31 / 84
第3章 侍女科
10 生徒会室(お茶会終了後)②
しおりを挟む
「やっぱり、有耶無耶にされると駄目だわ。エマ、本当に言えない内容なら、言わなくても良いのだけど、何故そこまであの二人をそっとしておけだなんて言うのかしら。何も知らない此方としては、とても気になるわ。私は、従姉妹だけれど、家族同然に思っているのよ。
あの忌々しい事件、ああ……問題ね。あの問題自体が、未だに謎だらけなのよ。あれを片付けるまでは、他の事に疑問を残すことはいやなの。ましてや、それが大切な友人の事なら尚更ね。だからもし、話せる内容なら教えてほしいわ」
「ごめんなさい。確かに、あんな言い方をしたら気になるわよね。でも、大したことではないのよ」
「…………」
エマが話を逸らそうとするも、今度は中々引き下がらないエリザベス。
観念したのか、エマは戸惑いながらも話し始めた。
「……、分かったわ、話すわ。あれは……、私が9歳になる前のことね。その日は、ブラン子爵夫人とルーちゃんが、うちに遊びに来ていたの。母親達は、いつも通り二人でお茶会をして、エリーとルーちゃんは、子供部屋で遊んでいたわ。その日は、私も屋敷にいたから子供部屋に向かったの。部屋では二人がおままごとをしていたけど、私は興味がなかったから、離れたところからその様子をただ見ていたわ。
その時、『……侍女になるね』『……なるわ!』なんて薄っすらと会話が聞こえたから、『二人は侍女にはなれないわよ』て声を掛けたの。あの頃の私は、友達なんて興味もなかったけど、ちょっとだけ羨ましかったのかな……。大泣きされたから覚えてるのだけど、その時は余計なことを言うのではなかったと反省したわ。今回、二人が侍女科に移ったでしょう?あの時のやり取りは本気だったのかと思って、エリーに聞いてみたの……」
次に続く言葉を言おうか躊躇う様子のエマに、エリザベスが穏やかな声で話しかけた。
「大丈夫よ、ゆっくりで良いから。話してみて」
エマは、頷きながらも、どの様に伝えれば良いのか迷っている様子だ。
「エリーは、二人で一緒に侍女科へ移れたことは、喜んでいたのよ。でも、『ルイーズは、あの頃のことを覚えていない』て言うのよ。あの子はそれ以外の事を教えてくれないし、その時は、子供の頃の記憶なんて、曖昧なこともあるかと思ったけど……。後から考えると、違和感があるのよね。ルーちゃんは、特に、思い出とか約束とかを大切にしそうなのに、覚えていないなんてことあるのかしらって。小さな頃の事を覚えていなくても、仕様がない……、で片づけてはいけないような……。ごめんなさい。話している私が分からないのに、理解するのは難しいわよね」
「そうね。でも、エマが違和感を覚える気持ちは理解できたわ。そういう違和感を、甘く見てはいけないのよね」
それまで、聞き役に徹していたレアが、話を切り出した。
「ルーちゃんの家名はブランだったか……、ブラン子爵家。確か、先代当主は端麗で剣のお強い方だった、という話を父から聞いたことがある。先代は、今も健在なのだろうか」
ブラン子爵家の先代当主について聞かれたエマは、昔のことを思い出しながら、考えを巡らせているようだ。
「そういえば、当主を引退してからは、諸外国を巡っていると聞いたことがあるわ。ルーちゃんが幼少の頃は、よく一緒に連れて歩いていたそうよ。歳の離れた弟がいるのだけど、その子が生まれるまでは、ルーちゃんを後継者として、育てていたのではないかしら」
「ねえ、エリーは他に何か言っていなかった?」
「子供の頃は、ルーちゃんの目はとても綺麗だって言っていたわ。『森の中ってあんな感じなのかしら』て聞かれたことがあるの。私の想像する森は暗い印象だから、『森は暗くて怖いわよ』と答えたのだけど……」
目を閉じて思考するエマを、エリザベスとレアが静かに見守っていると、気になることがあったのか、エマが二人に問いかけた。
「二人は、小さい頃に絵本や写本を見たり読んだりしたことはある?」
「もちろんあるわ」
「ないな」
エマの疑問に答えるエリザベスとレア。
「そう。それならリザに聞くけど、写本や絵本の色合いってどんな感じなの?」
「そうね、写本は煌びやかで色鮮やかな印象かしら。絵本はそれを〈子供向け〉にしたものかしらね」
エリザベスの返答を聞いたエマは、何かが腑に落ちたようだ。
「捉えかたの違い……。気づかなかったわ。エリーにとっての森は、新緑や木漏れ日?かしら。そうね、それだったら納得できるわ」
「エマ、どういうことか教えてくれる?」
一人で納得するエマに、エリザベスがその先に続く言葉を求めた。
「私が思う森の印象は、実際に見たことのある夜の暗い木々なの。だけど、エリーにとっての森は、新緑や木漏れ日のような明るい印象なのよ。エリーは、よく絵本を読んでいたけれど、私は挿絵のある本をあまり好まなかったから、気づかなかったわ」
「森の話は分かったわ。それで、何に納得していたの?」
「ルーちゃんの目の色よ。エリーと私の森の印象が全く違うのよ。二人の主観に違いがあったから、話しが嚙み合わなかったんだわ。幼い頃のルーちゃんの目の色は……、青緑?というのかしら。透き通った色でとても綺麗だったわ。でも、今は青より緑が強いのよね……、エッどういうこと?」
「こちらが聞きたいわよ……。ルーちゃんは貴族令嬢よね。毎日、野山を駆け回っていた訳でもないわよね。もし環境によって変化したのではないなら……、ご家族はどうなのかしら。エマらしくないわね、おかしいと思わなかったの?」
「劇的な変化があった訳ではないから……、そこまで真剣に考えなかったわ」
「確かに、劇的な変化はないのだけど、何かが引っかかるわね」
「…………」
「…………」
エリザベスの発言を、肯定するかのように黙り込むエマとレア。
「少し調べてみましょう」
三人は視線を合わせて頷いた。
あの忌々しい事件、ああ……問題ね。あの問題自体が、未だに謎だらけなのよ。あれを片付けるまでは、他の事に疑問を残すことはいやなの。ましてや、それが大切な友人の事なら尚更ね。だからもし、話せる内容なら教えてほしいわ」
「ごめんなさい。確かに、あんな言い方をしたら気になるわよね。でも、大したことではないのよ」
「…………」
エマが話を逸らそうとするも、今度は中々引き下がらないエリザベス。
観念したのか、エマは戸惑いながらも話し始めた。
「……、分かったわ、話すわ。あれは……、私が9歳になる前のことね。その日は、ブラン子爵夫人とルーちゃんが、うちに遊びに来ていたの。母親達は、いつも通り二人でお茶会をして、エリーとルーちゃんは、子供部屋で遊んでいたわ。その日は、私も屋敷にいたから子供部屋に向かったの。部屋では二人がおままごとをしていたけど、私は興味がなかったから、離れたところからその様子をただ見ていたわ。
その時、『……侍女になるね』『……なるわ!』なんて薄っすらと会話が聞こえたから、『二人は侍女にはなれないわよ』て声を掛けたの。あの頃の私は、友達なんて興味もなかったけど、ちょっとだけ羨ましかったのかな……。大泣きされたから覚えてるのだけど、その時は余計なことを言うのではなかったと反省したわ。今回、二人が侍女科に移ったでしょう?あの時のやり取りは本気だったのかと思って、エリーに聞いてみたの……」
次に続く言葉を言おうか躊躇う様子のエマに、エリザベスが穏やかな声で話しかけた。
「大丈夫よ、ゆっくりで良いから。話してみて」
エマは、頷きながらも、どの様に伝えれば良いのか迷っている様子だ。
「エリーは、二人で一緒に侍女科へ移れたことは、喜んでいたのよ。でも、『ルイーズは、あの頃のことを覚えていない』て言うのよ。あの子はそれ以外の事を教えてくれないし、その時は、子供の頃の記憶なんて、曖昧なこともあるかと思ったけど……。後から考えると、違和感があるのよね。ルーちゃんは、特に、思い出とか約束とかを大切にしそうなのに、覚えていないなんてことあるのかしらって。小さな頃の事を覚えていなくても、仕様がない……、で片づけてはいけないような……。ごめんなさい。話している私が分からないのに、理解するのは難しいわよね」
「そうね。でも、エマが違和感を覚える気持ちは理解できたわ。そういう違和感を、甘く見てはいけないのよね」
それまで、聞き役に徹していたレアが、話を切り出した。
「ルーちゃんの家名はブランだったか……、ブラン子爵家。確か、先代当主は端麗で剣のお強い方だった、という話を父から聞いたことがある。先代は、今も健在なのだろうか」
ブラン子爵家の先代当主について聞かれたエマは、昔のことを思い出しながら、考えを巡らせているようだ。
「そういえば、当主を引退してからは、諸外国を巡っていると聞いたことがあるわ。ルーちゃんが幼少の頃は、よく一緒に連れて歩いていたそうよ。歳の離れた弟がいるのだけど、その子が生まれるまでは、ルーちゃんを後継者として、育てていたのではないかしら」
「ねえ、エリーは他に何か言っていなかった?」
「子供の頃は、ルーちゃんの目はとても綺麗だって言っていたわ。『森の中ってあんな感じなのかしら』て聞かれたことがあるの。私の想像する森は暗い印象だから、『森は暗くて怖いわよ』と答えたのだけど……」
目を閉じて思考するエマを、エリザベスとレアが静かに見守っていると、気になることがあったのか、エマが二人に問いかけた。
「二人は、小さい頃に絵本や写本を見たり読んだりしたことはある?」
「もちろんあるわ」
「ないな」
エマの疑問に答えるエリザベスとレア。
「そう。それならリザに聞くけど、写本や絵本の色合いってどんな感じなの?」
「そうね、写本は煌びやかで色鮮やかな印象かしら。絵本はそれを〈子供向け〉にしたものかしらね」
エリザベスの返答を聞いたエマは、何かが腑に落ちたようだ。
「捉えかたの違い……。気づかなかったわ。エリーにとっての森は、新緑や木漏れ日?かしら。そうね、それだったら納得できるわ」
「エマ、どういうことか教えてくれる?」
一人で納得するエマに、エリザベスがその先に続く言葉を求めた。
「私が思う森の印象は、実際に見たことのある夜の暗い木々なの。だけど、エリーにとっての森は、新緑や木漏れ日のような明るい印象なのよ。エリーは、よく絵本を読んでいたけれど、私は挿絵のある本をあまり好まなかったから、気づかなかったわ」
「森の話は分かったわ。それで、何に納得していたの?」
「ルーちゃんの目の色よ。エリーと私の森の印象が全く違うのよ。二人の主観に違いがあったから、話しが嚙み合わなかったんだわ。幼い頃のルーちゃんの目の色は……、青緑?というのかしら。透き通った色でとても綺麗だったわ。でも、今は青より緑が強いのよね……、エッどういうこと?」
「こちらが聞きたいわよ……。ルーちゃんは貴族令嬢よね。毎日、野山を駆け回っていた訳でもないわよね。もし環境によって変化したのではないなら……、ご家族はどうなのかしら。エマらしくないわね、おかしいと思わなかったの?」
「劇的な変化があった訳ではないから……、そこまで真剣に考えなかったわ」
「確かに、劇的な変化はないのだけど、何かが引っかかるわね」
「…………」
「…………」
エリザベスの発言を、肯定するかのように黙り込むエマとレア。
「少し調べてみましょう」
三人は視線を合わせて頷いた。
34
あなたにおすすめの小説
学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜
織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。
侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。
学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
※表紙 AIアプリ作成
妃殿下、私の婚約者から手を引いてくれませんか?
ハートリオ
恋愛
茶髪茶目のポッチャリ令嬢ロサ。
イケメン達を翻弄するも無自覚。
ロサには人に言えない、言いたくない秘密があってイケメンどころではないのだ。
そんなロサ、長年の婚約者が婚約を解消しようとしているらしいと聞かされ…
剣、馬車、ドレスのヨーロッパ風異世界です。
御脱字、申し訳ございません。
1話が長めだと思われるかもしれませんが会話が多いので読みやすいのではないかと思います。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
3回目の人生は、悪役令嬢を辞めて引きこもります~一歩も出ずに国を救ったら、なぜか「聖女」として崇められ最強の男たちが部屋を包囲してくる件~
放浪人
恋愛
公爵令嬢エリザベートは、1度目は悪役令嬢として断罪され処刑、2度目は改心して聖女となり国に尽くしたが過労死……という悲惨な最期を遂げた。 記憶を持ったまま3度目の人生が始まった瞬間、彼女は固く決意する。 「もう絶対に働きません! 今世は部屋から一歩も出ず、睡眠と趣味に命をかけます!」
最強の拒絶結界『絶対領域』で部屋に籠城し、婚約破棄イベントも夜会も全て無視して惰眠を貪ろうとするエリザベート。 しかし、彼女の「働きたくない」一心からの行動――適当な農業アドバイスや、安眠妨害への容赦ない迎撃――が、周囲には「国を憂う深慮遠謀」「慈愛に満ちた奇跡」として超好意的に解釈されてしまう!?
ヤンデレ化した元婚約者の王太子、物理で愛を語る脳筋騎士団長、効率厨の隣国王子、さらには古代の引きこもり少年までをも巻き込み、事態は国家規模の大騒動へ。 部屋ごと空を飛んで戦場を浄化し、パジャマ姿で古代兵器を操り、地下牢をスイートルームに変えながら、エリザベートは究極の安眠を手に入れることができるのか? 塩対応すればするほど愛され、逃げれば逃げるほど伝説になる、最強引きこもり令嬢の勘違いドタバタ溺愛ファンタジー、ここに完結!
婚約破棄されたトリノは、継母や姉たちや使用人からもいじめられているので、前世の記憶を思い出し、家から脱走して旅にでる!
山田 バルス
恋愛
この屋敷は、わたしの居場所じゃない。
薄明かりの差し込む天窓の下、トリノは古びた石床に敷かれた毛布の中で、静かに目を覚ました。肌寒さに身をすくめながら、昨日と変わらぬ粗末な日常が始まる。
かつては伯爵家の令嬢として、それなりに贅沢に暮らしていたはずだった。だけど、実の母が亡くなり、父が再婚してから、すべてが変わった。
「おい、灰かぶり。いつまで寝てんのよ、あんたは召使いのつもり?」
「ごめんなさい、すぐに……」
「ふーん、また寝癖ついてる。魔獣みたいな髪。鏡って知ってる?」
「……すみません」
トリノはペコリと頭を下げる。反論なんて、とうにあきらめた。
この世界は、魔法と剣が支配する王国《エルデラン》の北方領。名門リドグレイ伯爵家の屋敷には、魔道具や召使い、そして“偽りの家族”がそろっている。
彼女――トリノ・リドグレイは、この家の“戸籍上は三女”。けれど実態は、召使い以下の扱いだった。
「キッチン、昨日の灰がそのままだったわよ? ご主人様の食事を用意する手も、まるで泥人形ね」
「今朝の朝食、あなたの分はなし。ねえ、ミレイア? “灰かぶり令嬢”には、灰でも食べさせればいいのよ」
「賛成♪ ちょうど暖炉の掃除があるし、役立ててあげる」
三人がくすくすと笑うなか、トリノはただ小さくうなずいた。
夜。屋敷が静まり、誰もいない納戸で、トリノはひとり、こっそり木箱を開いた。中には小さな布包み。亡き母の形見――古びた銀のペンダントが眠っていた。
それだけが、彼女の“世界でただ一つの宝物”。
「……お母さま。わたし、がんばってるよ。ちゃんと、ひとりでも……」
声が震える。けれど、涙は流さなかった。
屋敷の誰にも必要とされない“灰かぶり令嬢”。
だけど、彼女の心だけは、まだ折れていない。
いつか、この冷たい塔を抜け出して、空の広い場所へ行くんだ。
そう、小さく、けれど確かに誓った。
この婚約は白い結婚に繋がっていたはずですが? 〜深窓の令嬢は赤獅子騎士団長に溺愛される〜
氷雨そら
恋愛
婚約相手のいない婚約式。
通常であれば、この上なく惨めであろうその場所に、辺境伯令嬢ルナシェは、美しいベールをなびかせて、毅然とした姿で立っていた。
ベールから、こぼれ落ちるような髪は白銀にも見える。プラチナブロンドが、日差しに輝いて神々しい。
さすがは、白薔薇姫との呼び名高い辺境伯令嬢だという周囲の感嘆。
けれど、ルナシェの内心は、実はそれどころではなかった。
(まさかのやり直し……?)
先ほど確かに、ルナシェは断頭台に露と消えたのだ。しかし、この場所は確かに、あの日経験した、たった一人の婚約式だった。
ルナシェは、人生を変えるため、婚約式に現れなかった婚約者に、婚約破棄を告げるため、激戦の地へと足を向けるのだった。
小説家になろう様にも投稿しています。
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる