17 / 68
第1章 勇者を探して
第17話 海が見たい
しおりを挟む先生と並んで宿まで歩く。
【さっき見せたのは、本当の示現流じゃない、本物は、一撃必殺の剣なんだ。だから一振りで勝負はついていた。だが、それだとな。】
【あの素振りの最中に何か気が付いたかい?】
(殺気、でしょうか?)
【上出来だ。】と言って、肩を揺らしながら、ニコニコしている。
やがて宿に着くと、丁度、買い出しから戻ってきた聖女マリアと、鉢合わせてしまった。
先生は、そそくさと宿に入っていった。
マリアの視線が痛い。
私は、(ただいまです。) と申し訳なさそうに宿に入った。
夕食は、宿の1階で取った。
マリアは、相変わらず機嫌が悪い。
【お嬢さん、機嫌直せよ。おかずを一品やるからさあ。】
「前から言おうと思ってましたが、私は、お嬢さんではありません。マリアです。今度からは、ちゃんと名前で呼んでください。」
【判ったよ。マ マリア殿】
「よろしい。では、食事を続けましょう。」
マリアは、急に、ニコニコしている。機嫌が直るの早すぎ無いか?
そして、ちゃっかり、先生のおかずをぶんどっていた。
ーーーーマリア視点ーーーー
私達は、早朝に宿を出た。昨夜はマリーナに何処で何をしていたのか?
根掘り葉掘り聞いてしまった。
これからしばらくは、野宿が続く、もう少しで海辺に出る。
男は、海が見たいと言っていた。
海を見たらどんな顔をするだろう。
でも、教えてあげない。
その日は、途中で野宿だ。
マリーナは、食後に剣術の練習をしている。
レイピアを正面に構えて、剣を振り下ろす。時折、奇声をあげる。変な練習だ。
男に変な事を教わったのだろう。
男は、横になりうつらうつらとしている。
私はお気に入りのお茶を楽しむ。
平和な夜だ。
翌朝、いつもより早くに出立した。
夕方になりもうすぐ海が見えるはずだ。
すると、突然、男が馬を走らせた。
私達も慌てて後を追う。
しばらく進むと、海が、見えてきた。
さらに進むと、目の前には、一面の砂浜が広がっている。
浜辺には。男が乗っていた馬と杖と脱ぎ捨てられた衣服があった。
男の姿が見えない。
衣服の先の海に目を凝らすと、男が泳いでいた。
私達は、どっと疲れが出て、馬を降り浜辺に座り込んだ。
夕日の中、男はいつまでも泳ぎ続けている。
そんな様子をいつまでも眺めていた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
異邦闊歩ー島流しされて着いたのは、未知の世界でしたー
勇崎シュー
ファンタジー
大切な事を 忘れてしまった気がするーー。
記憶喪失の少年、ノギワラ・シンベイは、携えていた刀や剣技を駆使し、異世界の魔物や悪者達と渡り合って往く。
そして、何故記憶を失ってしまったのか、失った記憶には何が映されていたのか。世界に散らばる手掛かりを頼りに、自身の真相に迫っていく……。
刀剣浪漫劇、開幕。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる