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5 いばしょのありか
5-④
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伯母は奏人が少し落ち着くと、一度部屋を去り、しばらくしてからレモンの香りのする飲み物を持ってきてくれた。
「ちょっと暑くなっちゃうかしら、でもほっとするわよ……これを飲んだら二人とも寝なさいね」
奏人は奏大にティッシュで顔を拭われてから、もう一度伯母におやすみなさい、と挨拶した。明日の朝、ちゃんと謝ろうと思いながら。
マグカップの中身ははちみつレモンだった。窓を開けたままにして、少し部屋の中が冷え始めていたので、温かいそれが、ちょうど良かった。
「……ごめんなさい」
ベッドに並んで座り、奏人は目を合わせないまま奏大に謝った。彼はううん、と言った。
「僕が悪い、見ないでって言われたものを取り上げた上に、荒っぽいことをして怖がらせたんだから」
奏人は何と返せばいいのか分からなかった。確かに絵は見られたくなかったし、あんな風に身動きが取れなくなったのが怖かった。でももう少し、落ち着いて奏大に話せば良かったのだ。
「だめだ奏人くん、自分を責めてるね? きみに落ち度は何ひとつ無い、涼子さんもそう言う筈だ」
「……もう……僕と話したくなくなっちゃった……?」
奏大が言ってから、奏人は蚊の鳴くような声で訊いた。かなり勇気の要る問いかけだった。心臓の存在がやけに気になる。
「それはこっちの台詞だと思うんだけどなぁ」
奏大はそっと奏人の頭の上に手を置く。いつも優しいその手。
「僕は奏人くんが許してくれるなら、ずっと友達でいたいと思ってる」
「……ほんと?」
奏人はやっと奏大の顔を見ることができた。涼やかな目許に微笑が浮かんだ。
「うん、その……僕にはきょうだいもすごく親しい友達もいないから、人との距離の取り方があまり分からないんだ……奏人くんともっと仲良くなりたいのに、こんなまずいやり方でしか出来なくて」
「ちょっと暑くなっちゃうかしら、でもほっとするわよ……これを飲んだら二人とも寝なさいね」
奏人は奏大にティッシュで顔を拭われてから、もう一度伯母におやすみなさい、と挨拶した。明日の朝、ちゃんと謝ろうと思いながら。
マグカップの中身ははちみつレモンだった。窓を開けたままにして、少し部屋の中が冷え始めていたので、温かいそれが、ちょうど良かった。
「……ごめんなさい」
ベッドに並んで座り、奏人は目を合わせないまま奏大に謝った。彼はううん、と言った。
「僕が悪い、見ないでって言われたものを取り上げた上に、荒っぽいことをして怖がらせたんだから」
奏人は何と返せばいいのか分からなかった。確かに絵は見られたくなかったし、あんな風に身動きが取れなくなったのが怖かった。でももう少し、落ち着いて奏大に話せば良かったのだ。
「だめだ奏人くん、自分を責めてるね? きみに落ち度は何ひとつ無い、涼子さんもそう言う筈だ」
「……もう……僕と話したくなくなっちゃった……?」
奏大が言ってから、奏人は蚊の鳴くような声で訊いた。かなり勇気の要る問いかけだった。心臓の存在がやけに気になる。
「それはこっちの台詞だと思うんだけどなぁ」
奏大はそっと奏人の頭の上に手を置く。いつも優しいその手。
「僕は奏人くんが許してくれるなら、ずっと友達でいたいと思ってる」
「……ほんと?」
奏人はやっと奏大の顔を見ることができた。涼やかな目許に微笑が浮かんだ。
「うん、その……僕にはきょうだいもすごく親しい友達もいないから、人との距離の取り方があまり分からないんだ……奏人くんともっと仲良くなりたいのに、こんなまずいやり方でしか出来なくて」
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