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夏休み
四日目夜!
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遥は悩んでいた。元々、花火大会は3人でいこうと思っていたイベントである。約束はしていなかったが、なんとなく日付が近くなったら、集合場所と時間を決めて花火大会で屋台を回った後、上る人が少ないので穴場になっている山を頑張って登って花火を見る。そうなると思っていたが、無事に地球に帰るためにどちらかを選ばなければならない。
感覚的にそろそろ焚火を消さなければいけない時間になるとわかっているのだが、遥はなんとなく眠れそうにないので薪を火の中へ入れてしまう。
「まだ、寝ないのか? さすがにホームシックにでもなったか」
「まぁ、似たような感じ」
お風呂に入ったばかりでほんのりと体全体が湿っている仁が遥の隣へと座る。順は風呂の最後の片づけをしているらしい。すっかり順は番頭さんである。
仁は遥の返事が意外だったのか驚きの表情を遥に向ける。
「ま、まぁ、きっともうすぐ帰れるだろう。1日のどこかで必ず連絡を入れる約束を何度も破っているわけだし、探してくれてるはずだ」
「あー……めちゃくちゃ怒ってるだろうな。それ思うと帰りたくなくなってくるな」
その辺りはドドが何とかしてくれている……遥はそう信じるしかなかった。そう信じながら、目の前に仁がいるのでなんとなく、仁と2人で花火大会を行く姿を妄想してしまう。仁の事だから効率よく2人が好きな屋台をめぐるルートを作って、その後に山に登る計画を立ててくれそうだ。
「その時は全員一緒に怒られることになるからな……腹をくくろう」
「優等生の仁が怒られてるシーンなんてなかなか見られなさそうだな。少し楽しみが出来たかも」
「自分で言うのもなんだが、とってもレアなシーンだと思うぞ」
軽い冗談で軽く笑い合う。しかし、場に流れる雰囲気は簡単には変わらず、すぐに静かに戻ってしまう。
「僕は先に横にならせてもらうよ……愚痴を話したければいつでもたたき起こしてくれていいからな」
「ありがとう。おやすみ」
仁は遥を心配そうな視線を送りながら、ログハウスへと戻っていく。仁がログハウスにもどって少しすると入れ替わるように順がやってくる。体の所々が濡れているのはドラムカンの中のお湯を捨てる時に失敗してしまったからだろう。
「お、まだ火が残ってて助かったぜ……あれ? 仁は? もう寝た?」
「あぁ、もう寝たよ」
「さすが良い子ちゃんだよなぁ……オレはまだまだ眠たくないぜ。ふあ……ねむ」
「一瞬で矛盾した気がするんだけど?」
遥が大あくびをする順に突っ込みを入れる。
もしも、順と花火大会を回るなら計画性なんて皆無で気になった屋台に突撃を繰り返し、めぼしいものが手に入ったら山に向かうという花火大会になるのだろうか。順がいれば途中で不良に絡まれても怖くない。
「……仁となんかあった?」
「いや、何もないけど?」
「そっか……遥がなんか元気ないように見えたからよ」
「ホームシックみたいなもんだよ」
「そんなもんか」
ホームシックという言葉に順は納得したような、納得していないような顔をしつつ、何を話すわけでもなく順は満天の星を見て、遥は焚火の火を見ていた。特に何を話すわけでもなくぼーっとしてすごす。
たまたま、遥は選ぶ立場にいるが……自分が選ばれる立場だったら、だれが自分を選んでくれるのだろう? 仁や順には選ばれるだけの魅力がある気がする。そんな魅力は自分にはない。そんな気がしてならない。
そんな自分だからこそなんとなく……どちらかを選ばなければいけないという状態はとても居心地が悪く……眠気がくるまでかなりの時間がかかってしまった。
感覚的にそろそろ焚火を消さなければいけない時間になるとわかっているのだが、遥はなんとなく眠れそうにないので薪を火の中へ入れてしまう。
「まだ、寝ないのか? さすがにホームシックにでもなったか」
「まぁ、似たような感じ」
お風呂に入ったばかりでほんのりと体全体が湿っている仁が遥の隣へと座る。順は風呂の最後の片づけをしているらしい。すっかり順は番頭さんである。
仁は遥の返事が意外だったのか驚きの表情を遥に向ける。
「ま、まぁ、きっともうすぐ帰れるだろう。1日のどこかで必ず連絡を入れる約束を何度も破っているわけだし、探してくれてるはずだ」
「あー……めちゃくちゃ怒ってるだろうな。それ思うと帰りたくなくなってくるな」
その辺りはドドが何とかしてくれている……遥はそう信じるしかなかった。そう信じながら、目の前に仁がいるのでなんとなく、仁と2人で花火大会を行く姿を妄想してしまう。仁の事だから効率よく2人が好きな屋台をめぐるルートを作って、その後に山に登る計画を立ててくれそうだ。
「その時は全員一緒に怒られることになるからな……腹をくくろう」
「優等生の仁が怒られてるシーンなんてなかなか見られなさそうだな。少し楽しみが出来たかも」
「自分で言うのもなんだが、とってもレアなシーンだと思うぞ」
軽い冗談で軽く笑い合う。しかし、場に流れる雰囲気は簡単には変わらず、すぐに静かに戻ってしまう。
「僕は先に横にならせてもらうよ……愚痴を話したければいつでもたたき起こしてくれていいからな」
「ありがとう。おやすみ」
仁は遥を心配そうな視線を送りながら、ログハウスへと戻っていく。仁がログハウスにもどって少しすると入れ替わるように順がやってくる。体の所々が濡れているのはドラムカンの中のお湯を捨てる時に失敗してしまったからだろう。
「お、まだ火が残ってて助かったぜ……あれ? 仁は? もう寝た?」
「あぁ、もう寝たよ」
「さすが良い子ちゃんだよなぁ……オレはまだまだ眠たくないぜ。ふあ……ねむ」
「一瞬で矛盾した気がするんだけど?」
遥が大あくびをする順に突っ込みを入れる。
もしも、順と花火大会を回るなら計画性なんて皆無で気になった屋台に突撃を繰り返し、めぼしいものが手に入ったら山に向かうという花火大会になるのだろうか。順がいれば途中で不良に絡まれても怖くない。
「……仁となんかあった?」
「いや、何もないけど?」
「そっか……遥がなんか元気ないように見えたからよ」
「ホームシックみたいなもんだよ」
「そんなもんか」
ホームシックという言葉に順は納得したような、納得していないような顔をしつつ、何を話すわけでもなく順は満天の星を見て、遥は焚火の火を見ていた。特に何を話すわけでもなくぼーっとしてすごす。
たまたま、遥は選ぶ立場にいるが……自分が選ばれる立場だったら、だれが自分を選んでくれるのだろう? 仁や順には選ばれるだけの魅力がある気がする。そんな魅力は自分にはない。そんな気がしてならない。
そんな自分だからこそなんとなく……どちらかを選ばなければいけないという状態はとても居心地が悪く……眠気がくるまでかなりの時間がかかってしまった。
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