海と聖女とサムライと

clown

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第4章 王都へ

第62話 くノ一

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ムサシは、先ず冒険者ギルドに立ち寄った。

実は、アルトマイで護衛依頼を受けた際に、イーニンの冒険者ギルドで経過報告をする様に言われていた。

ギルドマスターに、途中で襲撃を受けた事、襲撃者は皆、暗殺を仕事にしている事、その襲撃者を全滅させた事などを報告した。

王女様は無事だと、ひとことで済むと、考えていたのが甘かった。

ギルドマスターの部屋に通されて、根掘り葉掘りと質問されていた。

予想以上にギルドで時間を取られてしまった。

ムサシは、ギルド以外にも、色々と立ち寄りたい所があったのだ。

しかも、ギルドを出てから不審な奴等に後を付けられている。

【宿まで連れて帰ってにするか?それとも何処かで片付けるか?】

ムサシは、後を付けてくる奴等に、何か違和感を感じていた。

【よし、違和感の正体を確かめてみるか?】

ムサシは、街を出て入口近くの森に来ていた。

尾行者の気配は消えていない。

森の中に入ると、大木の枝に飛び乗って、尾行者達が来るのを待つ。

やがて、黒装束の集団が現れた。

彼らは、辺りを見渡してムサシを探している。

ムサシは、彼らの真ん中に飛び降りた。

彼らは、驚いた様子だったが、剣を抜き襲い掛かって来た。

ムサシは、彼らの剣を受け流すが、反撃はしていない。

【くノ一か。女は切れんな。】

何と襲撃者は、全員女だったのだ。

【違和感の正体は、これだったのか?】

ムサシは、草薙の剣しか持ってきていない。

両刃の剣では峰打ちが出来ない。

【こりゃ参ったな。】

ムサシは、相手を殺さずにこの場を切り抜ける方法を考えていた。

【そうだ、なければ作れば良いさ。】

ムサシは、再び、木の枝に飛び乗り、適当な太さの枝を切った。

そして、切った枝の小枝を払って、木刀を作り始めた。

襲撃者達は、ムサシがいる木を取り囲み、罵声を浴びせ始めている。

卑怯者、降りてこい、仲間の仇、覚悟しろ。

【もう少し、待ってろ。直ぐに相手してやるよ。】

【よし、出来たぞ。】

そう言って、木刀をブンブンと振ってみる。

木から飛び降りると、襲撃者の間をゆらゆらと通り抜けながら、次々と敵を倒していく。

そして、あっという間に全ての敵を倒してしまった。

ここで、ムサシは考える。

【相手の正体を探る為に、1人くらい連れて帰るか?】

【いや、そんな事をしている暇はないな。】

そう自分に言い聞かせて、街に戻っていった。
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