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53話 不器用な相棒
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腫れた顔を回復魔法で治癒し、エドウィンは馬車でハローを待った。
オクトには酷く嫌われてしまったな。でもこれでいい、僕が嫌われる分には。
「オクト様は本当に、約束を守っていただけるのでしょうか」
「守るさ、オクトはハローに対してだけは割り切れない。ハローへ直接手紙を出さない理由を教えようか? 恥ずかしくて僕を介さないと渡せないんだってさ。それくらいハローが大好きなんだよ」
「乙女な方なのですね」
「相当な。だからハローに嫌われないよう、ナルガを見逃すしかないのさ」
それにエドウィンとの縁は切れないだろう。彼はハローにとって大切な人だから排除できない。故に嫌われても、オクトとの関係を継続できるわけだ。
そこまで見越しての策を立てる自分に、嫌悪感を抱いてしまう。
「見ての通り、僕は物凄く性格が悪い。これでもまだ、僕を慕う気でいるのかい?」
「はい。エドウィン様が私を利用しているのは、とうに気づいています。でも、それでも構いません。私はオクト様と同じ人種です、好きな人の役に立てるなら、どんな形でも繋がりを持っていたい……そう考えてしまうんです」
「あのねぇ、僕だけは絶対にやめた方がいいと思うぞ。僕のどこがいいんだ?」
「お友達のために、己を犠牲にする所です。自分の身を削りすぎていて、放っておけないんです。理由として、いかがですか」
「馬鹿らしいな、てか馬鹿だ。いずれ君が不幸になるぞ」
「覚悟の上で、どこまでもお供しますよ」
エドウィンはため息を吐いた。おしとやかに見えて、ミネバは頭が狂っている。
世界なんてそんな物だ。全員が何かに狂っていて、成立しているのが不可思議なほど歪んでいる。エドウィンはその歪みを利用するのが上手いだけ。
と、ハローとナルガが戻ってきた。
「やぁエド、お待たせ。オクトは?」
「帰ったよ。お前達によろしくだとさ」
「そっか。彼女にお礼を言うの、忘れちゃったな」
幸か不幸か、ハローとナルガは、オクトの嘘に気付いていない。こいつらが知る必要はない、全部黙っておくべきだ。
……そうさ、僕だって狂っている。
親友だからこそ、ハローをこれ以上汚したくない。ハローが受ける歪みは全部、僕が引き受ければいい。憎悪も何もかも、僕だけが飲み込めば丸く収まるんだ。
エドウィンはハローと肩を組み、ぐいと馬車に引っ張った。
「僕らも帰るぞ。日が暮れたら村に戻れなくなるからな」
「いてて、首絞めないでくれよ。苦しいって」
「うるせっ、お前なんざこうしてやる」
ぐりぐりとハローの頭に拳を押し付け、エドウィンは笑った。自分の胸中を隠すように。
オクトには酷く嫌われてしまったな。でもこれでいい、僕が嫌われる分には。
「オクト様は本当に、約束を守っていただけるのでしょうか」
「守るさ、オクトはハローに対してだけは割り切れない。ハローへ直接手紙を出さない理由を教えようか? 恥ずかしくて僕を介さないと渡せないんだってさ。それくらいハローが大好きなんだよ」
「乙女な方なのですね」
「相当な。だからハローに嫌われないよう、ナルガを見逃すしかないのさ」
それにエドウィンとの縁は切れないだろう。彼はハローにとって大切な人だから排除できない。故に嫌われても、オクトとの関係を継続できるわけだ。
そこまで見越しての策を立てる自分に、嫌悪感を抱いてしまう。
「見ての通り、僕は物凄く性格が悪い。これでもまだ、僕を慕う気でいるのかい?」
「はい。エドウィン様が私を利用しているのは、とうに気づいています。でも、それでも構いません。私はオクト様と同じ人種です、好きな人の役に立てるなら、どんな形でも繋がりを持っていたい……そう考えてしまうんです」
「あのねぇ、僕だけは絶対にやめた方がいいと思うぞ。僕のどこがいいんだ?」
「お友達のために、己を犠牲にする所です。自分の身を削りすぎていて、放っておけないんです。理由として、いかがですか」
「馬鹿らしいな、てか馬鹿だ。いずれ君が不幸になるぞ」
「覚悟の上で、どこまでもお供しますよ」
エドウィンはため息を吐いた。おしとやかに見えて、ミネバは頭が狂っている。
世界なんてそんな物だ。全員が何かに狂っていて、成立しているのが不可思議なほど歪んでいる。エドウィンはその歪みを利用するのが上手いだけ。
と、ハローとナルガが戻ってきた。
「やぁエド、お待たせ。オクトは?」
「帰ったよ。お前達によろしくだとさ」
「そっか。彼女にお礼を言うの、忘れちゃったな」
幸か不幸か、ハローとナルガは、オクトの嘘に気付いていない。こいつらが知る必要はない、全部黙っておくべきだ。
……そうさ、僕だって狂っている。
親友だからこそ、ハローをこれ以上汚したくない。ハローが受ける歪みは全部、僕が引き受ければいい。憎悪も何もかも、僕だけが飲み込めば丸く収まるんだ。
エドウィンはハローと肩を組み、ぐいと馬車に引っ張った。
「僕らも帰るぞ。日が暮れたら村に戻れなくなるからな」
「いてて、首絞めないでくれよ。苦しいって」
「うるせっ、お前なんざこうしてやる」
ぐりぐりとハローの頭に拳を押し付け、エドウィンは笑った。自分の胸中を隠すように。
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