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12話 僕の愛するアーシャ(アイシャ)②
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「婚約者ですか?」
国王である父上に呼び出された。
9歳になりそろそろ僕にも婚約者をという動きがあるのは知っていた。兄上も8歳の時に婚約した。
僕はいずれ兄が国王になった時、臣下として仕えることが決まっている。だからその地位に相応しくあるためにずっと努力をしてきた。
みんなの前でも笑顔を絶やさず常に好意を向けてもらえるように努力した。
次男なんて兄上に何かあった時のスペアでしかない。とりあえず優秀さをアピールしておけば父上も納得して可愛がってくれる。
婚約者なんて誰でもいい。愛なんてよくわからない。とりあえず優しく微笑んでおけばなんとかなる。
そう思っていたのに……アイシャにだけは黒い気持ちが込み上げてくる。
月に一度のお茶会、いつもビクビクして僕と目を合わせようとしない。
父上や母上とはあんなに楽しそうに話をするのに二人っきりになると沈黙が続く。
「アイシャ、お菓子食べないの?」
「………お腹がいっぱいで……」
僕が話しかけるとビクッとなって青い顔をする。
そんなお茶会が淡々と続いた。
僕は13歳になり学園に入学した。6年間学園で学び、友人を作り、ここでいずれ自分についてくる者達を見定め、信頼できる者を見つけ、将来のための社交をする。
第二王子だからと先生方は贔屓はしてくれない。勉学にも励み、僕の人柄でたくさんの友人を作った。
僕の笑顔は人を惹きつける。それを十分にわかっている僕はそれを武器に先生方からの信頼も得る。
16歳になりアイシャが入学すると周りがざわついた。
アイシャはとても美しい少女へと成長していた。
お茶会であれだけ会っていたはずなのに。
みんな同じ制服を着ているはずなのにアイシャだけが光り輝いて見える。
僕の周りにいた友人達が「可愛い」「あの子は誰?」とこそこそ話しているのが聞こえた。
腰まで伸びた長い髪の毛をふたつに分け三つ編みをしていた。制服だってみんな同じ。
なのにアイシャはみんなが振り向くほど美しい。まっすぐ背筋が伸びている姿勢も、淡い色のピンクの髪も、鼻筋が通った美しい顔立ちも、まるで精巧に造られた人形のような美しさだった。
僕は今までオドオドするアイシャしか見ていなかった。たくさんの友人と笑顔で話すアイシャに僕の目は奪われてしまった。
なんて綺麗なんだ。
さらにドス黒い気持ちがおおきくなった。
アイシャに愛なんて感情はない。優秀だと彼女を教える先生達から聞いていた。
死ぬまで利用し続ければいい。
公爵令嬢で美しく、さらに優秀。
僕にとって隣に立たせておくにはちょうどいい人形なんだ。
そう………ミラーネが僕の前に現れるまでずっとアイシャのことを蔑んでいた。
ミラーネが転入生としてやってきたのは僕が17歳になってからだった。
初めて会った時、何故か懐かしさと……ずっと焦がれていたよくわからない感情に胸が張り裂けそうになった。
僕はミラーネを………違う、ミランダを愛していたんだ。
婚約者だったアーシャのことは………
頭が痛い。
アーシャ?ミランダ?
僕は何を言ってるんだ?
アーシャではなくアイシャなのに……
ミランダ?誰だ?
イライラする。
だけどミラーネに会うと心が安らぐ。ざわついた黒い気持ちも全てが溶けていく。溶けたその沼のようなドロっとした中で過ごしていたい。
なのにアイシャに会うとまた心がざわつく。もうアイシャになんて会いたくない。
なのに………たまに狂おしいほどアイシャが欲しくてたまらない。泣きたくなるほどアイシャが愛おしくなる。
愛なんて生きていく中に必要ないもののはずなのに。
国王である父上に呼び出された。
9歳になりそろそろ僕にも婚約者をという動きがあるのは知っていた。兄上も8歳の時に婚約した。
僕はいずれ兄が国王になった時、臣下として仕えることが決まっている。だからその地位に相応しくあるためにずっと努力をしてきた。
みんなの前でも笑顔を絶やさず常に好意を向けてもらえるように努力した。
次男なんて兄上に何かあった時のスペアでしかない。とりあえず優秀さをアピールしておけば父上も納得して可愛がってくれる。
婚約者なんて誰でもいい。愛なんてよくわからない。とりあえず優しく微笑んでおけばなんとかなる。
そう思っていたのに……アイシャにだけは黒い気持ちが込み上げてくる。
月に一度のお茶会、いつもビクビクして僕と目を合わせようとしない。
父上や母上とはあんなに楽しそうに話をするのに二人っきりになると沈黙が続く。
「アイシャ、お菓子食べないの?」
「………お腹がいっぱいで……」
僕が話しかけるとビクッとなって青い顔をする。
そんなお茶会が淡々と続いた。
僕は13歳になり学園に入学した。6年間学園で学び、友人を作り、ここでいずれ自分についてくる者達を見定め、信頼できる者を見つけ、将来のための社交をする。
第二王子だからと先生方は贔屓はしてくれない。勉学にも励み、僕の人柄でたくさんの友人を作った。
僕の笑顔は人を惹きつける。それを十分にわかっている僕はそれを武器に先生方からの信頼も得る。
16歳になりアイシャが入学すると周りがざわついた。
アイシャはとても美しい少女へと成長していた。
お茶会であれだけ会っていたはずなのに。
みんな同じ制服を着ているはずなのにアイシャだけが光り輝いて見える。
僕の周りにいた友人達が「可愛い」「あの子は誰?」とこそこそ話しているのが聞こえた。
腰まで伸びた長い髪の毛をふたつに分け三つ編みをしていた。制服だってみんな同じ。
なのにアイシャはみんなが振り向くほど美しい。まっすぐ背筋が伸びている姿勢も、淡い色のピンクの髪も、鼻筋が通った美しい顔立ちも、まるで精巧に造られた人形のような美しさだった。
僕は今までオドオドするアイシャしか見ていなかった。たくさんの友人と笑顔で話すアイシャに僕の目は奪われてしまった。
なんて綺麗なんだ。
さらにドス黒い気持ちがおおきくなった。
アイシャに愛なんて感情はない。優秀だと彼女を教える先生達から聞いていた。
死ぬまで利用し続ければいい。
公爵令嬢で美しく、さらに優秀。
僕にとって隣に立たせておくにはちょうどいい人形なんだ。
そう………ミラーネが僕の前に現れるまでずっとアイシャのことを蔑んでいた。
ミラーネが転入生としてやってきたのは僕が17歳になってからだった。
初めて会った時、何故か懐かしさと……ずっと焦がれていたよくわからない感情に胸が張り裂けそうになった。
僕はミラーネを………違う、ミランダを愛していたんだ。
婚約者だったアーシャのことは………
頭が痛い。
アーシャ?ミランダ?
僕は何を言ってるんだ?
アーシャではなくアイシャなのに……
ミランダ?誰だ?
イライラする。
だけどミラーネに会うと心が安らぐ。ざわついた黒い気持ちも全てが溶けていく。溶けたその沼のようなドロっとした中で過ごしていたい。
なのにアイシャに会うとまた心がざわつく。もうアイシャになんて会いたくない。
なのに………たまに狂おしいほどアイシャが欲しくてたまらない。泣きたくなるほどアイシャが愛おしくなる。
愛なんて生きていく中に必要ないもののはずなのに。
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