【R-18】キスからはじまるエトセトラ【完結】

田沢みん

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80、外堀を埋めることにした

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 翌朝は5時過ぎに目が覚めた。
 昨夜はディナーから部屋に戻ってから何度も激しく愛されて、たぶん午前2時頃に気を失うようにして眠ったのだと思う。
 その辺りのことは朦朧としていてあまり記憶にないけれど……。

 隣を見ると天馬はまだ眠っていて、その右腕は楓花の首の下に置かれている。先に眠ってしまった楓花に腕枕をしてくれたらしい。

 美形は寝顔も美しい。楓花は天馬の顔を覗き込むと、人差し指をそっと伸ばして触れてみた。
キリッとした男らしい眉毛にバシバシの長い睫毛。スッと筋が通った高い鼻梁びりょうをなぞって薄い唇に辿り着くと、輪郭をなぞってからフニフニと つついてみた。

 途端に形のいい唇がフッと緩み、眉と目が綺麗なアーチを描く。

「フッ……何やってんの?」
「あっ、タヌキ寝入り!」

「ちげーよ、楓花が俺で遊んでるから……」

 首に腕が回ってきてグイッと引き寄せられたと思うと、唇が強く押しつけられる。

「ん……ふっ……んんっ……」

 舌で口内をひと舐めし、最後にチュッと音をさせて離すと、グルンと楓花の上に乗って上から見下ろしてきた。

「俺の彼女は寝てる俺で遊ぶのが本当に好きだな。おちおち寝てもいられない」

「いやっ、決して遊んでたわけじゃ……ただ寝顔が綺麗だな…って……」

「ならもっと近くで見れば?」

 再び顔が近付いて、チュッチュとバードキスが降って来る。

「ちょっ、天に……天馬っ!」
「おっ、一晩叫び続けた成果が出たな……ちゃんと名前を呼べるようになった」

 ご褒美だ……ともう一度ねっとりしたキスをされて、体の芯が蕩けそうになった。

 恋人になった天馬はどこまでも甘くて優しい。意地悪な言葉を吐いて激しく攻め立てる時でさえ、その唇や指先全てで愛を伝えてくれている。

ーー幸せだな……

 天馬の胸に顔を埋めて甘々な空気に浸っていると、不意に天馬のスマホから着信音がした。
 楓花の肩を抱いたまま片手でスマホに手を伸ばした天馬が、画面を見るなり「茜からメールだ……」と呟いた。

「えっ、茜ちゃん?!」

 楓花もバッと顔を起こして、一緒に画面を覗き込む。


『大河が、『楓花は何処に行ったんだ!』、『あの2人はどうなってるんだ!』ってギャーギャーうるさいから、『あの2人は付き合ってる』って言ってやったわよ。『付き合ってる』でいいのよね?』

 茜からの文章を読んで、2人で顔を見合わせる。
 天馬が柔らかく微笑むと、素早く茜宛の文章を打ち込んだ。

『ああ、大正解だ。俺と楓花は付き合ってる』

「これでいい?」

 確認を求められ、楓花が「うん」と頷くと、それはそのまま送信される。

 だけどメールのやり取りはそれで終わらず、天馬が引き続き文章を打ち込み始める。

ーーえっ?

『……そうだな、今夜……仕事が終わってから挨拶に行く。大河にもそう伝えておいてくれ』

「ええっ?!」

 文章を送信し終えると、天馬は楓花を見つめてニカッと白い歯を見せた。

「……そういうことだ」
「そっ、そういうことって、どういうこと?!」

「お前が逃げられないように、外堀を埋めることにした。大河に俺たちのことを話す」

ーーええっ! お兄ちゃんに?!
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