目覚めたそこはBLゲームの中だった。

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- ファンタジア王国と王都フィル -

エルフは途方に暮れる…

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『参ったな…』

小さく溜め息つくエルフは途方に暮れていた。

精霊達が騒ぐものだから軽く小言を言うつもりが、その中心を取り巻かれていたのが、小さな… それもまだ幼い人間ひとの子だったのだから驚きを隠せない。

  それも、

あの悪名高きアクラス家の子供。

それにしては、妙な気配を纏っていることに気付く。それに精霊は好き嫌いが激しい。だが、先ほどの様子から精霊たちに悪意が無いとは言え、興味を抱かれているのは確かだった。


頭を振り、無意識に威圧的な顔をしているかもしれないと思い至り、フッ、と安心させるように笑みを浮かべる。

『そういえば、挨拶がまだだったな…』

抱き上げたまま、微かに笑みを浮かべる。

「え?」

『クラウド・レナード。クラウドと呼んでくれて構わない』

「え、え…!?」

その戸惑う姿はまるで純真無垢な子供そのもので、それは到底、あの・・アクラス家の血筋とは思えなかった。

きょとん、とする表情は小動物にも似ていて、そこらの変な輩に掻っ攫れやしないかと目の前のまだ小さな子供の身を按じる己自身に吃驚した。

まだ小さな子供とは言え、相手の人種は人間でその上、悪評が止まることを知らないあのアクラス家の人間の子供だ。身内贔屓のエルフが、人間の子供に… それも、あのアクラス家の子供を気に掛けるなど、あり得ないとまでは言わないが、自分でもよっぽど気に入ったのか。不思議と嫌悪感を抱かない。


会って間もない私が人間の… あの、悪名高いアクラス家の幼な子を抱いているとは、驚きと戸惑いで混乱した。
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