海と聖女とサムライと

clown

文字の大きさ
上 下
62 / 68
第4章 王都へ

第63話 おにぎり

しおりを挟む

【おう、帰ったぞ。開けてくれ。】

「おかえりなさい。随分遅かったね。」

【ああ、ちょっと色々有ってな。それよりも飯に行こうぜ。】

「外食とか大丈夫なの?」

【まあ、何とかなるだろう。店は決めてある。】

私達は、ムサシの後について行く。

途中、繁昌している大きな居酒屋の前を通り過ぎて、その先の小さな店に入った。

その店は、席はカウンター席だけで、カウンターの中に老婆がひとりだけ立っている。

私達の他には客はおらず、私達が入ると店内はいっぱいになった。

【ここは、米はあるかい?】

あるよ。老婆は、無愛想に答える。

【よし、じゃあ、米を拳くらいに握ったのをくれ。】

ニギリだね。味付けは、塩でいいかい。

【ニギリと言うのか、それで頼む。7人分だ。後は、焼魚を適当に。そのニギリに合うスープがあればそれも人数分だ】

老婆は眼の前でテキパキと料理を始めた。

「良くこんな店知ってたわね。」

【ああ、ギルドマスターに聞いてきた。】

「冒険者ギルドに行ってたの?」

【さて、後は食べながらにしよう。ちょっと運動してきたから、腹が減った。】

運動?何か気になるな?

直ぐに、料理は出来た。ニギリが3つと焼いた小魚が3匹ずつ載ったお皿が、とスープがそれぞれの前に並べられた。

魚は、丸ごと食べられるよ。

【よし、食うぞ。これは手づかみで食うんだ。】

サキは、おにぎりを手に取ると一口食べる。

やがて、ムシャムシャと勢い良く食べ始めた。

『おじちゃん、凄く美味しい。なんか懐かしい。』

【いっぱいあるからな、好きなだけ食え。】

【俺も食うか。やっぱり、米はおにぎりが一番良いな。ほら、みんなも食べてみろ。】

私達は、おにぎりを食べてみる。

美味しい。柔らかく噛むと甘みを感じる。魚と一緒に出てきた魚にも合う。

【婆さん。米で作った酒をひとつくれ。】

サーケだね。あいよっ。

ムサシの前に、四角い木の容器に入れられた透明のお酒が出てきた。

ムサシは、匂いを嗅ぐと無言で少しずつ飲んでいる。

【婆さん。サーケをもう一杯くれ。】

珍しい、ムサシが静か過ぎる。

黙々と飲んでいるムサシを放っといて、私達は、おにぎりを存分に食べた。

「ふー、お腹一杯、サキも眠そうだし帰りますよ。」

いつまでも、静かに飲んでいるムサシを引っ張って帰路についた。

翌日、私達は北街に移動し、旅の準備を整えてそのまま、出発する事ににした。

そして、北街へ渡る橋まで時、何と橋が綺麗サッパリと無くなってしまっていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

追放シーフの成り上がり

白銀六花
ファンタジー
王都のギルドでSS級まで上り詰めた冒険者パーティー【オリオン】の一員として日々活躍するディーノ。 前衛のシーフとしてモンスターを翻弄し、回避しながらダメージを蓄積させていき、最後はパーティー全員でトドメを刺す。 これがディーノの所属するオリオンの戦い方だ。 ところが、SS級モンスター相手に命がけで戦うディーノに対し、ほぼ無傷で戦闘を終えるパーティーメンバー。 ディーノのスキル【ギフト】によってパーティーメンバーのステータスを上昇させ、パーティー内でも誰よりも戦闘に貢献していたはずなのに…… 「お前、俺達の実力についてこれなくなってるんじゃねぇの?」とパーティーを追放される。 ディーノを追放し、新たな仲間とパーティーを再結成した元仲間達。 新生パーティー【ブレイブ】でクエストに出るも、以前とは違い命がけの戦闘を繰り広げ、クエストには失敗を繰り返す。 理由もわからず怒りに震え、新入りを役立たずと怒鳴りちらす元仲間達。 そしてソロの冒険者として活動し始めるとディーノは、自分のスキルを見直す事となり、S級冒険者として活躍していく事となる。 ディーノもまさか、パーティーに所属していた事で弱くなっていたなどと気付く事もなかったのだ。 それと同じく、自分がパーティーに所属していた事で仲間を弱いままにしてしまった事にも気付いてしまう。 自由気ままなソロ冒険者生活を楽しむディーノ。 そこに元仲間が会いに来て「戻って来い」? 戻る気などさらさら無いディーノはあっさりと断り、一人自由な生活を……と、思えば何故かブレイブの新人が頼って来た。

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

異邦闊歩ー島流しされて着いたのは、未知の世界でしたー

勇崎シュー
ファンタジー
大切な事を 忘れてしまった気がするーー。 記憶喪失の少年、ノギワラ・シンベイは、携えていた刀や剣技を駆使し、異世界の魔物や悪者達と渡り合って往く。 そして、何故記憶を失ってしまったのか、失った記憶には何が映されていたのか。世界に散らばる手掛かりを頼りに、自身の真相に迫っていく……。 刀剣浪漫劇、開幕。

解体の勇者の成り上がり冒険譚

無謀突撃娘
ファンタジー
旧題:異世界から呼ばれた勇者はパーティから追放される とあるところに勇者6人のパーティがいました 剛剣の勇者 静寂の勇者 城砦の勇者 火炎の勇者 御門の勇者 解体の勇者 最後の解体の勇者は訳の分からない神様に呼ばれてこの世界へと来た者であり取り立てて特徴らしき特徴などありません。ただひたすら倒したモンスターを解体するだけしかしません。料理などをするのも彼だけです。 ある日パーティ全員からパーティへの永久追放を受けてしまい勇者の称号も失い一人ギルドに戻り最初からの出直しをします 本人はまったく気づいていませんでしたが他の勇者などちょっとばかり煽てられている頭馬鹿なだけの非常に残念な類なだけでした そして彼を追い出したことがいかに愚かであるのかを後になって気が付くことになります そしてユウキと呼ばれるこの人物はまったく自覚がありませんが様々な方面の超重要人物が自らが頭を下げてまでも、いくら大金を支払っても、いくらでも高待遇を約束してまでも傍におきたいと断言するほどの人物なのです。 そうして彼は自分の力で前を歩きだす。 祝!書籍化! 感無量です。今後とも応援よろしくお願いします。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...