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第9話 告白 (ヘルムートside)
しおりを挟むコーネリウス達と話をした数日後、ついに彼女に告白をする事を決意した。
本当は、もっと早く告白するつもりだったのだが...
シルヴィア嬢が、体調を壊してしまったらしく、しばらく休んでいたのだ。
彼女は幼い頃から体が弱く、体調を崩しやすかった。
体調はもう大丈夫なのだろうか?
イシードが、「 今日から妹が仕事復帰するよ。」と教えてくれたので昼休憩の時に声をかけてみよう。
いつもは食堂で見かけるのだが..今日は見当たらない。
まだ体調が万全でないのなら人混みを避けるかもしれない。
食堂で昼食をとらないなら、もしかして...。
中庭で休憩中の彼女を見つけた。
告白はこの日するつもりはなく、体調が心配だったので声をかけたのだが...。
なんだか彼女は怯えているように見えた。
いつも書庫では笑顔で迎えてくれるのに...。
まだ体調が良くないからか?
それとも...私が何か彼女の気に障ることをしてしまったのだろうか?
いつもならヘルムート様と名前で呼んでくれるのに...なんで今日は家名の方を呼ぶんだ?
それがなんだかとても嫌で悲しかった。
どうにか名前で呼んでほしいとお願いするが...彼女は頑なに名前を呼ぶことを拒む。
胸が張り裂けそうにつらくて...
気づけば...私は、すがるように彼女へと愛の言葉を口に出していた。
「 シルヴィア嬢...俺は貴女が好きです。」
嘘偽りのない言葉だった。
彼女への思いが大きすぎて...。
一度、言葉にして口に出してしまったら...もう止まることはなかった。
シルヴィア...君が好き。
君の事がずっと...ずっと好きだったんだ...。
初めて出会ったあの時から...一時も忘れたことはなかったんだよ。
一生懸命、不器用なりに考え言葉にして思いを伝えるが...彼女は、今にも泣き出してしまいそうな顔をしていた。
ああ...これは玉砕してしまったかな...。
今日告白するつもりじゃなかったのに...。
こんなムードもない、突然の告白...喜ぶわけがないじゃないか...。
彼女は、病み上がりで体調も万全でない...そんな時に私は何をしているんだ。
彼女を困らせるようなことを言ってしまうなんて...。
振られる。
そう思った時だった。
「はい...。よろしくお願いします。」
彼女は小さな声で恥ずかしそうに呟いた。
今...彼女は「はい」と答えたのか?
「よろしくお願いします。」ってお付き合いしてもいいってことだよな??
彼女は...たった今、私の恋人になったってことでいいんだよな?
俺の勘違いではないよな?
そっと自分の頬を摘まむ。
現実だ...。妄想じゃない。
私の...念願が叶ったんだ!!
あまりの嬉しさに彼女をギュッと抱きしめた。
ああ...どうしよう...嬉しくて泣きそうだ。
こんな気持ちは初めてだ..。
彼女をギュッとしながら、彼女の耳元でありがとう...絶対大事にするからと囁き、耳にキスをすると...彼女の耳が真っ赤に染まる...なんて可愛いんだろう。
可愛い私の大切な大切なお姫様...。
もう君を絶対に離したくない。
付き合い始めてからは、時間があればすぐに彼女の元へ行った。昼ご飯も、勤務後も...とにかく彼女の側にいたくて。
休みの日には、近くの街では知り合いに会ったりすると彼女との大切な時間を邪魔されてしまうので、離れた街まで行き堂々とイチャイチャした。
騎士団の仲間や、妹に女性の好きそうな店を聞き徹底的にリサーチした。
シルヴィアとの貴重な時間だ。完璧にエスコートしたい。
そして、毎回デートの記念と思い出にお揃いの小物などをプレゼントした。
一回やってみたかったのだ...。
お揃いの物を二人で持つと言うのを、好きな人と付き合えたらしたかった。
カップルらしくていいかなって。
そして一人の時間は、シルヴィアを思いながらそれを眺めたかったんだ。
本当は、彼女と付き合っているって城中の人間に言いたかった。叫びたいくらい嬉しかったから。
堂々とみんなの前で彼女と付き合っているって言いたい。
けれど...彼女は、人に妬まれたり、恨まれるのが怖いと言う。
そんな目や害意から君を守ると言いたいが...彼女はとても控えめな子だ。
それに、とても人見知り...。
人見知りの彼女が好奇の目に晒されるのは、とても苦痛に感じるのかもしれない。
たしかに、私と付き合ったなんて噂が広まれば、彼女の平穏な生活は崩れてしまうかもしれない。
それに彼女の言うことは一理ある。
アイツに...イザベラに彼女の存在がバレれば間違いなく彼女を傷つけようとするだろう...。
頭がいい人間なら、格上の侯爵家の令嬢を傷つけようなんて、普通なら考えないが...アイツは違う。
か弱い彼女が、アイツに遭遇したら?
想像するのも恐ろしい...。
何がなんでも彼女を守らなくては.. 。
安全が確保できるまでは絶対にバレてはいけない。
シルヴィアと、一緒にいればいるほど、彼女が好きすぎて...過去の過ちを話すのが怖くなる。
幸せな時間が壊れてしまうのではないか...怖くてなかなか言えないでいた。
こんなに臆病で愚かで卑怯な私を彼女は受け止めてくれるだろうか...。
きっと天罰が下ったのだろう...最悪な事件が起きてしまう...。
親友に会わせた時...明らかに彼女の様子がおかしかった。
医務室に運び、心配で側にいたのだが...連日のハードスケジュールで疲れていて眠ってしまった。
なんで...あの時眠ってしまったのだろうか。
彼女から、目を離してしまったことを激しく後悔する。
目を覚ますと、ベッドには彼女の姿はなく、置き手紙だけが置かれていた。
すぐに医務室を出るが、彼女の姿はなかった。
彼女を探していると、俺を呼びに来たのかコーネリウスに会った。
コーネリウスはとても気まずそうにしている。
「お前に謝らないといけないことがあったんだ...。」
そう言って彼は、私と彼女の間に誤解があることを...彼女に誤解させてしまったのは自分のせいなんだと素直にすべて話してくれた。
俺は、それを聞き青ざめた。
コーネリウスの話を聞いて納得したことが多々あったからだ...。
彼女に、愛を囁けば囁くほど彼女がつらそうな顔をする理由...。
彼女は...私の告白を、偽りの告白だと誤解していたからだ。
私は、そんな誤解を生むタイミングで告白してしまったのか...。
あの告白は偽りなんかじゃない!
賭けで告白なんて...そんな酷いこと彼女にするわけないじゃないか...。やっと実った長い長い片思いなんだから...。
早く誤解を解かなくては。
俺は書庫に向かって走り出した。
早く...早く...。
彼女に絶対伝えなくては...。
偽りの告白なんかじゃない。
君を本気で愛していると...。
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