147 / 159
ヌーッティ、日本へ行く!<後編>
エピローグ
しおりを挟む
ヌーッティとトゥーリがアキと共に日本へ来てから数日が経ち、ついに、フィンランドへ戻る日がやってきた。
空港には、あいりと母の小春が見送りに来ていた。
「おにいちゃん、これあげる」
あいりは封筒を一通、アキに差し出した。
「手紙?」
「そんなわけないでしょ」
受け取ったアキは封を開く。すると、一枚の写真が入っていた。それは、あいりから見せてもらった、祖父の梛々桜と祖母の梅が写る写真であった。
「これ、あいりの大事な写真だろ?」
写真からあいりに視線を移して、アキは尋ねた。
「いいよ。おにーちゃんにあげる。その代わり!」
「その代わり?」
「今度、日本に来るときは、フィンランドの美味しいお菓子をたくさん持ってきてよ。ちなみに、サルミアッキとラクリッツはいらない」
あいりの言葉にアキはくすりと笑った。
「了解。サルミアッキとラクリッツ以外のお菓子を持ってくるよ」
アキはあいりより受け取った写真を、ぐしゃぐしゃにならないよう、リュックの硬い背面に大事そうに滑り込ませた。
「ところで、ヌーッティとトゥーリは?」
きょろきょろと周囲を見回すも、アキの周りにも、近くの椅子の影にも、ヌーッティとトゥーリの姿はなかった。
アキはあいりにわかるように、背負っているリュックを指さす。
「もう、リュックの中だよ」
「大丈夫なの? また、ヌーッティがギャレーのお菓子全部食べたりしない?」
あいりの心配は当然のことであった。しかし、
「家を出る前に、おなかがいっぱいになるまでお菓子を食べさせたから、大丈夫だと思う」
「そっか。また日本に来るときは、ヌーッティとトゥーリも連れてきてね。一緒に遊びたいから」
「わかってるって。日本に来るときは、家のお菓子のストックを多めにしておいてって、連絡入れるよ」
ほどなくして、チェックインとスーツケースの預け入れを終えたアキと父のトゥーッカは、あいりと小春に向かって手を振りながら、空港の奥へと進んでいった。
こうして、アキはフィンランドへと戻っていくのであった。
そして、ヌーッティはというと……
「おなか減ったヌー……。むにゃむにゃ」
リュックの中で寝言を言っていた。
そんなヌーッティの横でトゥーリも仮眠をとっていた。
ヌーッティとトゥーリの日本滞在も、無事に終えることができたのであった。
そして、舞台は再びフィンランドへと移るのであった。
空港には、あいりと母の小春が見送りに来ていた。
「おにいちゃん、これあげる」
あいりは封筒を一通、アキに差し出した。
「手紙?」
「そんなわけないでしょ」
受け取ったアキは封を開く。すると、一枚の写真が入っていた。それは、あいりから見せてもらった、祖父の梛々桜と祖母の梅が写る写真であった。
「これ、あいりの大事な写真だろ?」
写真からあいりに視線を移して、アキは尋ねた。
「いいよ。おにーちゃんにあげる。その代わり!」
「その代わり?」
「今度、日本に来るときは、フィンランドの美味しいお菓子をたくさん持ってきてよ。ちなみに、サルミアッキとラクリッツはいらない」
あいりの言葉にアキはくすりと笑った。
「了解。サルミアッキとラクリッツ以外のお菓子を持ってくるよ」
アキはあいりより受け取った写真を、ぐしゃぐしゃにならないよう、リュックの硬い背面に大事そうに滑り込ませた。
「ところで、ヌーッティとトゥーリは?」
きょろきょろと周囲を見回すも、アキの周りにも、近くの椅子の影にも、ヌーッティとトゥーリの姿はなかった。
アキはあいりにわかるように、背負っているリュックを指さす。
「もう、リュックの中だよ」
「大丈夫なの? また、ヌーッティがギャレーのお菓子全部食べたりしない?」
あいりの心配は当然のことであった。しかし、
「家を出る前に、おなかがいっぱいになるまでお菓子を食べさせたから、大丈夫だと思う」
「そっか。また日本に来るときは、ヌーッティとトゥーリも連れてきてね。一緒に遊びたいから」
「わかってるって。日本に来るときは、家のお菓子のストックを多めにしておいてって、連絡入れるよ」
ほどなくして、チェックインとスーツケースの預け入れを終えたアキと父のトゥーッカは、あいりと小春に向かって手を振りながら、空港の奥へと進んでいった。
こうして、アキはフィンランドへと戻っていくのであった。
そして、ヌーッティはというと……
「おなか減ったヌー……。むにゃむにゃ」
リュックの中で寝言を言っていた。
そんなヌーッティの横でトゥーリも仮眠をとっていた。
ヌーッティとトゥーリの日本滞在も、無事に終えることができたのであった。
そして、舞台は再びフィンランドへと移るのであった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
初雪はクリスマスに
シュウ
児童書・童話
クリスマスが近づいた、ある寒い日のこと。
「サンタさんって本当にいるの?」
ハルカはケントパパに尋ねてみた。
パパは「もちろん」と笑って言う。
「だって、パパはサンタさんと会ったことがあるからね」
娘にねだられ、ケントパパは話を始める。
これはケントパパが小学校五年生の時の、少し甘酸っぱい思い出の話。
魔界プリンスとココロのヒミツ【完結】
小平ニコ
児童書・童話
中学一年生の稲葉加奈は吹奏楽部に所属し、優れた音楽の才能を持っているが、そのせいで一部の部員から妬まれ、冷たい態度を取られる。ショックを受け、内向的な性格になってしまった加奈は、自分の心の奥深くに抱えた悩みやコンプレックスとどう付き合っていけばいいかわからず、どんよりとした気分で毎日を過ごしていた。
そんなある日、加奈の前に突如現れたのは、魔界からやって来た王子様、ルディ。彼は加奈の父親に頼まれ、加奈の悩みを解決するために日本まで来たという。
どうして父が魔界の王子様と知り合いなのか戸惑いながらも、ルディと一緒に生活する中で、ずっと抱えていた悩みを打ち明け、中学生活の最初からつまづいてしまった自分を大きく変えるきっかけを加奈は掴む。
しかし、実はルディ自身も大きな悩みを抱えていた。魔界の次期魔王の座を、もう一人の魔王候補であるガレスと争っているのだが、温厚なルディは荒っぽいガレスと直接対決することを避けていた。そんな中、ガレスがルディを追って、人間界にやって来て……
下出部町内漫遊記
月芝
児童書・童話
小学校の卒業式の前日に交通事故にあった鈴山海夕。
ケガはなかったものの、念のために検査入院をすることになるも、まさかのマシントラブルにて延長が確定してしまう。
「せめて卒業式には行かせて」と懇願するも、ダメだった。
そのせいで卒業式とお別れの会に参加できなかった。
あんなに練習したのに……。
意気消沈にて三日遅れで、学校に卒業証書を貰いに行ったら、そこでトンデモナイ事態に見舞われてしまう。
迷宮と化した校内に閉じ込められちゃった!
あらわれた座敷童みたいな女の子から、いきなり勝負を挑まれ困惑する海夕。
じつは地元にある咲耶神社の神座を巡り、祭神と七葉と名乗る七体の妖たちとの争いが勃発。
それに海夕は巻き込まれてしまったのだ。
ただのとばっちりかとおもいきや、さにあらず。
ばっちり因果関係があったもので、海夕は七番勝負に臨むことになっちゃったもので、さぁたいへん!
七変化する町を駆け回っては、摩訶不思議な大冒険を繰り広げる。
奇妙奇天烈なご町内漫遊記、ここに開幕です。
ルカとカイル
松石 愛弓
児童書・童話
異世界に転移してきた魔法を使えるルカと、金色の虎から人の姿に変身できるカイルの日常。童話のパロディや、森の動物たちの日常をコメディ路線で書いてゆく予定です。
ほぼショートショートの読み切りのお話です。すぐに気楽に読めると思います。よろしくお願いします。不定期更新です。
シルク航路〜ホール・アウェイ〜
ままかりなんばん
児童書・童話
海賊黄金時代にかげりが見えた西暦1701年。
南の海にて、イカロス海軍船ジョージ・セイル号が行方不明に。
その直前、海軍船に乗っていた少年は海賊船チャルチウィトリクエ号へとやっかい払いされたため一命を取り留める。
少年の名はシルク。
愉快な20人の海賊との出会いと脅威との戦い、そして別れの海洋冒険小説!
[完結済]ボクの小説日記2
テキトーセイバー
ホラー
前作「ボクの小説日記」の続編ホラー短編集です。
前作主人公ボクの他にカノジョが登場します。
解説オチもボクとカノジョが会話して解説ショーを送りします。
妖精さん達と暮らそう 改訂版
東郷 珠
児童書・童話
私にしか見えない妖精さん。
色んな妖精さんが、女の子を助けます。
女の子は、妖精さんと毎日楽しく生活します。
妖精さんと暮らす女の子の日常。
温かく優しいひと時を描く、ほのぼのストーリーをお楽しみ下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる