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- ファンタジア王国と王都フィル -

エルフの戸惑い

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・・・ん?

ちょっと、待て。

「……なぜ、私の言葉が理解できた?」

自分の腕の中で小刻みに震える小さい子供に改めて・・・問う

「……っ」

ぷるぷると体を強張らせ、小刻みに震える子供の様子にまるで自分が苛めているように感じた。そんな自身の気持ちにまた今までにない戸惑いを感じたのも確かだった。

(……なんだ、この感じは?)

いや、それよりも…

「お前は… エルフの言葉がわかるのか」

「エルフ…?」


途端に、サッと青ざめるアクラス家の子供に確信を覚える。どういうわけか、この子供はエルフの言葉を理解していた。…とすると、話すこともできるのか?

スッと目を細めて見据えればなぜか腕の中にいる子供はさらに怯える。…なぜだろう?納得がいかない。ムカつく。私は小さい子供を虐める趣味もなければ、この子に何かした覚えもない。

…だけど、腕の中で怯えて身を縮こませるこの子供にどこか愛しく感じるのはなぜなのか。


しかし、このままでは埒があかないと再び目線を合わせ声をかける。

「…そう怯えるな。お前を怖がらせることは何もしない。ただ、少し聞きたいことがあってな」

片方の腕だけで抱えて目線を合わせ、その涙で濡れた目尻に、自分が泣かせたのかと眉をしかめる。傷つけるつもりはないとばかりにそっと優しく指先でその涙を拭う。

突拍子のないその行動に自分でも驚いたが、目をパチパチ瞬きし、きょとんとした表情のこの子供に自分の口角が緩むのがわかった。ゆっくり、地面へ下ろして慰めるようにその髪をクシャクシャと少し雑に撫でる…


「はわ、わ…っ!??」

キュッと目を閉じる仕草にも少し愛しく感じたのはきっと気のせいだ。

「別に傷つけるつもりはない。…ただ、いくつか質問に答えてもらいたいだけだ」

少し乱暴だったが撫でたのが良かったのか、ようやく涙が止まり、少し落ち着きを取り戻したその子供… 否、アクラス家の子供になぜかホッとした自分がいた。
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