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第1章 勇者を探して
第13話 冒険者
しおりを挟む私の説明は、完璧だったようである。その後、ギルドマスターは、討伐時の様子を二度と聞かなかった。
ともかく、はぐれワイバーンには、懸賞金が掛けられていたらしい。ただし、冒険者登録をしてないと、半額になってしまうという。
ところが、今回は特別に今すぐ登録をしてくれれば、全額支払ってくれるらしい。
私に、どうしますか?と聞いてくる。どうやら、男は、言葉が通じないと思われているようだ。
私は、他人事みたいにしている男を肘で突く。
「貴方が倒したんだから、自分で決めて頂戴。もちろん、懸賞金も全て貴方のものだから。」
男は、言葉を発せずに、ギルドマスターを見て大きく頷いた。コイツ、話せないキャラで、通すつもりだ。
ギルドマスターは、職員に登録手続きの準備を指示すると、職員は水晶とカードをテーブルに置いた。
(この水晶に右手を置いて、私の質問に答えてください。聖女様が代わりに答えて頂いても構いません。)
男は、そっと、水晶に手を置いた。
(貴方の名前は?)
私が代わりに答えようとすると男が自分で答えた。話せないキャラは止めたらしい。
【ムサシ】
ギルドマスターも驚いている。
(年齢は?)
【わからんなあ。35歳くらいだろう。】
今まで、黙っていたマリーナが (意外に若いですね~) と相槌を打つ。
(得意な武器は何もですか?)
【刀 いや剣だ。】
(魔法は使えますか?)
【使える。最近覚えた。】
(ほお、最近ですか? いつ頃ですか?
あ、これは単に私の個人的な興味でして、答え無くても構いません。)
【1週間前くらいだ。】
(1週間?)
ギルドマスターは、ひどく驚いている。
マリーナと一緒に。
(魔法を覚えて、1週間でワイバーンを倒す程になったのですか?)
【ああ、そうだ。】
マリーナが横から割り込む。
(先生、私にも、魔法をワイバーンを倒した魔法を、ご教授ください。)
【教えるのは構わないが、我流だぞ。魔法なら俺の師匠に教われば良いさ。】
そう言って、男は私の方を向いた。
ギルドマスター、マリーナ、男の視線が私に集まった。
しばらく、沈黙が続く。
「シュシュっと。。。」
皆、俯いてしまった、何故か肩が震えている。職員まで。
その後、皆、大爆発。涙を流しながら。
大爆発が収まる迄、私は俯いて耐えるしかできなかった。
顔は、真っ赤だったと思う。
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