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41話
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数日後ベッドから起き上がれるようになった。
まだ体は思うように動かないけど色々知りたいことがあった。
「ミズナ、お願い。お父様にお会いしたいの」
「それが今、王城内で色々問題があるからと向こうに泊まりがけでお仕事に行かれていていつ帰って来られるのか分からないみたいなんです」
「そう……分かったわ。ミズナ、わたし、王城へ行きたいの」
「ダメです!無理です!危険です!まだ傷が完全に塞がっていませんし、アイシャ様は死にかけたんですよ?歩けるわけがないでしょう?」
「トーマスを呼んできてちょうだい」
「わかりました。でも反対されると思います」
「お願いだからわたしのいうことを聞いて」
大好きなミズナを困らせてることはわかってる。でも、それでも、お父様に会えないのなら自分が動くしかない。
わたしは殿下と再び婚約なんてしたくない。それに詳しいことを知りたい。
夢の中で見たあの出来事は前世の記憶。だったらわたしはミラーネ様に酷いことをした。
本当のことを知りたい。
意識がはっきりして体調が良くなってきたわたしはここでただじっと待っことなんてできない。
そんなわたしの周りで精霊達が飛び回り始めた。
すると不思議なくらい痛みが減った。
傷が治った訳ではない。痛みを一時的に消し去ってくれた。
『怪我は無理やり治すと次の怪我の時に治りにくくなる。だから完全には治せないの』
精霊の心の声が頭の中に聞こえてきた。
ーーありがとう。あなた達のおかげで助かったのよね?
ノエル様が連れて来られたお医者様の腕が良かったのも確かだけど、精霊達がわたしを見守って助けてくれた。
『アイシャ、気をつけて』
『大丈夫?』
精霊達の心配する声に優しく微笑み返した。
『わたし、どうしてもミラーネ様に会いたい』
『ついていく』
精霊達もついてくると言って聞かない。
『離れていてね?』
精霊達は彼女の前世に閉じ込められていたからついてくるのは心配だった。
『わかった』
トーマスがわたしの気持ちが変わらないことを知って護衛騎士に声をかけてくれた。
わたしは車椅子を用意してもらい屋敷を出た。
馬車に乗り込み王城に着くとまた車椅子に座る。
手に力が入らないのでトーマスが車椅子を押してくれた。
護衛騎士やミズナもついてきてくれた。
これからのことを考えると気は重いけどもう逃げたくない。
お父様のいる王宮へと向かった。
執事のトーマス曰く、今日は陛下とお父様がわたしの再婚約についての話し合いのため王宮にいるらしい。
王宮内を車椅子で通る。渡り廊下から見える庭園には王族がこよなく愛する青い薔薇が咲いていた。
ここの青い薔薇は一年中咲いているらしい。
わたしの夢の中で、アーシャと精霊が青い薔薇を作り出したのを見た。
この青い薔薇は精霊の力で咲いているらしい。
だけどふと見ると青い薔薇の色が少し霞んで鮮やかな綺麗な青色をしていない。
『もう青い薔薇は咲かせない』
『アーシャの想いはもうない。ミネルバの想いもない』
ーーミネルバの想い?それはジルを愛した想い?それとも復讐?
彼女の復讐はわたしにしたことで終えたのかな?それともまだ心残りなのかしら?
自分がした覚えはないけど、わたしの前世がミラーネ様の前世のミネルバを苦しめた。
真実はひとつ。
アリシャはその真実に目を向けることなくジルと幸せな結婚をして生涯を終えたらしい。
そのことを考えると、胸がズキズキと痛む。
わたしだけどわたしではない。そんな矛盾した夢の中だった。どう向き合えばいいのかも今もわからない。
廊下を渡り、客室へと案内された。
お父様が来るまで少し目を閉じて休憩した。体がまだ思うようにはいかないみたい。
痛みは取れているけど、やはり久しぶりの外出は体に堪える。
怠い体を車椅子に委ね、静かに目を閉じた。
いつの間にか眠っていたようだ。
ボッーとする意識の中でお父様の話し声が聞こえる。
『アイシャの婚約が決まりそうだ。トーマス、娘をさっさと連れ帰ってくれ。わたしは陛下と話を詰めたい』
『しかしアイシャ様は旦那様にお会いしたくて無理してここまで来られたんです。せめて一目だけでも会っていただけないでしょうか?』
『娘より今は陛下との話の方が大切なんだ。貴族の娘であるアイシャが王族と結婚できる。こんな幸せなことはない。
親に帰れと言われたなら、素直に帰るだろう。たかが執事でしかないトーマスがどの口でわたしに向かって命令するんだ?』
「違います、命令ではなくお願いであります」
「アイシャのことは父親であるわたしが一番わかってる。たかが執事が口応えするとはな?執事長のマークの責任を問わなければなるまい」
「マーク執事長には関係ありません。僕がアイシャ様が気の毒でつい先走って聞いてしまったんです」
わたしは目を開けて二人に顔を向ける。
「お父様……トーマスに酷いことを言わないでください。彼はわたしの命令でここまで連れてきてくれたんです。
わたしは殿下との婚約を望みません。いえ、絶対に嫌です」
まだ体は思うように動かないけど色々知りたいことがあった。
「ミズナ、お願い。お父様にお会いしたいの」
「それが今、王城内で色々問題があるからと向こうに泊まりがけでお仕事に行かれていていつ帰って来られるのか分からないみたいなんです」
「そう……分かったわ。ミズナ、わたし、王城へ行きたいの」
「ダメです!無理です!危険です!まだ傷が完全に塞がっていませんし、アイシャ様は死にかけたんですよ?歩けるわけがないでしょう?」
「トーマスを呼んできてちょうだい」
「わかりました。でも反対されると思います」
「お願いだからわたしのいうことを聞いて」
大好きなミズナを困らせてることはわかってる。でも、それでも、お父様に会えないのなら自分が動くしかない。
わたしは殿下と再び婚約なんてしたくない。それに詳しいことを知りたい。
夢の中で見たあの出来事は前世の記憶。だったらわたしはミラーネ様に酷いことをした。
本当のことを知りたい。
意識がはっきりして体調が良くなってきたわたしはここでただじっと待っことなんてできない。
そんなわたしの周りで精霊達が飛び回り始めた。
すると不思議なくらい痛みが減った。
傷が治った訳ではない。痛みを一時的に消し去ってくれた。
『怪我は無理やり治すと次の怪我の時に治りにくくなる。だから完全には治せないの』
精霊の心の声が頭の中に聞こえてきた。
ーーありがとう。あなた達のおかげで助かったのよね?
ノエル様が連れて来られたお医者様の腕が良かったのも確かだけど、精霊達がわたしを見守って助けてくれた。
『アイシャ、気をつけて』
『大丈夫?』
精霊達の心配する声に優しく微笑み返した。
『わたし、どうしてもミラーネ様に会いたい』
『ついていく』
精霊達もついてくると言って聞かない。
『離れていてね?』
精霊達は彼女の前世に閉じ込められていたからついてくるのは心配だった。
『わかった』
トーマスがわたしの気持ちが変わらないことを知って護衛騎士に声をかけてくれた。
わたしは車椅子を用意してもらい屋敷を出た。
馬車に乗り込み王城に着くとまた車椅子に座る。
手に力が入らないのでトーマスが車椅子を押してくれた。
護衛騎士やミズナもついてきてくれた。
これからのことを考えると気は重いけどもう逃げたくない。
お父様のいる王宮へと向かった。
執事のトーマス曰く、今日は陛下とお父様がわたしの再婚約についての話し合いのため王宮にいるらしい。
王宮内を車椅子で通る。渡り廊下から見える庭園には王族がこよなく愛する青い薔薇が咲いていた。
ここの青い薔薇は一年中咲いているらしい。
わたしの夢の中で、アーシャと精霊が青い薔薇を作り出したのを見た。
この青い薔薇は精霊の力で咲いているらしい。
だけどふと見ると青い薔薇の色が少し霞んで鮮やかな綺麗な青色をしていない。
『もう青い薔薇は咲かせない』
『アーシャの想いはもうない。ミネルバの想いもない』
ーーミネルバの想い?それはジルを愛した想い?それとも復讐?
彼女の復讐はわたしにしたことで終えたのかな?それともまだ心残りなのかしら?
自分がした覚えはないけど、わたしの前世がミラーネ様の前世のミネルバを苦しめた。
真実はひとつ。
アリシャはその真実に目を向けることなくジルと幸せな結婚をして生涯を終えたらしい。
そのことを考えると、胸がズキズキと痛む。
わたしだけどわたしではない。そんな矛盾した夢の中だった。どう向き合えばいいのかも今もわからない。
廊下を渡り、客室へと案内された。
お父様が来るまで少し目を閉じて休憩した。体がまだ思うようにはいかないみたい。
痛みは取れているけど、やはり久しぶりの外出は体に堪える。
怠い体を車椅子に委ね、静かに目を閉じた。
いつの間にか眠っていたようだ。
ボッーとする意識の中でお父様の話し声が聞こえる。
『アイシャの婚約が決まりそうだ。トーマス、娘をさっさと連れ帰ってくれ。わたしは陛下と話を詰めたい』
『しかしアイシャ様は旦那様にお会いしたくて無理してここまで来られたんです。せめて一目だけでも会っていただけないでしょうか?』
『娘より今は陛下との話の方が大切なんだ。貴族の娘であるアイシャが王族と結婚できる。こんな幸せなことはない。
親に帰れと言われたなら、素直に帰るだろう。たかが執事でしかないトーマスがどの口でわたしに向かって命令するんだ?』
「違います、命令ではなくお願いであります」
「アイシャのことは父親であるわたしが一番わかってる。たかが執事が口応えするとはな?執事長のマークの責任を問わなければなるまい」
「マーク執事長には関係ありません。僕がアイシャ様が気の毒でつい先走って聞いてしまったんです」
わたしは目を開けて二人に顔を向ける。
「お父様……トーマスに酷いことを言わないでください。彼はわたしの命令でここまで連れてきてくれたんです。
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