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35話 夢の中
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苦しい、辛い、もう嫌だ。
夢の中なのに息をするのも辛い。
こんな夢があるの?
わたしはアイシャであって、アーシャだった?
あの酷い夢は全てあった出来事?
この苦しみの中、さらに夢は続いた。
もう嫌だ、もう見たくない。
「ジル!」
わたしでもない、アーシャでもない。
この令嬢は?
でもわたしではないけどわたしにやはり似ている。
「アリシャ!遅い!どれだけ待ったと思っているんだ!」
「ごめんなさい。先生に捕まってお手伝いを頼まれていたの」
二人は恋人同士なのかな?
とても仲が良さそう。それに手を繋いで歩いているわ。
だけど、ジルと呼ばれた人…シルヴィオ殿下になんとなく似ている気がする。
でも『殿下』とは呼ばれていない。
「ジル、愛しているわ」
アリシャは甘えるようにジルの胸に顔を埋めた。
ジルはアリシャの頭を優しく撫でた。
「俺もアリシャを愛してる。だからもう少しだけ待ってくれ。父上を今説得しているんだ。必ずミネルバとは婚約解消するから」
「本当に?わたしジルのお嫁さんになれるの?嬉しいわ」
ーーえっ?ジルという人には婚約者がいるの?それなのに二人は付き合っているの?
わたしは二人を見て唖然とした。
そしてその二人を憎々しく離れた場所で見ている令嬢がいるのに気がついた。
よく観察するとその令嬢はショックを受けて涙を溜めていた。
そしてそんな令嬢に気がついた周囲の女子生徒達がコソコソと噂を始めた。
「ミネルバ様がお可哀想だわ」
「あら?でも、いつもツンとすましてるミネルバ様が婚約者に相手にされない姿を見れるのも楽しいわよね。クスクス、クスクス」
「あの悔しそうにしている顔、いい気味だと思わない?」
クスクス笑う女子生徒達。
涙を堪えて立っている女子生徒の名前はミネルバ様というらしい。
さっきのジルとアリシャは恋人。ミネルバはジルの婚約者。
悪いのは……婚約者がいるのに恋人を作ったジル。そして婚約者がいるのを知って付き合っているアリシャ。
わたしは夢の中で、悪いのはどう見てもこの二人なのにどうしてミネルバが周りに馬鹿にされなければいけないの?と思って夢をみていた。
でもよく観察しているとミネルバはアリシャのカバンを捨てたり、アリシャの友人を脅したり、アリシャの家族を襲わせようと企んだらしていた。
アリシャ自身にも酷い言葉を投げつけたりと、かなりやりたい放題で、婚約者のジルがミネルバに気持ちがないのも仕方がないのかも……なんて思った。
ジルはアリシャを守り続けた。ミネルバに対してさらに嫌いになっていくのが手に取るように分かる。
自分からますます嫌われることをするからよ!わたしはミネルバの不器用な愛し方に夢の中なのについ心配になってしまった。
そしてミネルバはとうとう悪女と呼ばれ始めた。
でも本当に悪女なのは、無垢なままジルに恋をして、自分は何も悪くないとジルに守られたアリシャじゃないかとわたしは思ってしまう。
だって、貴族なんだもの。好きだからと言って、好き勝手に恋愛するのはおかしいと思うの。
決められた婚約者がいるのならやはり誠意はみせないと。政略結婚になるかもしれない、でも好きならまずは付き合う前に親達にきちんと話をして婚約解消するべきでは?
婚約者と同じ学園にいて二人はミネルバに見せつけるようにイチャイチャしてる。
それに自分たちの愛の邪魔をする悪女に仕立ててみんなからの同情を買うのもおかしい。
ミネルバは婚約者としての立場を守ろうとしただけ。それにミネルバにも事情があった。
婚約破棄されれば父親に見捨てられる。
そうなれば修道院へ入れられるか後妻として年上の貴族の誰かに嫁がされるかしか残っていなかった。
ミネルバの人生を滅茶苦茶にしたのは二人だと思う。
夢の中でわたしはなんとも言えない気持ちになった。
ミラーネ様に似ているミネルバ。
彼女への同情心はある。
だけど、悪いことは悪い。やはり少しやり過ぎだと思う。
そんなミネルバを諌める人はいないみたい。友人も余りおらず、いつも一人でポツンと過ごすミネルバ。
それと真逆で、イチャイチャする二人。
そして、ミネルバはとうとう犯罪者として捕まり、罰として厳しいと言われる修道院へと入れられた。
そこは長生きする者は少ないと言われている。
とても寒さが厳しく、今まで令嬢として生きてきた人が住むにはとても耐えられない場所。
その修道院、今もあると聞いたことがあるわ。
夢だけど夢じゃない?
これは、一体……
ミネルバ、ミランダ、ミラーネ。
アリシャ、アーシャ、アイシャ。
ジル、シルヴァ、シルヴィオ。
顔はそっくりではないけど、なんとなくそれぞれ雰囲気が似ている。
わたしは、アリシャ、アーシャでもある?
じゃあ今見ている夢は、正夢?前世のわたし?
もしかして……ミラーネ様がわたしにしてきたことは復讐?なのかな……
だってミネルバが傷ついているもの。
前世であんな酷い目に遭わされたのも?
今回のことも?
確かにアリシャのしたことは非常識だし、わたしも自分勝手だと思う。
だけど、アーシャはただ、シルヴァ殿下の婚約者に選ばれただけ。
別に婚約者を奪ったわけではない。
なのに……牢に入れられ犯されなければいけないの?
あんな無惨な死に方をしなければいけないの?
夢の中なのに息をするのも辛い。
こんな夢があるの?
わたしはアイシャであって、アーシャだった?
あの酷い夢は全てあった出来事?
この苦しみの中、さらに夢は続いた。
もう嫌だ、もう見たくない。
「ジル!」
わたしでもない、アーシャでもない。
この令嬢は?
でもわたしではないけどわたしにやはり似ている。
「アリシャ!遅い!どれだけ待ったと思っているんだ!」
「ごめんなさい。先生に捕まってお手伝いを頼まれていたの」
二人は恋人同士なのかな?
とても仲が良さそう。それに手を繋いで歩いているわ。
だけど、ジルと呼ばれた人…シルヴィオ殿下になんとなく似ている気がする。
でも『殿下』とは呼ばれていない。
「ジル、愛しているわ」
アリシャは甘えるようにジルの胸に顔を埋めた。
ジルはアリシャの頭を優しく撫でた。
「俺もアリシャを愛してる。だからもう少しだけ待ってくれ。父上を今説得しているんだ。必ずミネルバとは婚約解消するから」
「本当に?わたしジルのお嫁さんになれるの?嬉しいわ」
ーーえっ?ジルという人には婚約者がいるの?それなのに二人は付き合っているの?
わたしは二人を見て唖然とした。
そしてその二人を憎々しく離れた場所で見ている令嬢がいるのに気がついた。
よく観察するとその令嬢はショックを受けて涙を溜めていた。
そしてそんな令嬢に気がついた周囲の女子生徒達がコソコソと噂を始めた。
「ミネルバ様がお可哀想だわ」
「あら?でも、いつもツンとすましてるミネルバ様が婚約者に相手にされない姿を見れるのも楽しいわよね。クスクス、クスクス」
「あの悔しそうにしている顔、いい気味だと思わない?」
クスクス笑う女子生徒達。
涙を堪えて立っている女子生徒の名前はミネルバ様というらしい。
さっきのジルとアリシャは恋人。ミネルバはジルの婚約者。
悪いのは……婚約者がいるのに恋人を作ったジル。そして婚約者がいるのを知って付き合っているアリシャ。
わたしは夢の中で、悪いのはどう見てもこの二人なのにどうしてミネルバが周りに馬鹿にされなければいけないの?と思って夢をみていた。
でもよく観察しているとミネルバはアリシャのカバンを捨てたり、アリシャの友人を脅したり、アリシャの家族を襲わせようと企んだらしていた。
アリシャ自身にも酷い言葉を投げつけたりと、かなりやりたい放題で、婚約者のジルがミネルバに気持ちがないのも仕方がないのかも……なんて思った。
ジルはアリシャを守り続けた。ミネルバに対してさらに嫌いになっていくのが手に取るように分かる。
自分からますます嫌われることをするからよ!わたしはミネルバの不器用な愛し方に夢の中なのについ心配になってしまった。
そしてミネルバはとうとう悪女と呼ばれ始めた。
でも本当に悪女なのは、無垢なままジルに恋をして、自分は何も悪くないとジルに守られたアリシャじゃないかとわたしは思ってしまう。
だって、貴族なんだもの。好きだからと言って、好き勝手に恋愛するのはおかしいと思うの。
決められた婚約者がいるのならやはり誠意はみせないと。政略結婚になるかもしれない、でも好きならまずは付き合う前に親達にきちんと話をして婚約解消するべきでは?
婚約者と同じ学園にいて二人はミネルバに見せつけるようにイチャイチャしてる。
それに自分たちの愛の邪魔をする悪女に仕立ててみんなからの同情を買うのもおかしい。
ミネルバは婚約者としての立場を守ろうとしただけ。それにミネルバにも事情があった。
婚約破棄されれば父親に見捨てられる。
そうなれば修道院へ入れられるか後妻として年上の貴族の誰かに嫁がされるかしか残っていなかった。
ミネルバの人生を滅茶苦茶にしたのは二人だと思う。
夢の中でわたしはなんとも言えない気持ちになった。
ミラーネ様に似ているミネルバ。
彼女への同情心はある。
だけど、悪いことは悪い。やはり少しやり過ぎだと思う。
そんなミネルバを諌める人はいないみたい。友人も余りおらず、いつも一人でポツンと過ごすミネルバ。
それと真逆で、イチャイチャする二人。
そして、ミネルバはとうとう犯罪者として捕まり、罰として厳しいと言われる修道院へと入れられた。
そこは長生きする者は少ないと言われている。
とても寒さが厳しく、今まで令嬢として生きてきた人が住むにはとても耐えられない場所。
その修道院、今もあると聞いたことがあるわ。
夢だけど夢じゃない?
これは、一体……
ミネルバ、ミランダ、ミラーネ。
アリシャ、アーシャ、アイシャ。
ジル、シルヴァ、シルヴィオ。
顔はそっくりではないけど、なんとなくそれぞれ雰囲気が似ている。
わたしは、アリシャ、アーシャでもある?
じゃあ今見ている夢は、正夢?前世のわたし?
もしかして……ミラーネ様がわたしにしてきたことは復讐?なのかな……
だってミネルバが傷ついているもの。
前世であんな酷い目に遭わされたのも?
今回のことも?
確かにアリシャのしたことは非常識だし、わたしも自分勝手だと思う。
だけど、アーシャはただ、シルヴァ殿下の婚約者に選ばれただけ。
別に婚約者を奪ったわけではない。
なのに……牢に入れられ犯されなければいけないの?
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