アラサーでクビになった魔王四天王ですが勇者に「結婚しよ」と告白され、溺愛されてるので今は幸せです

歩く、歩く。

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53話 不器用な相棒

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 腫れた顔を回復魔法で治癒し、エドウィンは馬車でハローを待った。

 オクトには酷く嫌われてしまったな。でもこれでいい、僕が嫌われる分には。



「オクト様は本当に、約束を守っていただけるのでしょうか」

「守るさ、オクトはハローに対してだけは割り切れない。ハローへ直接手紙を出さない理由を教えようか? 恥ずかしくて僕を介さないと渡せないんだってさ。それくらいハローが大好きなんだよ」

「乙女な方なのですね」

「相当な。だからハローに嫌われないよう、ナルガを見逃すしかないのさ」



 それにエドウィンとの縁は切れないだろう。彼はハローにとって大切な人だから排除できない。故に嫌われても、オクトとの関係を継続できるわけだ。

 そこまで見越しての策を立てる自分に、嫌悪感を抱いてしまう。



「見ての通り、僕は物凄く性格が悪い。これでもまだ、僕を慕う気でいるのかい?」

「はい。エドウィン様が私を利用しているのは、とうに気づいています。でも、それでも構いません。私はオクト様と同じ人種です、好きな人の役に立てるなら、どんな形でも繋がりを持っていたい……そう考えてしまうんです」



「あのねぇ、僕だけは絶対にやめた方がいいと思うぞ。僕のどこがいいんだ?」

「お友達のために、己を犠牲にする所です。自分の身を削りすぎていて、放っておけないんです。理由として、いかがですか」



「馬鹿らしいな、てか馬鹿だ。いずれ君が不幸になるぞ」

「覚悟の上で、どこまでもお供しますよ」



 エドウィンはため息を吐いた。おしとやかに見えて、ミネバは頭が狂っている。

 世界なんてそんな物だ。全員が何かに狂っていて、成立しているのが不可思議なほど歪んでいる。エドウィンはその歪みを利用するのが上手いだけ。

 と、ハローとナルガが戻ってきた。



「やぁエド、お待たせ。オクトは?」

「帰ったよ。お前達によろしくだとさ」

「そっか。彼女にお礼を言うの、忘れちゃったな」



 幸か不幸か、ハローとナルガは、オクトの嘘に気付いていない。こいつらが知る必要はない、全部黙っておくべきだ。



 ……そうさ、僕だって狂っている。



 親友だからこそ、ハローをこれ以上汚したくない。ハローが受ける歪みは全部、僕が引き受ければいい。憎悪も何もかも、僕だけが飲み込めば丸く収まるんだ。

 エドウィンはハローと肩を組み、ぐいと馬車に引っ張った。



「僕らも帰るぞ。日が暮れたら村に戻れなくなるからな」

「いてて、首絞めないでくれよ。苦しいって」

「うるせっ、お前なんざこうしてやる」



 ぐりぐりとハローの頭に拳を押し付け、エドウィンは笑った。自分の胸中を隠すように。
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