12 / 68
第1章 勇者を探して
第12話 冒険者ギルド
しおりを挟む翌朝、目を覚ます。男は、いつものように高いびきだ。また、夜番をしなかった様だ。
朝早くに目覚めたものの、マリーナが戻ってくるまで、此処を動けない。暇だ。
とりあえず、朝食の準備を始めた。通常、野宿の時は、1日1食だけだ。準備の時間が惜しいし、その分目的地に進んだ方が良いからだ。
火を起こして、お湯を沸かす。領主にもらった。お茶っ葉を入れよう。
傍のゴソゴソとしているのに、男はまだ寝ている。こんなのでよく夜番が勤まるものだ。
お茶を飲みながら、ボーっと過ごしていると、遠くから馬の足音がしてきた。どうやら、マリーナが戻ってきた様だ。
すると、男が背伸びをして、身体を起こした。やっと、起きた様だ。
(先生、お待たせしました。)
マリーナが言うには、はぐれワイバーンは、あちこちで被害を与えてて、冒険者ギルドでも多額の懸賞金を掛けていたという。
そこに、ワイバーンを討伐したとの連絡が入り、直ぐに馬車を向かわせてくれた。もうじき、来るだろうとの事だ。
私は、お茶をマリーナに渡して労う。
しばらくすると、荷馬車とギルドの職員が3人がやってきた。
(本当にワイバーンだ。この色、間違いない。はぐれワイバーンだ。)
(よし、早速、積み込むぞ。急げば、今日中に街に戻れる。)
(そこのダンナも手伝ってくれ。)
彼らは、テキパキとワイバーンを荷馬車に積み込む。
私達は、荷馬車と共に冒険者ギルドに向かった。途中、ギルドの職員が男にどうやってワイバーンを倒したのか?と、聞いていたが、男は、相手にしなかった。
夕方には冒険者ギルドのあるカイトの街に着いた。
街に入ったところで、ギルドの職員とは、別れた。明日、ギルドに顔を出して欲しいとの事だった。
翌朝、3人で冒険者ギルドに向かった。
男は、冒険者ギルドは、初めてとので、マリーナから、説明を受けていた。
私は、ギルドへは登録していないが、マリーナは、登録していてB級だそうだ。もちろん、これも、祖父である領主の言いつけだそうだ。
冒険者ギルドに着くと、ワイバーンを引き取りに来てくれた。職員の1人が相手をしてくれた。
(ああ、聖女様、マリーナ様、ムサシ様、ようこそ、お待ちしておりました。ギルドマスターが対応します。ささ、こちらへ。)
そう言って、受付脇の通路を通って、突き当りの部屋へと通された。
部屋には、来客用ソファとギルドマスター用の大き目の机が置かれていた。50歳くらいの小柄な男が、握手を求める。
(やあ、ようこそいらっしゃました。
ギルドマスターのヨハンです。
ささ、こちらのソファにお掛けください。)
(この度は、はぐれワイバーンを討伐して頂き、誠にありがとうございます。
なんせ、直ぐに空高くに逃げてしまうもので、手を焼いていたのです。)
(ワイバーンを確認しましたが、両方の翼が見事に切断されておりましたなあ。
あれは、どうやったのですかな?)
そう言って、ギルドマスターは、男の方を見つめる。だが、男は何も答えようとはしない。
「か、風魔法です。彼は風魔法が使えるので、こう、シュっとワイバーンの翼を切ったのです。」
(ほう、風魔法ですか? それで、シュ ですか?)
ギルドマスターは、理解出来ずに困っている。私は、説明の拙さに顔を赤らめるしか無かった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
異邦闊歩ー島流しされて着いたのは、未知の世界でしたー
勇崎シュー
ファンタジー
大切な事を 忘れてしまった気がするーー。
記憶喪失の少年、ノギワラ・シンベイは、携えていた刀や剣技を駆使し、異世界の魔物や悪者達と渡り合って往く。
そして、何故記憶を失ってしまったのか、失った記憶には何が映されていたのか。世界に散らばる手掛かりを頼りに、自身の真相に迫っていく……。
刀剣浪漫劇、開幕。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる