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第12話 訓練

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家庭教師が来て訓練を始めてから3ヶ月くらい経っただろうか。

(この世界の1年=10ヶ月)



「よし小僧!そろそろ体力も筋肉もついてきただろう。後半は片手剣の訓練にするぞ!」



「はい!」



ずっと走って筋トレしての繰り返しだったのでとても嬉しかった。



「じゃあこの木剣を持って素振りをしてみろ!」



俺は素振りを始めた。すると、



「軸がブレてる!もっと全体の力を抜け!」



「はい!」



「振るのが遅い!もっと力を入れて早く振れ!」



「はい!」



そうやって素振りをし続け何時間経っただろうか。



「ようやくそれっぽい形になってきたな!よし、今日はここまでだ!」



「ありがとうございました!」



「師匠、どうして片手剣の訓練なんですか?」



「片手剣は応用が効くからだな。例えば将来盾スキルを習得したら両方同時に使える。

逆にもし今両手剣とか両手を使うスキルを習得していたら盾スキルを習得しても使えないからな。」



「なるほど…ありがとうございます!」



師匠はいろいろ考えてくれているようだ。



お風呂で汗を流し、昼食を終えると次はフィオナ先生の授業だ。



「この三ヶ月で舞踏はいい感じに仕上がってきたわ。だから代わりに数学をやりましょうか!」



「はい!」



俺は一番つらかった舞踏が終わったので心の中で喜んだ。



数学の授業の内容は四則演算だった。

小学生の内容だったので簡単だったが、めちゃくちゃできてしまうと疑問に思われるので手を抜いた。

しかし、だんだんと数字が大きくなりやがて6桁まで扱うようになった。

一つ一つの計算に時間がかかり、たまに計算ミスをしてしまった。



「どうしてこんな大きな数字の計算までやるんですか?」



「だってお金の計算するときにこのくらいまでやらないと白金貨とかは計算できないでしょう?」



「確かに...」



そう思い、俺はこの後ただ黙々と問題を解いた。



この後先生に6桁の引き算を出したら一瞬で解かれた。



『…まじかよ。インド人くらい数学強いな...』



ちなみにアドルフ兄さんとノンナ姉さんにも6桁の引き算を出してみた。

すると、アドルフ兄さんは一瞬で解いたがノンナ姉さんは5秒くらい時間がかかっていた。



『まあ5秒でもめちゃくちゃ早いけどね...』



その後俺は必死に計算能力を上げた。



片手剣の訓練を始めて1ヶ月が経っただろうか。

久しぶりに「ピロン!」という音を聞いた。



『ステータス』



片手剣スキルがF→Eに上がり、スラッシュ(単発斜め斬り)という技を覚えた。

武技スキルはF→Eを除き、魔法スキルと同様に特定の武技を○○回やることでランクがあがる形式だった。



俺は嫌な顔一つせずに訓練を続けた。

なぜならこの努力は必ず結果に繋がるとわかっているからだ。



きっと誰もが前世の学校で習う数学や世界史などを勉強する価値はあるのか?と疑問に思ったことがあるだろう。

もちろん俺も思っていた。


勉強しても結局何にも使うことがなく、



『結局あの努力は何だったんだろう。時間を返してほしい!』



そういった後悔だけが残っていた。



しかし、この世界で剣術の熟練度を上げるということは強くなるということで、将来死んでしまう確率を下げられたり、それを生かして稼ぐこともできる。



俺は結果に繋がる努力というものがこんなにも気持ちがいいものだとは思わなかった。



師匠にスラッシュが使えるようになったと報告すると、



「小僧の片手剣スキルがEランクになった証拠だ!よくやった!」



「ありがとうございます!」



「じゃあこれからは前半に走りと筋トレ、後半にスラッシュの繰り返しと盾スキルをやろう!これからもっと厳しくしていくぞ?」



師匠は真剣な顔で言った。



「はい!頑張ります!」



武技の訓練が終わり、次はフィオナ先生の授業だ。



「ダグラス君。最初に話があるの。いいかな?」



「はい、なんでしょう?」



「実はダグラス君の勉強のペースが想定していたよりも早くて、授業の時間が余るんだけど他の教科の授業と武技の訓練どっちがやりたい?」



「他の教科って例えばなんですか?」



「そうねぇ…ダグラス君の将来やりたいことによるかな。何かしたいとかあるかな?」



「俺は将来冒険者ギルドに入って冒険がしたいです!」



「そうなんだ!てっきり騎士を目指しているのかと思っていたよ!じゃあ私たちが体験してきたことを参考に地理や魔物学、薬学とかはどう?」



「それでお願いします!」



『将来に確実に必要なことが先人の経験を踏まえて勉強できる…最高じゃないか!』



そう思い、心の中で舞い上がっていた。
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