異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

文字の大きさ
上 下
45 / 188

第45話 海上都市

しおりを挟む
海上都市は街の外周の8割が海に面している。

王都から海上都市まで馬車で10日かかるのだが、そんなに長い間待てないので全速力で走って向かった。



途中魔物を何度も見つけたが、いちいち止まるのが面倒くさかったのでオーク肉目当てでオークだけを狩った。

そして、走り始めて3時間強が経った頃、ついに海上都市に着いた。



前世ぶりに海の匂いを体感した。

王都と同じくらい大きい外壁に囲まれていたが、海風の影響でボロボロになっていた。



『これは…ヴァーリ領のアンデッドの時みたいに大勢の魔物が来たら耐えられないな…』



今度正式にクエストという形で受けてお金を稼ごうと思う。

門に着くと、



「君、ギルドカードを見せてもらってもいいかな?」



「はい。」



見せると、門番たちが何かを見つけたような顔をした。



「ちょっと来てもらえるかな?」



「…?はい。」



何も心当たりがないので俺はそわそわした。



「ここで待っててね。」



いったい何が始まるのだろうか。

待ち始めて数分後、



「君がダグラス君かな?」



「はい。」



「ゲイルから話は聞いていますよ。私はこの海上都市のギルドマスターを務めているセイレーンのバーバラですー。

これからよろしくお願いしますねー!」



「よろしくお願いします。」



バーバラさんはおっとり系の美人な女性だった。

しかし、セイレーンの特徴である耳の後ろのヒレや下半身の尾がない。



「あ、あの。失礼ですが、セイレーンには見えないんですがけど…」



「それはねー、この魔道具の効果だよ!」



その腕輪の魔道具を”鑑定”してみると、”人間化”のスキルが付与されていた。



「へぇ…珍しい魔道具ですね。」



「ここにある海底ダンジョンの奥深くで宝箱から得られるんだよー。」



「なるほど…ところで、俺を引き留めた目的は何ですか?」



「それはー、ダグラス君が目立つ前に早く顔を合わせておきたかったから!」



「そうですか…」



確かにこのままギルドでいつも通り大量の討伐回数を報告したら目立っていた。



「あと、ダグラス君担当のギルド職員テレサちゃんがまだ着いてないの。

明日の早朝の馬車に乗ってくるんだけど、あと10日クエストやらないで待てるかな…?」



「ごめんなさい。それは無理です。」



「そっかぁ…じゃあどうしようか…」



「あの、俺が連れてきてもいいですか?」



「いいの?」



「はい。その方が早いので。」



「じゃあ悪いけどよろしく頼むわね。着いたらテレサちゃんと一緒にギルマスの部屋を訪ねてねー!」



「分かりました。」



初見の魔物や”略奪”で得られるスキルが何か気になって落ち着かないので一刻も早く早くテレサさんを連れてきたい。

俺は王都に”転移”し、ギルドに顔を出した。



「すみません、テレサさんはいますか?」



「今は奥の職員部屋にいるよ。呼んでくるからちょっと待っててね。」



「ありがとうございます。」



明日出発とはいえ前日まで働いていたとは…



「ダグラス君!?今日の朝海上都市に向かったんじゃないの…!?」



「はい。それで、テレサさんが着くまでクエストを受けられないから連れに来たんです。」



「あ、そうなんだ…私のせいでごめんね…」



「気にしないでください!ところで、もう出発の準備はできてますか?」



「うん。万端だよ。」



「じゃあ今から向かっても大丈夫ですか?」



「うーん…最後にこの仕事だけやらせて?」



「分かりました。じゃあここで待ってますね。」



数十分後、



「お待たせー…ごめんね待たせちゃって。」



「全然大丈夫ですよ。」



「じゃあ荷物も持ってきたから行こうか。」



「はい。」



「それで、私が予約した馬車は明日の早朝だけどどうやって行くの?」



「”転移”します。」



「え…!?あの空間魔法の”転移”…!?」



「いえ、使い捨ての”転移”ができる魔道具です。」



空間魔法”転移”は使える人がこの世界に一握りしかいないそうなので、魔道具という設定にした。



「それでもすごいよ!!でもそんなものどこで…?」



「…メリル魔道具店です。」



「なるほど…あそこならあり得るね。」



「じゃあ行きますか。」



俺は人目がつかない門前前の草むらに空間魔法”転移”をした。



「すごい…本当に海上都市の目の前に一瞬で来ちゃった。」



「ほんとですね…俺も初めて使ったから驚きました…」



とりあえず便乗しておいた。



「じゃあ行こっかダグラス君!」



「はい!」



俺とテレサはその後門を抜け、ギルマスの部屋に顔を出した。



「バーバラさん、失礼します。Cランク冒険者のダグラスです。」



「はぁーい。入っていいよー。」



「失礼します。」



「って、えぇ!?もうテレサちゃん連れてきたのー!?」



「はい。」



「こんにちはバーバラさん。この度王都からここ海上都市に転勤になりました、ギルド職員のテレサです。

よろしくお願いします。」



「そんなに固くならなくていいよー!こちらこそよろしくね!」



その後、海上都市ギルドの説明を受けた。

王都と同じ部分は割愛する。



1つ慣れないものがあった。

それは、”市民クエスト”だ。



これは報酬は安いが市民からの依頼を達成するものだ。

Fランク冒険者向けだが、この街になじむにはもってこいのクエストだろう。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

処理中です...