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第1章 勇者を探して
第12話 冒険者ギルド
しおりを挟む翌朝、目を覚ます。男は、いつものように高いびきだ。また、夜番をしなかった様だ。
朝早くに目覚めたものの、マリーナが戻ってくるまで、此処を動けない。暇だ。
とりあえず、朝食の準備を始めた。通常、野宿の時は、1日1食だけだ。準備の時間が惜しいし、その分目的地に進んだ方が良いからだ。
火を起こして、お湯を沸かす。領主にもらった。お茶っ葉を入れよう。
傍のゴソゴソとしているのに、男はまだ寝ている。こんなのでよく夜番が勤まるものだ。
お茶を飲みながら、ボーっと過ごしていると、遠くから馬の足音がしてきた。どうやら、マリーナが戻ってきた様だ。
すると、男が背伸びをして、身体を起こした。やっと、起きた様だ。
(先生、お待たせしました。)
マリーナが言うには、はぐれワイバーンは、あちこちで被害を与えてて、冒険者ギルドでも多額の懸賞金を掛けていたという。
そこに、ワイバーンを討伐したとの連絡が入り、直ぐに馬車を向かわせてくれた。もうじき、来るだろうとの事だ。
私は、お茶をマリーナに渡して労う。
しばらくすると、荷馬車とギルドの職員が3人がやってきた。
(本当にワイバーンだ。この色、間違いない。はぐれワイバーンだ。)
(よし、早速、積み込むぞ。急げば、今日中に街に戻れる。)
(そこのダンナも手伝ってくれ。)
彼らは、テキパキとワイバーンを荷馬車に積み込む。
私達は、荷馬車と共に冒険者ギルドに向かった。途中、ギルドの職員が男にどうやってワイバーンを倒したのか?と、聞いていたが、男は、相手にしなかった。
夕方には冒険者ギルドのあるカイトの街に着いた。
街に入ったところで、ギルドの職員とは、別れた。明日、ギルドに顔を出して欲しいとの事だった。
翌朝、3人で冒険者ギルドに向かった。
男は、冒険者ギルドは、初めてとので、マリーナから、説明を受けていた。
私は、ギルドへは登録していないが、マリーナは、登録していてB級だそうだ。もちろん、これも、祖父である領主の言いつけだそうだ。
冒険者ギルドに着くと、ワイバーンを引き取りに来てくれた。職員の1人が相手をしてくれた。
(ああ、聖女様、マリーナ様、ムサシ様、ようこそ、お待ちしておりました。ギルドマスターが対応します。ささ、こちらへ。)
そう言って、受付脇の通路を通って、突き当りの部屋へと通された。
部屋には、来客用ソファとギルドマスター用の大き目の机が置かれていた。50歳くらいの小柄な男が、握手を求める。
(やあ、ようこそいらっしゃました。
ギルドマスターのヨハンです。
ささ、こちらのソファにお掛けください。)
(この度は、はぐれワイバーンを討伐して頂き、誠にありがとうございます。
なんせ、直ぐに空高くに逃げてしまうもので、手を焼いていたのです。)
(ワイバーンを確認しましたが、両方の翼が見事に切断されておりましたなあ。
あれは、どうやったのですかな?)
そう言って、ギルドマスターは、男の方を見つめる。だが、男は何も答えようとはしない。
「か、風魔法です。彼は風魔法が使えるので、こう、シュっとワイバーンの翼を切ったのです。」
(ほう、風魔法ですか? それで、シュ ですか?)
ギルドマスターは、理解出来ずに困っている。私は、説明の拙さに顔を赤らめるしか無かった。
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