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The Ugly Duckling

engagement 3/11

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「一青……きれい……」

 うっとりと、一青を見つめると、少しだけ一青が顔を赤らめてから、ちゅ。と照れ隠しのように唇に軽いキスをくれた。

「ゲート……大丈夫?」

 唇が触れるほど近くで、一青が囁くように言う。
 言われるままに身体の奥に神経を集中すると、清流の奥。湧き出す水のさらに奥。何か大きなものが溢れ出すような感覚がある。それは、決して不快なものではないけれど、大きすぎて怖くなるほどだった。

「いっ……せ。なにか……くる」

 ぎゅ。と、一青の腕を掴んで怯えたように顔を見つめると、一青は力づけるように微笑んでくれた。

「今はまだ大きくは開いてないけど、すぐに全開になる。だから……」

 そう言って、一青は両手で翡翠の頬を包み込んだ。

「契約……しよう?」

 一青の言葉に、今度は、翡翠の感情が溢れ出す。
 一青は最初からずっとそう言ってくれていた。まるで、最初から翡翠と契約を結ぶことが決まっていたみたいに迷いなく、彼はずっとそう言ってくれていたのだ。

「うん」

 答えてももう、どこも痛みはしなかった。溢れてくるのは、一青を好きだという思いだけだった。

「じゃあ、翡翠」

 翡翠の額に。頬に。鼻先に。唇に。何度も何度もキスをしてから、一青はもう一度翡翠の顔を見る。

「言って? 翡翠の口からも。聞かせてほしい。翡翠がどうしたいのか。どう思ってるのか。
 俺の独りよがりじゃないって、教えて?」

 切なげに眉を寄せて一青が言う。きっと、国政のことで一青を不安にさせてしまったのだろう。申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「一青が好き。大好き。愛してる。
 一青の伴侶になりたい。ずっと、ずっと一青といたい。一青だけのゲートにしてほしい。全部、一青のものにしてほしい」

 だから、翡翠は、ずっと邪魔されて言えなかった思いを一青に伝えた。
 一青は湧水だ。初めて会ったとき翡翠は思った。
 今ならわかる。翡翠のゲートは最初から一青だけのものだった。だから、翡翠の中から湧き上がるのは、一青と同じ綺麗な水なのだ。
 それを無視できるはずなどなかった。こうなるはずだったのに、遠回りしていただけだった。

「大好きだ。愛してる。ずっと、言いたかった」

 ぎゅ。と、一青の背に腕を回してそう言うと、翡翠の背中も強く抱きしめられる。その腕は痛いほどだったけれど、黒蛇に絞めつけられるのとは全く違った。幸せで、このまま抱きつぶされてしまいたいと思う。

「俺も。翡翠を愛してる。俺だけのもんだ。誰にも渡さない」

 翡翠の耳元に甘く囁いてから、ぐん。と、翡翠の中に収めていたソレが、奥を貫いた。

「……あ……っ。んんっ」

 いきなり奥を貫かれて翡翠の首が大きく仰け反る。
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