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第2章 勇者の証
第23話 勇者の島
しおりを挟むルトの南には、高台がありルトの町を見渡す事ができる。
この丘からは、ルトの町を見渡す事ができた。
此処からだと、港に出入りする船がよく見える。
私達は、皆でこの高台に来ていた。
北の小島を確認するためだ。
港のちょっと先に、上に伸びた島があった。
島というより、塔みたいだ。高台と同じくらいの高さだ。
高台から見ても、島の内部がどうなっているのかわからない。
(マリアさん、この島には先代の勇者は、上陸したんですよね。)
「ええ、上陸して、勇者の武具を手に入れたと聞いているわ。」
(それじゃあ、何処かに入口があるはずですよね?)
「それが、勇者が武具を持ち帰ったあとに、急に島が隆起したらしくて、その後は、誰も上陸できなくなったの。」
【ほほう、未開の島かあ。こりゃ面白そうだ。】
男は、顎を撫でながらニヤついて居る。
そして、少女は少しでも高いところから、見ようと男の肩に立って、目一杯背伸びをしている。
だんだんと少女が小動物に見えてきた。
翌日、私達は、漁師に頼み北の小島付近に船を出してもらった。
島の絶壁に船を横付けして貰う。
島の周辺は、水深が深くて良い漁場だそうだ。
男は、絶壁にしがみついて、崖をよじ登ろうと試みるが、うまく登れない。
そして、背中には少女がしがみついている。
何をやっているのか?
男は、崖をよじ登るのを諦めて、衣服を脱ぎ捨て、ヒモを腰に巻きつけると、そのまま、海に飛び込んでいった。
少女は、ヒモの端を持って海面を見つめるが、中々上がって来ない。
ちょっと心配になりかけた頃、少女の持つヒモがクイッと引っ張られた。
すると、少女は、大急ぎでヒモを巻き上げ始めた。
ずいぶんと息があった連携だ。いつ練習したんだろう。
やがて、男が海面に顔を出した。
そして、大きな魚を数匹、船に放り投げた。
船頭が、男を船に引っ張り上げる。
【確かに良い漁場だ。】
コイツ、いつの間にか魚突き用のモリなんか持ってるし。
少女は、魚を抱きしめてブルブルしてる。
「大漁なのは判ったわ。で、どうだったの?」
【う、うん、島の中央に続く洞穴を見つけた。途中までしか確認してないが、斜めに登ってた。島に上陸できるかもしれん。】
「洞穴までの深さはどれくらい?」
【この船、3艘分くらいか。】
「結構深いわね。で、これからどうする?」
【今日は、一旦引き上げだ。ちょっと対策を考えてるよ。】
翌日、男は、皆を浜辺に集めた。
どれくらい潜れるか?確認したいらしい。
腰の深さのところで、浜辺と並行に息継ぎなしに泳げるかを競い合った。
結果、
1位 少女 船10艘分くらい。ダントツである。
2位 マリーナ 船5艘分 マリーナという名前は伊達じゃなかった様だ。
3位 私 船1艘分 山育ちですので。
次の日から、海での特訓が始まった。
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