海と聖女とサムライと

clown

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第1章 勇者を探して

第17話 海が見たい

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先生と並んで宿まで歩く。
【さっき見せたのは、本当の示現流じゃない、本物は、一撃必殺の剣なんだ。だから一振りで勝負はついていた。だが、それだとな。】

【あの素振りの最中に何か気が付いたかい?】

(殺気、でしょうか?)

【上出来だ。】と言って、肩を揺らしながら、ニコニコしている。

やがて宿に着くと、丁度、買い出しから戻ってきた聖女マリアと、鉢合わせてしまった。
先生は、そそくさと宿に入っていった。
マリアの視線が痛い。
私は、(ただいまです。) と申し訳なさそうに宿に入った。

夕食は、宿の1階で取った。
マリアは、相変わらず機嫌が悪い。

【お嬢さん、機嫌直せよ。おかずを一品やるからさあ。】

「前から言おうと思ってましたが、私は、お嬢さんではありません。マリアです。今度からは、ちゃんと名前で呼んでください。」

【判ったよ。マ マリア殿】
「よろしい。では、食事を続けましょう。」
マリアは、急に、ニコニコしている。機嫌が直るの早すぎ無いか?
そして、ちゃっかり、先生のおかずをぶんどっていた。

ーーーーマリア視点ーーーー

私達は、早朝に宿を出た。昨夜はマリーナに何処で何をしていたのか?
根掘り葉掘り聞いてしまった。

これからしばらくは、野宿が続く、もう少しで海辺に出る。
男は、海が見たいと言っていた。
海を見たらどんな顔をするだろう。
でも、教えてあげない。

その日は、途中で野宿だ。
マリーナは、食後に剣術の練習をしている。
レイピアを正面に構えて、剣を振り下ろす。時折、奇声をあげる。変な練習だ。
男に変な事を教わったのだろう。

男は、横になりうつらうつらとしている。
私はお気に入りのお茶を楽しむ。
平和な夜だ。

翌朝、いつもより早くに出立した。
夕方になりもうすぐ海が見えるはずだ。

すると、突然、男が馬を走らせた。
私達も慌てて後を追う。

しばらく進むと、海が、見えてきた。
さらに進むと、目の前には、一面の砂浜が広がっている。

浜辺には。男が乗っていた馬と杖と脱ぎ捨てられた衣服があった。
男の姿が見えない。
衣服の先の海に目を凝らすと、男が泳いでいた。

私達は、どっと疲れが出て、馬を降り浜辺に座り込んだ。

夕日の中、男はいつまでも泳ぎ続けている。
そんな様子をいつまでも眺めていた。
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