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5 いばしょのありか
5-③
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「まったくもう……男兄弟がいる子はいつも取っ組み合いの喧嘩をすると思ってたの?」
伯母はまだ奏大を許していない口調だった。奏大は小さく応じる。
「ごめんなさい、思い込みでした」
「かなちゃんは王子様なのよ、そんな野蛮な遊び方はしないの」
奏人は奏大にしがみついたまま、自己嫌悪に涙が止まらなくなる。
「絵を見せて欲しかったんだ」
奏大に背中を撫でられながら、そんな声を聞いた。奏人のノートは隣のベッドに置かれていたらしく、伯母が近づいてきてそれを取り上げる気配がした。伯母にはたまにノートを見せているので、見られても構わなかった。
「まあ、これ……奏大くん……」
伯母は奏人が最後に開いていたページを見ているようだった。奏大に絶対に見られたくなかった、彼がフルートを奏でる後ろ姿。楽器を支える右手がどうしても上手く描けなくて、何度も消しゴムを当てているうち、紙が薄くなってしまい、途方に暮れていたのだった。
「ああ、まだ途中だからあなたに見せたくなかったのよ……そうよね、かなちゃん?」
伯母に訊かれて、奏人は奏大の胸に顔をくっつけたまま頷いた。
「奏人くん、ごめん……嬉しかったからもっと良く見せて欲しかったんだ、明日まで待てば良かったんだね、悪かった……」
奏大に抱きしめられたまま頭を撫でられ、奏人は何度もしゃくり上げた。伯母も背中を何度も撫でてくれた。
「びっくりしたのね、かなちゃんが悪いんじゃないわ」
伯母の言葉にほっとする反面、なら何故自分は幼稚園児みたいに泣いているのだろうと、奏人は恥ずかしくなる。
「でも奏大くんも悪気は無かったみたいだから、許してあげてね」
そんなことは分かっていた。自分が怖がり過ぎたのがいけなかった。奏大が意味も無く自分を傷つける訳がないのに。
伯母はまだ奏大を許していない口調だった。奏大は小さく応じる。
「ごめんなさい、思い込みでした」
「かなちゃんは王子様なのよ、そんな野蛮な遊び方はしないの」
奏人は奏大にしがみついたまま、自己嫌悪に涙が止まらなくなる。
「絵を見せて欲しかったんだ」
奏大に背中を撫でられながら、そんな声を聞いた。奏人のノートは隣のベッドに置かれていたらしく、伯母が近づいてきてそれを取り上げる気配がした。伯母にはたまにノートを見せているので、見られても構わなかった。
「まあ、これ……奏大くん……」
伯母は奏人が最後に開いていたページを見ているようだった。奏大に絶対に見られたくなかった、彼がフルートを奏でる後ろ姿。楽器を支える右手がどうしても上手く描けなくて、何度も消しゴムを当てているうち、紙が薄くなってしまい、途方に暮れていたのだった。
「ああ、まだ途中だからあなたに見せたくなかったのよ……そうよね、かなちゃん?」
伯母に訊かれて、奏人は奏大の胸に顔をくっつけたまま頷いた。
「奏人くん、ごめん……嬉しかったからもっと良く見せて欲しかったんだ、明日まで待てば良かったんだね、悪かった……」
奏大に抱きしめられたまま頭を撫でられ、奏人は何度もしゃくり上げた。伯母も背中を何度も撫でてくれた。
「びっくりしたのね、かなちゃんが悪いんじゃないわ」
伯母の言葉にほっとする反面、なら何故自分は幼稚園児みたいに泣いているのだろうと、奏人は恥ずかしくなる。
「でも奏大くんも悪気は無かったみたいだから、許してあげてね」
そんなことは分かっていた。自分が怖がり過ぎたのがいけなかった。奏大が意味も無く自分を傷つける訳がないのに。
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