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【2020/05 命令】
《第三週 月曜日 午後》①
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おれはとある受刑者を訪問すべく刑務所を訪れた。
横浜刑務所。ここはB級とF級という刑期10年以上の重罪初犯者を収容する男子刑務所だ。Bは犯罪傾向の進んでいる再犯者・累犯者、そして、反社会的勢力・暴力団関係者は初犯でも再犯と同等の「B」となる。尚、FはForeigner(外国人)のFだ。在日アメリカ軍を擁する場所柄、関係者も収容している。
ここに、おれの実の父親が収監されている。
嚴めしい顔つきに、年の割に引き締まった筋肉質な体、モンモンが手の甲や首まで入った男が刑務官に付き添われて面会ブースに入ってくる。父親と会うのは2ヶ月ぶりだ。この見た目になってから会うのは初めてだ。
かっちりとスーツを着込んで眼鏡を掛けたおれの姿を一目見るなり、父さんは目をうるませ泣き出してしまった。そのなりで?そんな盛大に泣く?
「文鷹、おまえ…やっとまっとうになって…」
いや、全然だ。なんなら表向き芸能事務所の社員ってことになってるけど、主にやってることは華やかな業界でのマネジメントでもないし、かといって裏方の事務でもなくて、寧ろあんたの代わりにオヤジの護衛してるんですよ父さん。
「そんなに感動することじゃなくね」
ティッシュペーパーを抜いて手にとって乙女のように握りしめて涙を拭い拭い泣いているのが不釣り合いすぎておかしくて笑っていると、口を尖らせて言った。
「感動するだろそりゃ、あーんな派手な尖ったナリしてたのが、いきなりこんなんなってたらさあ…」
おれは父のこういうとこが好きだ。もともと稼業はどうあれ、俺たちにはとびきり優しかった。
横浜刑務所。ここはB級とF級という刑期10年以上の重罪初犯者を収容する男子刑務所だ。Bは犯罪傾向の進んでいる再犯者・累犯者、そして、反社会的勢力・暴力団関係者は初犯でも再犯と同等の「B」となる。尚、FはForeigner(外国人)のFだ。在日アメリカ軍を擁する場所柄、関係者も収容している。
ここに、おれの実の父親が収監されている。
嚴めしい顔つきに、年の割に引き締まった筋肉質な体、モンモンが手の甲や首まで入った男が刑務官に付き添われて面会ブースに入ってくる。父親と会うのは2ヶ月ぶりだ。この見た目になってから会うのは初めてだ。
かっちりとスーツを着込んで眼鏡を掛けたおれの姿を一目見るなり、父さんは目をうるませ泣き出してしまった。そのなりで?そんな盛大に泣く?
「文鷹、おまえ…やっとまっとうになって…」
いや、全然だ。なんなら表向き芸能事務所の社員ってことになってるけど、主にやってることは華やかな業界でのマネジメントでもないし、かといって裏方の事務でもなくて、寧ろあんたの代わりにオヤジの護衛してるんですよ父さん。
「そんなに感動することじゃなくね」
ティッシュペーパーを抜いて手にとって乙女のように握りしめて涙を拭い拭い泣いているのが不釣り合いすぎておかしくて笑っていると、口を尖らせて言った。
「感動するだろそりゃ、あーんな派手な尖ったナリしてたのが、いきなりこんなんなってたらさあ…」
おれは父のこういうとこが好きだ。もともと稼業はどうあれ、俺たちにはとびきり優しかった。
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