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一学期
とある土曜日
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4月20日。生徒会の選挙も落ち着き、遥もはれて生徒会の一員となり少しすぎた頃。土曜日という休日にも関わらず、遥は朝の8時という朝っぱらからドドによって家を追い出されていた。
『よくよく考えたら、ゴールデンウィークなんて恋愛イベントを起こしたら楽しそうな日が近いじゃないですか。なので、その時はこちらで色々準備するので……今日は早めの4月分のご褒美を渡すことにしました! どんどんぱふぱふー! という訳で、遥様は好きなようにぶらついて来てもらえれば何とかなるようになっていますのでどうぞどうぞ! ボクに協力するとどうなるかというのを身をもって経験すれば更にさらに協力に身が入ると思いますよ!』
なんて言われたが、遥はどうしていいかわからずとりあえずぶらぶらと歩いていた。一応、財布とスマホだけは持って出ることが出来たので、何とかすれば暇つぶしぐらいは出来るかもしれない。
何も考えず、歩いていると急に背後から声をかけられる。
「遥じゃないか。珍しいな朝早くから」
「仁か、ちょっと色々あってね。仁はどうしたんだ?」
「僕は、勉強の前に軽く散歩をすることに決めているんだ」
「……土曜だぞ?」
「土曜だな?」
仁は休日でも当たり前のように勉強をする。今日はゆっくりまったりゲームでもしようと思っていた遥とは大違いである。
2人はそのまま一緒に歩き始める。宿題があったかどうか、昨日のテレビがどうだった、面白い動画があった、面白いブイチューバーがいたなどなど取り留めのない話をする。仁の散歩コースが尽く工事中で全面通行止めになっていること以外は普通の散歩である。
「おっ! 遥と仁! いい所に!」
「順? どうしたそんな大荷物で」
「聞いて驚け! 犬と婆さんがこうなったんだぜ!」
「……さっぱり分からなさすぎて驚きを禁じ得ない」
なにかに誘われるように遥と仁が歩いているとみっちみちに膨らんだビニール袋数個を持って歩いている順に出くわした。手に持っている荷物は順の言葉をそのまま鵜呑みにするのであれば、犬とお婆さんの成れの果てらしい。
「リードを付けた犬が走り回っててよ。よく見たら近所の飼い犬だったから追いかけたんだよ。捕まえたはいいんだけど、見覚えのない場所でよ……重そうな荷物を持った婆さんがいたから、荷物を持つ代わりに道を教えてもらおうと思って、荷物もって家に送ったらこれ、んで、道がわかったから帰って犬届けてこれだぜ」
「何やってんだ。いや、人助けできるのはすごいけどさ」
「だろ!!!」
「………………」
「どうした? 仁? 重いなら中身減らすか?」
順の話を聞きながら全員で手分けして順の荷物を持ち、散歩を再開する。
順の持っているのが一番重い野菜とジュース類の入った袋。遥が持っているのが果物類が入った袋。仁が持っているのはスナック菓子が入った袋である。
話をしながら仁が眉間に皺を寄せていた。
「いや、重さは大丈夫なんだが……なんか、前にもこんなこと無かったか?」
「こんなこと?」
「順がものすごい量のお菓子を持って歩いてるのが、なんだか既視感があってな……」
「あぁ、あれだろ? 小学生の頃、迷子の猫を近所に届けたあとにお前らにあってるぜ」
「あー! 全身引っかき傷だらけだったのにすごいニコニコ笑顔の順、覚えてるわ」
「そうだ、それか」
偶然にも似た状況になり、昔を懐かしく思いながら思い出話に花が咲く。1つ思い出すと芋づる式にずるずると沢山の思い出が出てくる。
しかし、3人ともが同時に何か違和感を覚えていた。なにかデカい『芋』を忘れている気がするのだ。
「合流したあと、何かしなかったか?」
「えっと、確か順が面白いところを見つけたとか言って?」
「あぁ、そこにお前らを案内して……」
「「「ひみつきちだ!!」」」
3人が同時に大きな芋を掘り当て、同時に顔を見合わせる。記憶を頼りに3人は急いで懐かしいひみつきちへと急いでいった。
『よくよく考えたら、ゴールデンウィークなんて恋愛イベントを起こしたら楽しそうな日が近いじゃないですか。なので、その時はこちらで色々準備するので……今日は早めの4月分のご褒美を渡すことにしました! どんどんぱふぱふー! という訳で、遥様は好きなようにぶらついて来てもらえれば何とかなるようになっていますのでどうぞどうぞ! ボクに協力するとどうなるかというのを身をもって経験すれば更にさらに協力に身が入ると思いますよ!』
なんて言われたが、遥はどうしていいかわからずとりあえずぶらぶらと歩いていた。一応、財布とスマホだけは持って出ることが出来たので、何とかすれば暇つぶしぐらいは出来るかもしれない。
何も考えず、歩いていると急に背後から声をかけられる。
「遥じゃないか。珍しいな朝早くから」
「仁か、ちょっと色々あってね。仁はどうしたんだ?」
「僕は、勉強の前に軽く散歩をすることに決めているんだ」
「……土曜だぞ?」
「土曜だな?」
仁は休日でも当たり前のように勉強をする。今日はゆっくりまったりゲームでもしようと思っていた遥とは大違いである。
2人はそのまま一緒に歩き始める。宿題があったかどうか、昨日のテレビがどうだった、面白い動画があった、面白いブイチューバーがいたなどなど取り留めのない話をする。仁の散歩コースが尽く工事中で全面通行止めになっていること以外は普通の散歩である。
「おっ! 遥と仁! いい所に!」
「順? どうしたそんな大荷物で」
「聞いて驚け! 犬と婆さんがこうなったんだぜ!」
「……さっぱり分からなさすぎて驚きを禁じ得ない」
なにかに誘われるように遥と仁が歩いているとみっちみちに膨らんだビニール袋数個を持って歩いている順に出くわした。手に持っている荷物は順の言葉をそのまま鵜呑みにするのであれば、犬とお婆さんの成れの果てらしい。
「リードを付けた犬が走り回っててよ。よく見たら近所の飼い犬だったから追いかけたんだよ。捕まえたはいいんだけど、見覚えのない場所でよ……重そうな荷物を持った婆さんがいたから、荷物を持つ代わりに道を教えてもらおうと思って、荷物もって家に送ったらこれ、んで、道がわかったから帰って犬届けてこれだぜ」
「何やってんだ。いや、人助けできるのはすごいけどさ」
「だろ!!!」
「………………」
「どうした? 仁? 重いなら中身減らすか?」
順の話を聞きながら全員で手分けして順の荷物を持ち、散歩を再開する。
順の持っているのが一番重い野菜とジュース類の入った袋。遥が持っているのが果物類が入った袋。仁が持っているのはスナック菓子が入った袋である。
話をしながら仁が眉間に皺を寄せていた。
「いや、重さは大丈夫なんだが……なんか、前にもこんなこと無かったか?」
「こんなこと?」
「順がものすごい量のお菓子を持って歩いてるのが、なんだか既視感があってな……」
「あぁ、あれだろ? 小学生の頃、迷子の猫を近所に届けたあとにお前らにあってるぜ」
「あー! 全身引っかき傷だらけだったのにすごいニコニコ笑顔の順、覚えてるわ」
「そうだ、それか」
偶然にも似た状況になり、昔を懐かしく思いながら思い出話に花が咲く。1つ思い出すと芋づる式にずるずると沢山の思い出が出てくる。
しかし、3人ともが同時に何か違和感を覚えていた。なにかデカい『芋』を忘れている気がするのだ。
「合流したあと、何かしなかったか?」
「えっと、確か順が面白いところを見つけたとか言って?」
「あぁ、そこにお前らを案内して……」
「「「ひみつきちだ!!」」」
3人が同時に大きな芋を掘り当て、同時に顔を見合わせる。記憶を頼りに3人は急いで懐かしいひみつきちへと急いでいった。
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