんだ？」



「もしかして武闘大会で優勝した…？」



「あ、ああ。遠いのによく知ってたな。」



「商人は情報が命ですから！！ってそうじゃなくて…そんな強くなってたの！？」



「…まあSランク冒険者に推薦されるくらいには？」



「私と契約しましょう！！」



「…え？」