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2品目:憂いの若鶏から揚げ(480円)
(2-3)から揚げってそういうとこあるよね
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僕の通う中学は給食制ではなく、各自弁当を持参していた。あるいは毎日パン屋の移動販売車が来ていたので、車の前にはいつも人だかりができていた。彼らはそのまま教室に戻らず、ベンチやグラウンドの階段で食事にありつく。中には部室に電気ケトルを持ってきて、カップラーメンを作る者もいたそうだ。
僕はといえば、人目につくのを避けるため昼休みと同時に裏門からこっそり抜け出し、近くの個人営業の弁当屋に行くのが日課となっていた。両親は共働きなので、朝の支度の手間が省けると、喜んで昼食代を渡してくれた。
選ぶのは決まってから揚げ弁当。たまには回鍋肉や生姜焼きを選んでみようと思っても、結局同じものに帰結してしまう。
から揚げってそういうとこあるよね。
店内にはイートインがあるためそこで食事をとり、午後の授業の予鈴と同時に再び裏門から学校に戻る。
食事スペースは脚がグラグラのテーブルに錆びついたパイプ椅子がふたつだけ。レジの奥に設置してあるからか、いつも空席だ。おかげで僕はゆっくりと昼休みを過ごせるわけだけれど。
校則で買い食いは禁止されており、弁当屋もそのルールは知っているはずだが、僕がはみ出し者と感づいているからか、学校に通報することもなく自由にさせてくれていた。入学当初から通っているので、一年以上の付き合いになる。
「あれ、行真くん?」
そんな馴染みの店で、ある日望海先生とばったり出くわしてしまったのだ。
イートインは、レジからは見えない位置にある。つまりこの人も中で食事をとるつもりだったということだ。
「ここ、いいかな?」
返事をする前に、向かいの椅子に腰を下ろす。校則違反を咎めてくる気配はない。望海先生がプラスチックの蓋を開けると、醤油の香ばしいにおいがした。
から揚げ弁当。僕と一緒のメニューだ。
「それじゃあ手を合わせてー、いただきます!」
「い、いただきます」
教育実習生と相席という不可思議な状況に戸惑いつつ、から揚げにかぶりつく。
サクサクの衣に閉じ込められた、鶏肉の旨みがじゅわっと口の中に広がる。醤油と生姜の風味が食欲をかき立て、胃袋が白米を要求する。慌ててライスをかっ込むと、口内が充実感で満ちていく。
うまい。
から揚げってどうして飽きないんだろう。
視線を感じて顔を上げると、望海先生が僕を凝視していた。
「行真くんって、おいしそうに食べるねぇ」
「そ、それはどうも」
二つの大きな瞳が僕を捉えていた。
授業も含めて一度も喋ったことがないのに、名前を覚えてくれていることが驚きだった。さすがは教育者志望。陰日向の生徒にも目を向けている。
「私もお腹空いちゃった。早く食べよっと」
望海先生は割りばしを握るより先に、使いきりタイプのタルタルソースを二つ重ね、同時に開封した。そしてから揚げに勢いよくウェーブを描く。即席のチキン南蛮だ。
真っ白な帽子を被った肉塊を一口でイン。
もっきゅもっきゅと頬を膨らませて咀嚼する姿はただの幸せそうな女子大生で、ついつい見惚れてしまう。ポニーテールも喜ぶように、左右に小気味よく揺れている。
「先生もいつも、ここでお昼買ってるんですか?」
「ふらんはへるふいえんおうらんらえお、いえにわふれへひひゃっへ」
「すいません、飲み込んでからで大丈夫です」
ごくん、と嚥下して、備え付けのティッシュで口元を拭う。桜色の唇には、かすかに油がついていた。
「学校から抜け出すのが見えたから、ついてきたのよ」
「手作り弁当を家に忘れたからじゃないんですか」
「もう、聞こえてるじゃない!」
顔を真っ赤にして恥ずかしがる様子は可愛らしい。
「どっちも本当の理由よ。キミ、毎日ここに来てるんでしょ?」
「……知ってたんですね」
「他の先生たちも知ってるわよ。キミが学校生活を窮屈そうに感じていることも。いじめられているようには見えないけれど、何かわけがあるの?」
正直に言うべきだろうか。
教室の窓に落ち武者が張り付いていて落ち着かないとか、移動販売車の助手席に店員の不倫相手の生霊がいて神経が擦り減るとか、包み隠さず全部。
僕の沈黙に対し、大人に言いにくい理由があるからと判断したのか、望海先生は重々しく口を開いた。
「……私もね、昔は学校が大嫌いだったんだ。クラスに溶け込めなくて、いじめ……とまではいかなくても、しつこくからかわれたこともあった」
「先生が?」
生徒から人気があって、作成するプリントの内容がわかりやすいと先生からも評判だという望海先生が、好かれていない時期があったなど想像もつかない。
「私自身も表面上は平気そうに振る舞ってたから、傷ついてるなんて誰も思わなかったんだろうけどね。まさか自分の意志で学校に戻ってくるなんて、考えてもみなかったなー」
思い出を語る望海先生の表情は、どことなく中学生のようにあどけない。
「何かきっかけがあったんですか?」
「中学の卒業式の日、担任の先生が最後にクラスのみんなにこう言ったの」
『キミたちはこれからの人生で、苦しいことや理不尽なことに嫌というほど遭遇するでしょう。理由もなく嫌われたり、勝手に失望されたりすることもあるかもしれません。ですが目の前に嫌なことが立ちふさがった時、選択肢は戦うか逃げるかだけじゃない。共存する道もあることを覚えておきなさい』
「共存……」
中学生への説法としては聞きなれない単語だ。
「嫌なことを完全に打ちのめそうとか、蓋をしてしまおうとかはもちろん間違いじゃないんだけど、世の中にはどうしても白黒つけられないものも確かにあるのよ。そういう場合はね、好きか嫌いかは置いておいて、まずは認めてあげるの。ちゃんと向き合うの。そうすれば相手のことがよく見えて、自分がどうすればいいのかもわかるから」
逃げるな。諦めるな。立ち向かえ。
漫画やアニメ、特撮もので飽きるほど聞かされたセリフだ。
逃げることは悪いこと、諦めるのはいけないこと、立ち向かわないやつは臆病者だと、大人や社会からは教えられてきた。だが、彼らの教えは唯一の正解ではなかったのだ。
「……なんか、目からウロコです」
「でしょ?」
「鼻頭にタルタルソースをつけたままじゃなければ、もっと感動できたんですが」
「えっ、うそっ、早く言ってよ!」
「嘘です」
「もう!」
僕は中学生になってから、初めて学校で笑った。ここは弁当屋で校内ではないけれど、先生と生徒がいれば、どこでも学び舎になるという。望海先生も僕を見て、くすくすと笑みをこぼした。
その日から僕たちはお昼ごはんを一緒に食べるようになった。二週間ほどの短い期間だったが、僕は生まれて初めて学校に行くのが楽しみになった。
教育実習最終日に、連絡先を交換した。
「将来は先生と同じ道に進むことにしました。だからその……アドバイスとかが欲しくて」
確かに教師を目指すつもりではいたが、本当の理由は望海先生とのつながりを断ちたくなかったからだ。この時には既に、彼女のことが異性として好きだった。初恋だった。
それから少しずつ、自分からクラスメートに話しかけるようになった。高校に進学してからは、友達もできた。
幽霊の方は相変わらず距離をつかみあぐねていたが、絡まれることは少なくなっていった。年齢を重ねたからか、内面に変化があったからなのかは知らない。だが昔のように無条件に怖がることはなくなった。
人生のターニングポイントを尋ねられたら、僕は間違いなくこのエピソードを答えるだろう。
僕はといえば、人目につくのを避けるため昼休みと同時に裏門からこっそり抜け出し、近くの個人営業の弁当屋に行くのが日課となっていた。両親は共働きなので、朝の支度の手間が省けると、喜んで昼食代を渡してくれた。
選ぶのは決まってから揚げ弁当。たまには回鍋肉や生姜焼きを選んでみようと思っても、結局同じものに帰結してしまう。
から揚げってそういうとこあるよね。
店内にはイートインがあるためそこで食事をとり、午後の授業の予鈴と同時に再び裏門から学校に戻る。
食事スペースは脚がグラグラのテーブルに錆びついたパイプ椅子がふたつだけ。レジの奥に設置してあるからか、いつも空席だ。おかげで僕はゆっくりと昼休みを過ごせるわけだけれど。
校則で買い食いは禁止されており、弁当屋もそのルールは知っているはずだが、僕がはみ出し者と感づいているからか、学校に通報することもなく自由にさせてくれていた。入学当初から通っているので、一年以上の付き合いになる。
「あれ、行真くん?」
そんな馴染みの店で、ある日望海先生とばったり出くわしてしまったのだ。
イートインは、レジからは見えない位置にある。つまりこの人も中で食事をとるつもりだったということだ。
「ここ、いいかな?」
返事をする前に、向かいの椅子に腰を下ろす。校則違反を咎めてくる気配はない。望海先生がプラスチックの蓋を開けると、醤油の香ばしいにおいがした。
から揚げ弁当。僕と一緒のメニューだ。
「それじゃあ手を合わせてー、いただきます!」
「い、いただきます」
教育実習生と相席という不可思議な状況に戸惑いつつ、から揚げにかぶりつく。
サクサクの衣に閉じ込められた、鶏肉の旨みがじゅわっと口の中に広がる。醤油と生姜の風味が食欲をかき立て、胃袋が白米を要求する。慌ててライスをかっ込むと、口内が充実感で満ちていく。
うまい。
から揚げってどうして飽きないんだろう。
視線を感じて顔を上げると、望海先生が僕を凝視していた。
「行真くんって、おいしそうに食べるねぇ」
「そ、それはどうも」
二つの大きな瞳が僕を捉えていた。
授業も含めて一度も喋ったことがないのに、名前を覚えてくれていることが驚きだった。さすがは教育者志望。陰日向の生徒にも目を向けている。
「私もお腹空いちゃった。早く食べよっと」
望海先生は割りばしを握るより先に、使いきりタイプのタルタルソースを二つ重ね、同時に開封した。そしてから揚げに勢いよくウェーブを描く。即席のチキン南蛮だ。
真っ白な帽子を被った肉塊を一口でイン。
もっきゅもっきゅと頬を膨らませて咀嚼する姿はただの幸せそうな女子大生で、ついつい見惚れてしまう。ポニーテールも喜ぶように、左右に小気味よく揺れている。
「先生もいつも、ここでお昼買ってるんですか?」
「ふらんはへるふいえんおうらんらえお、いえにわふれへひひゃっへ」
「すいません、飲み込んでからで大丈夫です」
ごくん、と嚥下して、備え付けのティッシュで口元を拭う。桜色の唇には、かすかに油がついていた。
「学校から抜け出すのが見えたから、ついてきたのよ」
「手作り弁当を家に忘れたからじゃないんですか」
「もう、聞こえてるじゃない!」
顔を真っ赤にして恥ずかしがる様子は可愛らしい。
「どっちも本当の理由よ。キミ、毎日ここに来てるんでしょ?」
「……知ってたんですね」
「他の先生たちも知ってるわよ。キミが学校生活を窮屈そうに感じていることも。いじめられているようには見えないけれど、何かわけがあるの?」
正直に言うべきだろうか。
教室の窓に落ち武者が張り付いていて落ち着かないとか、移動販売車の助手席に店員の不倫相手の生霊がいて神経が擦り減るとか、包み隠さず全部。
僕の沈黙に対し、大人に言いにくい理由があるからと判断したのか、望海先生は重々しく口を開いた。
「……私もね、昔は学校が大嫌いだったんだ。クラスに溶け込めなくて、いじめ……とまではいかなくても、しつこくからかわれたこともあった」
「先生が?」
生徒から人気があって、作成するプリントの内容がわかりやすいと先生からも評判だという望海先生が、好かれていない時期があったなど想像もつかない。
「私自身も表面上は平気そうに振る舞ってたから、傷ついてるなんて誰も思わなかったんだろうけどね。まさか自分の意志で学校に戻ってくるなんて、考えてもみなかったなー」
思い出を語る望海先生の表情は、どことなく中学生のようにあどけない。
「何かきっかけがあったんですか?」
「中学の卒業式の日、担任の先生が最後にクラスのみんなにこう言ったの」
『キミたちはこれからの人生で、苦しいことや理不尽なことに嫌というほど遭遇するでしょう。理由もなく嫌われたり、勝手に失望されたりすることもあるかもしれません。ですが目の前に嫌なことが立ちふさがった時、選択肢は戦うか逃げるかだけじゃない。共存する道もあることを覚えておきなさい』
「共存……」
中学生への説法としては聞きなれない単語だ。
「嫌なことを完全に打ちのめそうとか、蓋をしてしまおうとかはもちろん間違いじゃないんだけど、世の中にはどうしても白黒つけられないものも確かにあるのよ。そういう場合はね、好きか嫌いかは置いておいて、まずは認めてあげるの。ちゃんと向き合うの。そうすれば相手のことがよく見えて、自分がどうすればいいのかもわかるから」
逃げるな。諦めるな。立ち向かえ。
漫画やアニメ、特撮もので飽きるほど聞かされたセリフだ。
逃げることは悪いこと、諦めるのはいけないこと、立ち向かわないやつは臆病者だと、大人や社会からは教えられてきた。だが、彼らの教えは唯一の正解ではなかったのだ。
「……なんか、目からウロコです」
「でしょ?」
「鼻頭にタルタルソースをつけたままじゃなければ、もっと感動できたんですが」
「えっ、うそっ、早く言ってよ!」
「嘘です」
「もう!」
僕は中学生になってから、初めて学校で笑った。ここは弁当屋で校内ではないけれど、先生と生徒がいれば、どこでも学び舎になるという。望海先生も僕を見て、くすくすと笑みをこぼした。
その日から僕たちはお昼ごはんを一緒に食べるようになった。二週間ほどの短い期間だったが、僕は生まれて初めて学校に行くのが楽しみになった。
教育実習最終日に、連絡先を交換した。
「将来は先生と同じ道に進むことにしました。だからその……アドバイスとかが欲しくて」
確かに教師を目指すつもりではいたが、本当の理由は望海先生とのつながりを断ちたくなかったからだ。この時には既に、彼女のことが異性として好きだった。初恋だった。
それから少しずつ、自分からクラスメートに話しかけるようになった。高校に進学してからは、友達もできた。
幽霊の方は相変わらず距離をつかみあぐねていたが、絡まれることは少なくなっていった。年齢を重ねたからか、内面に変化があったからなのかは知らない。だが昔のように無条件に怖がることはなくなった。
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