異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

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第13話 苦難

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翌日、武技訓練で俺はつらい思いをした。

それはいつも通り走り込みと筋トレ、藁人形へのスラッシュの繰り返しが終わって新しい盾スキルの訓練をしている時だった。



今日はフィオナ先生が武技の訓練を見に来ていた。

今まで一度も武技の時間に来たことがないので疑問に思っていた。



「小僧、盾を構えろ!」



「はい!」



「じゃあ今から俺が攻撃するから耐えて見せろ!」



「えっ…!?は、はい!」



俺は師匠の素振りを見て、圧倒的な力差を感じていた。



『さすがにそんなには強く攻撃してこないだろう…』



そう思いながらも、俺は本気で盾を構えた。



「いくぞ!」



すると脳内で危険察知スキルが激しく鳴り、次の瞬間俺の腕と背中に激痛が走った。



「あ”あ”あ”あ”あ”っっっ!!!」



10mくらい弾き飛ばされて壁にぶつかったのだ。

腕は変な方向に曲がり、打ち付けられたことで骨が何本も折れているようだ。



すると、フィオナ先生が来て回復してくれた。



「カイル、いくら何でもこれはやりすぎじゃないの!?」



「小僧のためだ。多少痛みに慣れておかんと少しけがしただけで動きが鈍ってすぐ死ぬぞ?」



「確かにそうだけど…」



「お前がいれば小僧を回復できるし死なないだろう?」



「それはそうだけど…だって…」



「ありが…とうございます…フィオナ先生…俺は大丈夫です。」



「でも…いや、わかった。どんな怪我も治してあげるから思う存分やっておいで!」



「はい!ありがとうございます!将来強い冒険者になるためにも乗り越えて見せます!」



「よく言った小僧!続き行くぞ!」



「はい!」



何回吹っ飛ばされただろうか…

最後に一発強い一撃をくらい、意識が朦朧とした。

かすれ行く意識の中で、



「よく頑張ったな小僧!」



「よく頑張りましたね。私の授業はなしにしますので、ゆっくり休んでください。」



目が覚めると、そこには師匠とフィオナ先生、そして父さんと姉さんがいた。



「よかった…目を覚ましたんだね…」



父さんがとても安堵していた。

俺は困惑した。



「ダグラスが訓練で意識を失ってから2日間ずっと目覚めなかったのよ!本当に良かった…」



そうだったのか…

姉さんは心配して泣いてくれていた。



「…すまんかったな。小僧が覚悟した顔をしてたから全力で攻撃してしまった…」



「大丈夫です!覚悟に応じてくれてありがとうございました!それよりも父さん、これで師匠がクビになるとかないですよね…!?」



「ん?あ、ああ。それはダグラス次第だ。」



「じゃあ師匠、今まで通り訓練をお願いします!」



「でも、ダグラスまた倒れちゃうかもよ?」



「大丈夫です姉さん。覚悟はしています。」



「わかった。じゃあこれからも今まで通り訓練をするぞ小僧!」



「はい!」



それからだんだん師匠の攻撃と痛みに慣れ、意識を飛ばさないようになった。



そして、片手剣スキルがE→D、盾スキルがF→Eになった。



それぞれアークスクエア(四連撃)とデコイ(挑発し敵を引き付ける)を覚えた。



師匠に報告すると、



「よく頑張ったな小僧!これで俺の打ち込みは終わりだ。」



「ありがとうございました!」



「これからは前半に走りと筋トレ、後半にスラッシュ、デコイの繰り返しと今まで右手で片手剣を使っていたから今度は左手で片手剣の訓練をする。」



「一つ質問いいですか?」



「なんだ?」



「どうして槍とか短剣じゃなくて左手の片手剣の訓練なんですか?」



「よく聞いてくれた!それは俺の冒険者時代の教訓なんだ!せっかくだから家庭教師らしく質問形式にしていくか。」



「はい。」



「じゃあ使える武器のバリエーションが多いことのメリットはなんだ?」



「そうですね…戦争など大きな戦いで自分の武器が壊れたときにその辺に落ちてる武器を拾うことですぐに体制を整えられるから…ですか?」



「…それもあるが、あと魔物の特性によるものだ。斬撃は効きにくいが刺突は効くとかな!」



「なるほど…」



「じゃあ左右の手どちらも使えるようになるメリットは?」



「うーん…片手を失っても攻撃の手段がなくならないこと…?」



「怖いこと考えるな小僧…確かにそれもある。一番のメリットは手数を増やせることだ!

慣れれば二刀流もできるそうだ。

あと、相手もまさか戦闘中に手を変えて攻撃してくるとは思わないから相手の隙を突けることだな!」



「なるほど…勉強になりました!」



「おう!」



それから俺は訓練に没頭した。
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