海と聖女とサムライと

clown

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第2章 勇者の証

第22話 聖女と勇者

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聖女は勇者を求め
勇者は賢者を求め
そして賢者は聖女を求める



少女は、男の頭をポンポンと叩く。
男は、少女を抱き抱えるとゆっくりと降ろした。

少女は、ゆっくりと私の方へ歩いて来た。
その小さな手には、聖女の杖が握られている。

『勝手に使ってごめんなさい。』
少女は、私の前に来るとそう言って頭を下げた。
そして、恐る恐る、杖を差し出す。

私は。杖を受け取ると、少女を思いっきり抱きしめた。
「ありがとう。よく頑張ったね。」

少女は、満面の笑みを浮かべると、タタタッと男の元に行き、飛びついて身体をよじ登り、男の肩に座る。

どうやら、照れているらしい。
それにしても、何故、そこなの?
男の肩が一番落ち着くらしい。
男に餌付けでもされたのだろうか?
私もあそこに乗ってみたい。

それから、神殿の神官に看病のお礼に行き、少女の事を詳しく聞いた。

間違いない。あの少女は転移者だ。
そして、あの少女こそ勇者だ。

私は、皆を集めて話をする。
もちろん、少女も呼んだ。

まず、少女が転移者であることを話した。
「この子だけど、ムサシ殿と同じ転移者よ。そして元は同じ世界にいた。さらに、転移した時期は同じよ。」

皆、黙って聞いている。

「もうひとつ、この子は勇者よ。」
【そうか、この子が勇者か?】
男は少女の頭を撫でた。

(あのー、何故、この子が勇者何ですか?)
マリーナが疑問を口にする。

「聖女の杖よ。聖女の杖は光属性の魔力が無いと使えないの。」
「そして、光属性の魔力は、聖女、勇者、そして賢者しか持たないの。」
「私もまさか、光の治癒魔法まで使えるとは思わなかったけど。」
(良かった。じゃあ後は賢者だけですね。)

少女は、よくわからない話に飽きたのか、男の膝に乗り、もたれ掛かり居眠りを始めた。

【でもよお、こんな小さな子供に、勇者なんて出来るのか?】

「正直、わからない。私もまさか勇者が少女なんて思いもしなかった。」
「あと、伝説の武具があって、聖女の杖がある様に、勇者にも武具があると聞いているわ。」
「神官様の話では、北にある小島の神殿にあるという言い伝えがあるそうよ。」

【よし、その武具を取りに行けば良いんだな。】

「うん。そうなんだけど、誰もその島に行ったことがないの。島の周りは断崖絶壁で上陸できないらしいの。」

「あと、重要な事なんだけど、取りに行くならこの子も連れて行く必要が有るの。」
「勇者の武具を取り出せるのは、勇者だけだと言われて居るわ。」

私達は、安らかに睡る少女を見ながら、頭を抱えてた。
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