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The Ugly Duckling
encounter 2/7
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「つか。こいつが“翡翠”? どこがだよ」
薄暗い電灯の下では黒にしか見えない翡翠の髪を鷲掴みにして、まるで嘲るように男は笑った。少しだけ緑がかった長い黒髪に、同じ色の瞳。つくりの小さな目鼻立ちで、一言で言うと地味。街で見かけても記憶に残るようなことはない。醜いというわけではないけれど、こんなところで、売りをするような目を引く容姿をしてはいないし、ましてや翡翠と言う名に相応しいとは本人だって思ってはいない。翡翠はごく普通の目立たない一般男性だった。
「別に性欲処理のために来てるんじゃないだろう。“魔光”の質は最上級だ。美人とヤりたいだけなら、ほかを当たれ」
もう一人の男は、ゆったりソファに座って、足を組んで、じっと二人を見ている。黒髪に黒い瞳。鍛え上げられた腕には一面に文字が浮かんでいる。しかし、これは刺青ではなく、呪いなのだと、翡翠は男から聞いたことがあった。
「あと、15分だ」
ちら、と腕時計を見てから、ソファの男が言う。
男は、久米木と言った。四十代半ばで、背が高く、鍛えられて盛り上がった筋肉を持つ、屈強という言葉がぴったりとくるような男だ。彼は、まるで闇の深淵のような暗い瞳を持っていた。
久米木は、翡翠が売られるとき、必ずそうして、その暗い瞳で買い手が翡翠を思うさま犯すところをじっと見ていた。どんな男が翡翠を抱いても、暴力をふるっても、ただ、じっと、感情の全くこもらない瞳で、そのさまを見ていたのだ。
「それと…これ以上“それ”に傷をつけるな。売りものにならなくなったら、休んだ分の代金は払ってもらうぞ」
その瞳に僅かにこもった怒りの感情に、翡翠の脚の間で腰を振る男は観念した。久米木という男が、この店でどんな地位にあるのかは、客の男の顔色が物語っている。彼に目をつけられて、ここから無事で帰ることはできないのだろう。
「わかったよ」
そういって、男はわずかに振り返っていた久米木から、翡翠の身体に視線を移した。
「しかし、これ……すげーな」
その手がするり。と、翡翠のわき腹を撫でる。
翡翠の身体ははっとするほどに色が白い。象牙色などとは言えない。もはや、青白くさえ感じるほどの白さだ。それは、男を受け入れて息が上がっていても同じで、まるで血の通わない石膏の像のようだ。
その細く、浮いた肋骨の下、鳩尾から太腿の中ほどあたりに隙間なく無数に浮かぶ黒い文字。それは、翡翠の細い男性器や、男を受け入れている孔の周囲にまで及んでいる。そして、それは、久米木の腕にある文字とよく似ていた。
「これで、“ゲート”の力を吸収できるようにしてるんだろ? マジでこいつ見るまで、男の“ゲート”がいるとは思わなかったな」
するすると、文字のあるあたりを何度も撫でられる。おそらくは、その滑らかな感触を味わっているのだろう。“貧相なガキ”と評したはずのその身体は、確かに男性のそれなのだが、まるで生娘の肌のように滑らかだった。しばらく、文字の描かれている肌を撫でまわした後、下腹部のあたりに手が触れると、男はいきなりその手で強くソコを圧迫してきた。
「……っ!!」
思わず漏れそうになる声を翡翠は必死に飲み込む。
ソコを押さえつけられると、中のイイ場所が男の肉棒に押し付けられて、びりびりと電流が身体を駆け巡るような快感がいきなり襲ってきた。数えきれないほど男に犯されて、敏感になっている身体はたったそれくらいの快感にも恐ろしいくらいに素直に反応を返してしまう。嬌声を押さえようと息をつめた途端に無意識に後孔が男の欲望を締め付けた。
「うお。締まるっ。こいつ身体だけなら、女よりイイんだよな」
そう言って、男は翡翠の上半身に自分が着ていた上着を投げつけた。
視界が塞がれてあたりが闇に包まれる。その世界では、犯されている後孔の感覚だけが鮮明だった。
こんなこと、もちろん、望んでしているわけではない。翡翠は同性愛者だったけれど、愛してもいない相手に抱かれて喜びを感じるタイプでも、生活に困って身体を売っているわけでもなかった。
顔を隠されて、男たちから見えなくなると、涙が溢れてきた。泣いているところなど何度も見られているし、情けなく救いを求めることも、やめてほしいと懇願することもあった。けれど、痛みや屈辱ならともかく、恐怖や怯えで流す涙を見られるのは嫌だった。
翡翠は怖かったのだ。自分より明らかに体格がいい男に圧し掛かられること。思うさまに犯されること。彼らが自分に対して全く性的な欲求をもっていないのに、そうされること。
そして、同時にもっと恐ろしかった。
助けてくれる人など誰もいないこと。助けを求める人の顔すら思い浮かばないこと。
きっと、一生、自分はこのままここで男たちの慰み者になるしかないのだと理解できてしまうこと。
だから、涙が溢れるのだ。
「ま、これでいい。“魔光”だけは、料金分しっかりもらってくぜ」
そういって、さらに抽挿は激しくなっていった。
薄暗い電灯の下では黒にしか見えない翡翠の髪を鷲掴みにして、まるで嘲るように男は笑った。少しだけ緑がかった長い黒髪に、同じ色の瞳。つくりの小さな目鼻立ちで、一言で言うと地味。街で見かけても記憶に残るようなことはない。醜いというわけではないけれど、こんなところで、売りをするような目を引く容姿をしてはいないし、ましてや翡翠と言う名に相応しいとは本人だって思ってはいない。翡翠はごく普通の目立たない一般男性だった。
「別に性欲処理のために来てるんじゃないだろう。“魔光”の質は最上級だ。美人とヤりたいだけなら、ほかを当たれ」
もう一人の男は、ゆったりソファに座って、足を組んで、じっと二人を見ている。黒髪に黒い瞳。鍛え上げられた腕には一面に文字が浮かんでいる。しかし、これは刺青ではなく、呪いなのだと、翡翠は男から聞いたことがあった。
「あと、15分だ」
ちら、と腕時計を見てから、ソファの男が言う。
男は、久米木と言った。四十代半ばで、背が高く、鍛えられて盛り上がった筋肉を持つ、屈強という言葉がぴったりとくるような男だ。彼は、まるで闇の深淵のような暗い瞳を持っていた。
久米木は、翡翠が売られるとき、必ずそうして、その暗い瞳で買い手が翡翠を思うさま犯すところをじっと見ていた。どんな男が翡翠を抱いても、暴力をふるっても、ただ、じっと、感情の全くこもらない瞳で、そのさまを見ていたのだ。
「それと…これ以上“それ”に傷をつけるな。売りものにならなくなったら、休んだ分の代金は払ってもらうぞ」
その瞳に僅かにこもった怒りの感情に、翡翠の脚の間で腰を振る男は観念した。久米木という男が、この店でどんな地位にあるのかは、客の男の顔色が物語っている。彼に目をつけられて、ここから無事で帰ることはできないのだろう。
「わかったよ」
そういって、男はわずかに振り返っていた久米木から、翡翠の身体に視線を移した。
「しかし、これ……すげーな」
その手がするり。と、翡翠のわき腹を撫でる。
翡翠の身体ははっとするほどに色が白い。象牙色などとは言えない。もはや、青白くさえ感じるほどの白さだ。それは、男を受け入れて息が上がっていても同じで、まるで血の通わない石膏の像のようだ。
その細く、浮いた肋骨の下、鳩尾から太腿の中ほどあたりに隙間なく無数に浮かぶ黒い文字。それは、翡翠の細い男性器や、男を受け入れている孔の周囲にまで及んでいる。そして、それは、久米木の腕にある文字とよく似ていた。
「これで、“ゲート”の力を吸収できるようにしてるんだろ? マジでこいつ見るまで、男の“ゲート”がいるとは思わなかったな」
するすると、文字のあるあたりを何度も撫でられる。おそらくは、その滑らかな感触を味わっているのだろう。“貧相なガキ”と評したはずのその身体は、確かに男性のそれなのだが、まるで生娘の肌のように滑らかだった。しばらく、文字の描かれている肌を撫でまわした後、下腹部のあたりに手が触れると、男はいきなりその手で強くソコを圧迫してきた。
「……っ!!」
思わず漏れそうになる声を翡翠は必死に飲み込む。
ソコを押さえつけられると、中のイイ場所が男の肉棒に押し付けられて、びりびりと電流が身体を駆け巡るような快感がいきなり襲ってきた。数えきれないほど男に犯されて、敏感になっている身体はたったそれくらいの快感にも恐ろしいくらいに素直に反応を返してしまう。嬌声を押さえようと息をつめた途端に無意識に後孔が男の欲望を締め付けた。
「うお。締まるっ。こいつ身体だけなら、女よりイイんだよな」
そう言って、男は翡翠の上半身に自分が着ていた上着を投げつけた。
視界が塞がれてあたりが闇に包まれる。その世界では、犯されている後孔の感覚だけが鮮明だった。
こんなこと、もちろん、望んでしているわけではない。翡翠は同性愛者だったけれど、愛してもいない相手に抱かれて喜びを感じるタイプでも、生活に困って身体を売っているわけでもなかった。
顔を隠されて、男たちから見えなくなると、涙が溢れてきた。泣いているところなど何度も見られているし、情けなく救いを求めることも、やめてほしいと懇願することもあった。けれど、痛みや屈辱ならともかく、恐怖や怯えで流す涙を見られるのは嫌だった。
翡翠は怖かったのだ。自分より明らかに体格がいい男に圧し掛かられること。思うさまに犯されること。彼らが自分に対して全く性的な欲求をもっていないのに、そうされること。
そして、同時にもっと恐ろしかった。
助けてくれる人など誰もいないこと。助けを求める人の顔すら思い浮かばないこと。
きっと、一生、自分はこのままここで男たちの慰み者になるしかないのだと理解できてしまうこと。
だから、涙が溢れるのだ。
「ま、これでいい。“魔光”だけは、料金分しっかりもらってくぜ」
そういって、さらに抽挿は激しくなっていった。
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