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宝玉遊戯 一
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内心うんざりしながらも、中身をかくすような丸い蓋に気を引かれてアレクサンダーの目は強烈に引かれてしまう。
慇懃なウェイターのようにマヌエルがクローシェを取ると、小さく閃光がきらめいた。
マヌエルは、まず主のピロテスに見せるようにしてから、これみよがしにアレクサンダーにも見えるように盆をかたむける。
美しい白、黒、紅、青、緑、桃、紫と七色の玉が揺れて、極上の果実のように銀盆上で輝いている。爪ほどのものもあれば、鶏卵ほどのものもあり、よく見ると、なかには細い紐のようなもので二つか三つ、四つとつながれているものもある。
なぜかアレクサンダーは、その輝く貴石を見た瞬間、首の後ろを小針で撫でられたようなちいさな痛みと不快感をおぼえ、申し訳ていどにかけてあったガウンで、我が身をつつむようにして無意識に自分を守ろうとしていた。
その燦然と輝く宝玉に、どこか不気味なものを感じてしまうのだ。
「美しいものであろう? 妾は宝石では丸い石が好きでのう。気に入った宝石はかならず丸く作らせるようにしておる。遊ぶには持ってこいじゃからな」
言葉に匂う妖しい意味を感じ取って、アレクサンダーの悪い予感はたかまる。
「ほほほほ。どうやら何をするかわかっておるようじゃのう」
「な、なにをする気だ?」
言う必要もないことを言ってしまってからアレクサンダーは唇を噛む。
「ほほほほほ。わかっておるくせに。安心せい、最初は小さなものから初めてやる。これで感度をたかめて、すこしずつ大きいものにしていくのじゃ。楽しみやすくなるぞ」
意味するところを完全に理解してしまうと、アレクサンダーは絶叫していた。
「や、やめろ!」
叫んだと同時に、身体の中心で、ずくん、となにかが蠢くような錯覚がした。
「ほほほほ」
ピロテスはどきついほどに紅く塗っている爪先で小さな桃色の石をもてあそぶ。
慇懃なウェイターのようにマヌエルがクローシェを取ると、小さく閃光がきらめいた。
マヌエルは、まず主のピロテスに見せるようにしてから、これみよがしにアレクサンダーにも見えるように盆をかたむける。
美しい白、黒、紅、青、緑、桃、紫と七色の玉が揺れて、極上の果実のように銀盆上で輝いている。爪ほどのものもあれば、鶏卵ほどのものもあり、よく見ると、なかには細い紐のようなもので二つか三つ、四つとつながれているものもある。
なぜかアレクサンダーは、その輝く貴石を見た瞬間、首の後ろを小針で撫でられたようなちいさな痛みと不快感をおぼえ、申し訳ていどにかけてあったガウンで、我が身をつつむようにして無意識に自分を守ろうとしていた。
その燦然と輝く宝玉に、どこか不気味なものを感じてしまうのだ。
「美しいものであろう? 妾は宝石では丸い石が好きでのう。気に入った宝石はかならず丸く作らせるようにしておる。遊ぶには持ってこいじゃからな」
言葉に匂う妖しい意味を感じ取って、アレクサンダーの悪い予感はたかまる。
「ほほほほ。どうやら何をするかわかっておるようじゃのう」
「な、なにをする気だ?」
言う必要もないことを言ってしまってからアレクサンダーは唇を噛む。
「ほほほほほ。わかっておるくせに。安心せい、最初は小さなものから初めてやる。これで感度をたかめて、すこしずつ大きいものにしていくのじゃ。楽しみやすくなるぞ」
意味するところを完全に理解してしまうと、アレクサンダーは絶叫していた。
「や、やめろ!」
叫んだと同時に、身体の中心で、ずくん、となにかが蠢くような錯覚がした。
「ほほほほ」
ピロテスはどきついほどに紅く塗っている爪先で小さな桃色の石をもてあそぶ。
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